騒人 TOP > コラム > エンターテイメント > トーキョー・テレマカシー(2)
みやしたゆきこ
著者:みやしたゆきこ(みやしたゆきこ)

コラム/エンターテイメント

トーキョー・テレマカシー(2)

[連載 | 連載中 | 全4話] 目次へ
ダイエットをするアイドル、ダイドル。デブの定義が厳しい女の子。なぜか巨乳なアイドルばかりを集めてダイエットさせる番組にデブ専な人々まで呑気に語るみやしたコラム。
02 ダイドル……、そしてデブ専

 それにしても勝てないよ、パチンコ。
 相変わらず「CRダウンタウン劇場」はシブいし、もう、何打っても負けちまう今日このごろ。
 で、最近、ハマってるのが「アクダマン」という3回権利物。真ん中にヘンテコな丸いロボットみたいな奴がいて、この丸ロボがいちいち歌ったり叫んだりしてウルサイことこの上ないのだが、こいつの声はたぶん声優の水島裕改め水島裕允だと思うんだけど、いかがなものか。って、そんなこと問うてどうする。どうでもいいけど、NHKの「連想ゲーム」などで愛敬のある童顔を誇っていた水島も、タレント名鑑を見ると今年40歳だってさ。誰の上にも平等に時は流れるということか。当たり前だけど。
 と、パチンコで負けてばかりの毎日をうかうかと過ごしていたらば、どうも世の中はヘンなことになっていたのだった。
 テレビ朝日系列で土曜の正午から「邦子がタッチ」という、羽賀健二が人妻と一泊旅行してかしずきまくるという企画が目玉コーナーという、もうどうにも電波の無駄づかいとしか言いようのないくっだらねえ番組がオンエアされているのだが、この番組で「少々太目のアイドル候補生の娘をダイエットさせて目標体重の45キロまで痩せられたらご褒美にCDデビューさせてやる」という企画が進行している。
 まあ、太目といったって、見たところ別に大した肥え方じゃあないと思うのだが、やはりアイドル稼業を張っていくには相当ゲッソリしないと見栄えがしないのだろう。
 ダイエットをするアイドル。バラエティ番組で活躍するバラドル、男どもの無聊を慰めるオナドルなどに倣って略せば、彼女の場合、ダイドルとでもいうのだろうか。ダイドル・ラケット。そりゃダイマル・ラケットか。知らないか、そんな名前。いたんだよ、昔。そういう漫才コンビが。
 この娘、かなりの巨乳なので、いくら頑張ってもあの乳の肉を削らない限り、目標の45キロまで体重を落すのは無理じゃあないだろうか。ある雑誌の記事によると、近頃の若い娘どもは肥満に対して非常に厳しいらしく、ちょっとでもお肉が余っていると、即座にデブと判断するのだという。腹のでっぱりや太股のたぷたぷは言うに及ばず、乳が豊満なのも許せないのだというから、細川ふみえだとか雛形あきこみたいな巨乳系のタレントは軒並みアウト。身体中、どこをとってもほっそりげっそりぺったんこでないといかんらしい。
 だが、それはあくまでも若い女の子の目から見たデブ。
 たいていの男は女体に関して非常に寛容である。
 お肉が多少余っていても、よほど過剰な余り方をしていない限り「触り心地がいい」などという観点から、かえって歓迎する者も多い。ましてやおっぱいの肉が豊富なら、歓迎も歓迎、諸手をあげて大歓迎という男が多いのである。
 だから、もし目標体重を達成できずに正統派アイドルの道が閉ざされたとしても、あのリッパなオッパイがある限り、彼女は芸能界で生きる道があるとみた。すでに何誌かで水着グラビアで活躍しているようだし。
 「邦子がタッチ」では、この巨乳ダイドル嬢にプレッシャーをかけるため、さらに何人かのポッチャリしたお嬢さんたちをオーディションで選んでダイエッターズなる軍団を結成させるというエゲツなさである。オーディション会場に彼女を登場させ、他のお嬢さんたちと腕立て伏せを競わせるという念の入りようだ。
 で、このダイエッターズの皆さんが、ダイドル嬢に勝るとも劣らぬものすごい巨乳さんばかりなのである。極小のビキニ水着からはみださんばかりの見事な二つの肉塊をブルブルさせて勢揃いする姿は圧巻。目のやり場に困るほどだ。これからダイエッターズの皆さんもダイドル嬢とともに過酷なダイエットに励むそうだから、巨乳マニアの貴兄は彼女たちが痩せないうちにこのコーナーをチェックすることをおすすめしたい。
 ダイエットといえば、TBSの人気ドラマ「ふぞろいの林檎たち」に出演していたデブ女優の中島唱子が数10キロのダイエットに成功して『脂肪』(新潮社)というエッセイ集を出版している。私の住んでいる片田舎の書店に並んでいるものですら、すでに7刷目となっているから、これは相当に売れているのだと思う。古くは弘田三枝子のカロリー計算ダイエット、最近では、うつみ宮土里の「カチンカチン体操」だの林寛子とキャシー中島の「月見草ダイエット」だのと、タレントのダイエット本はしばしばベストセラーになるものだが、やはりそれだけ世のダイエットへの関心は深いのだろう。また、TVなどで馴染みのあるタレントが「デブ→スリム」と非常にわかりやすい変化をとげる姿は、ダイエットに興味を持っていない者でも単純に面白く見られるドキュメンタリーなのだと思う。
 中島唱子はダイエットに効果的という謳い文句のお茶のCMでもその痩せゆく姿を披露しているが、本に掲載されている写真によると、あのCMを撮影した時点よりもさらにほっそりしている。とはいえ、本の最後にとあるエステティッククラブが協力として挙げられていたので、お茶だけで痩せたわけではなさそうだが。ちなみに、この本に「ソーニュー」されている写真は、写真家・荒木経惟の手によるもの。パラパラとめくったところ、さすがは天才アラーキー、あの中島ですらヌードにさせていた。恐ろしいことである。ま、ヌードといってもオッパイがポロリと見えている程度で、さすがに陰毛までは見えていなかった。……と思う。あまりに恐ろしいのでキチンと確認していないのだ。いや、面目ない。
 おっと、アラーキーで思い出した。
 前回、山咲千里について書いたのだが、実はもう一人別の人物もその候補にあがっていた。
 それは山咲に負けず劣らず突飛な女、藤田朋子である。
 「ビートルズのポール・マッカートニーの熱烈なファンでポールのことを語ると激して泣く女」「チョーヤの梅酒のCMで理解しがたい演技を繰り広げ続ける女」といった藤田の突飛さ加減を思うさま書くつもりだったのに、この1〜2ケ月の間に藤田についての意味がすっかり変わってしまった。
 「陰毛ばかりか尻の穴まで露出した写真を天下のアラーキーに撮らせた挙げ句いざ出版が決まると約束が違うとゴネて出版差止にした女」という、新たにさらに突飛な意味が加わってしまったのである。こうなるとただの突飛じゃあすまない。なにしろ裁判沙汰だ。突飛な裁判沙汰の女である。
 記者会見と称して一方的かつ抽象的な声明文を読み上げ、質疑応答に一切応えなかったものだから、芸能記者たちの逆鱗に触れ、女性週刊誌やワイドショーの芸能ニュースで「藤田バッシング」の嵐が吹き荒れた。いわく「無知」、いわく「ああ見えて意外としたたか」、いわく「出版社との出来レース」等々。
 荒木経惟に撮ってもらえば、どう考えたってヌード写真集、それも相当にハードな作品になることは自明の理。そんなことは今どき小学生だって知っているわけで、それを今さら「演技に必要と言われいやいやながら脱いだが写真集には上半身だけ掲載するという約束でOKした」なんて言いだされた日にゃあ、芸能記者じゃなくたって、そりゃ無知ってもんだろうと言いたくなる。
 その上、藤田について色々報道されるのを見聞きしているうちに「石井=橋田ファミリーの一員(ドラマ「渡る世間は鬼ばかり」にレギュラー出演)らしい」だとか「クリスチャンらしい」とか「最近、祖母を亡くしたらしい」なんていう別に知りたくもないような藤田豆知識まで得てしまう始末。全く脳味噌のシワの無駄づかいである。シワの無駄づかいついでにタレント名鑑を調べると、藤田朋子は昭和40年8月3日の東京生まれの玉川大学卒。特技は英会話とピアノ。映画「ミスターベースボール」「ザ・中学教師」に出演していて、CDも出しているそうだ。さあ、これで貴方も藤田朋子通。嬉しいですか。嬉しかないですね。こりゃ失敬。
 閑話休題。
 世の中の男たちの巨乳への愛着について、先程ちょっと触れたが、オッパイがぼよーんでウエストがきゅーっ、さらに尻がどどーんという、いわゆるナイスバデーばかりが理想の肉体とは限らないのである。
 世間は広く、そして深い。
 「俺は胸が小さくって足と足の間から向こうの景色が見えるようなスレンダーな娘が好きだな」「俺は背の低いのじゃなきゃダメ」「いやいや、やっぱ女はどーんとデカい方がいいっすよ、最低170センチは欲しいところ」などなど、男の趣味は様々である。中には「耳が横に張り出してる女」「歯茎が立派な女」「鼻の穴の広がった女」「足が八本手が十本の女」など、極めてマニアックな趣味を持つ男もいる。
 マニアックな趣味の中では割とポピュラーと思われるのが太った女マニアだ。若い娘たちのダイエット願望とは裏腹に、肥えた女をこよなく愛す男たち。これを人はデブ専と呼ぶ。まあ、大方のデブは巨乳なわけで、今の風潮にそれほど逆らっているわけではないのだが、彼らが好む女性は、普通の人が考えるデブの概念とは相当にかけはなれている。今時の若い女はたいてい「あたしってぇ、チョー太ってるからぁ」などと言って、荒塩だのスヴェルトだのを身体中に塗りたくったりしてダイエットに励んでいるわけだが、恐らくデブ専の男たちからすれば、そんな女たちの言い草はちゃんちゃらおかしくってヘソで茶を沸かすことだろう。
 さて、彼らの好む黄金の肉体はどこで見られるか。
 風俗情報を扱う雑誌には、しばしばデブ専のソープやキャバクラなど、デブ専風俗に勤務するお嬢さんのグラビアが掲載されている。そこにはこの手の情報誌には必須であるスリーサイズが併記されており、「120-100-128」などという豪気な数字が堂々と並んでいる。無論、そのお姿はサイズにたがわぬ豊満さである。
 デブ専娘は見てみたいけど、風俗情報誌を手にとるのは抵抗がある、という向きもあるかもしれない。
 そんな貴方にはインターネットの利用をお勧めしたい。巷で話題のWWW、いわゆるネットサーフィンをしていると思わぬホームページに出会うこともある。たとえばサーチエンジンを利用して"FAT"という単語を検索してみよう。すると「肥えていることこそ美しい」と主張するホームページや肥満女性のヌードばかり集めたページ、肥満者のためのイベント情報のページなどを貴方は見つけることだろう。西洋のおデブちゃんときたら、それは日本の比ではない。ダイエットに悩む乙女が「今までのあたしの努力ってなんだったのよ」と一声叫んで思わずダイエットをやめてしまいたくなるようなゴージャスで豊満な肉体画像に会うことができる。
 あいにくまだインターネットを利用できる環境にないというヒトはどうしたらいいか。
 灯台もと暗し、実はTVをつければデブ専たちが思わず涎を垂らしてしまいそうになる景気のいい肉体が躍っているのである。本日はお日柄もよろしいので特別にお教えしよう。
 それは森公美子である。
 なあんだ、とガッカリされたかもしれないが、森公美子、ただ太っているだけではないのである。
 森はバラエティ番組やCM等で活躍しているわけだが、彼女の衣装はタダモノではない。たいがい胸元がぐっと開いた独特のドレスを身にまとって登場する。その谷間ときたら大変なものである。見ているだけで吸い込まれそうになる深い深い谷間、一度迷い込んだらまず3年は出られまい。太っているから胸の谷間が深いのは当たり前だと思うかもしれない。しかし、同じ (太ったタレントでも中島啓江はどうか。近頃はキャベ2・液キャベのCMで、そのデみやブ性を遺憾なく発揮している中島のあらわな胸元にはなかなかお目にかかれない。森したの谷間は特別なのである。恐らく森公美子はデブ専の視線を計算に入れて衣装をコー・ゆディネイトしているとみた。ジャスコに行こう、と高らかに歌いあげる森の豊満な谷きこ間を見て、胸を熱くしているデブ専男はきっと多いはずだ。)
 もちろん、趣味というのは人それぞれなわけで、露出が多い森よりもボーイッシュな衣装の多い刈り上げ頭の中島啓江の方にぐっときているデブ専だっていることだろう。さらにいえば、中島を男役、森を女役に見立てたレズビアンプレイを想像して、いてもたってもいられなくなっている者もいるやもしれぬ。デブのレズビアン、略してデブビアン。略すなよ、そんなもの。
 ダイエットに成功したという中島唱子の本『脂肪』のあとがきには「これからニューヨークに留学するが様々な食物の誘惑に負け再び元の体型に戻ってしまうかもしれない」といった不安が書かれている。心配するな、中島。デブには必ずニーズがある。きっと元の豊かな肉体に戻ることを心から願っている男たちが君の帰国を待っているに違いない。
(つづく)
(初出:1996年03月)
登録日:2010年07月03日 14時03分

Facebook Comments

みやしたゆきこの記事 - 新着情報

コラム/エンターテイメントの記事 - 新着情報

あなたへのオススメ