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君塚正太
著者:君塚正太(きみづかまさた)
昭和六十年五月二十三日生まれ。日本大学第三中学校卒、中央高等学院卒、クラーク国際専門学校ボディガード科卒。十九歳後半、この頃より執筆活動を始める。イタリア国家警察、フランス国家憲兵隊に少尉として赴任。
コラム/生活・暮らし

殺人鬼の発生とその欲動構造について(3)

[連載 | 連載中 | 全5話] 目次へ
ユングとチュービンゲン学派による殺人の気質的要因に迫る。また、遺伝から見た殺人鬼の誕生について。
第3部 気質と特定要因

 一群の気質要因とは特定の感情に置き換えられる場合が多い。例えば、循環病質者は陽気で外向的な、また分裂病者は寡黙で静謐な印象を与える。しかしここではユングとチュービンゲン学派の意見は大きく分かれる。ユングは外向的な型と内向的な型を分け、仔細に分析を行っている。いわゆるユングの外向的な型とはほとんどの民衆に見られる傾向である。周りの荒波に突き動かされ、しっかりとした土台を用いないものである。しかしこれも一面的な見解である。ユングの述べたかったことはこう言うことである。
「自己の中核を持たず、周りに押し流される人々。時に祖国が戦争を起こした場合、彼らは理由も聞かず、それに追従する。これこそがまことの外向的な型の見本である」と。

 反対に内向的な型とは外向的な型より数が少ない。その理由として、挙げられるのは、かような内向的な型とは自閉症に傾きがちで、なおかつ主観性が強いためであろう。この主観性の強さが内向的な型の一番の特徴である。
 これとは趣の違うチュービンゲン学派は、まず殺人鬼の発生経路をその気質要因、及び身体的なものから、診察する。例えば、クレッチマーの「体格と性格」にあるとおりに体格が細長い人は、医学的に述べて、分裂病質者であり、肥満型の人は循環気質者であることはすでに統計で出ている。分裂病質とは孤独を愛し、周りとの激しいやり取りを嫌い、物事の考え方は分析的である。反対に循環気質は陽気で、社交的であり、物事に対しては直観的な姿勢をとる。

 そして巧妙な連続殺人を行なう者は分裂病質者が多い。循環病質者は衝動的な犯行を行うものがほとんどで、それはすぐに治安当局に察知され、逮捕される。よしんば、それが看過されても多弁のため、任意同行の形で警察署に連行し、相手の素性をゆっくりと聞いていけば、自然に彼は犯行を認めることになる。もちろん、この方法には様々なものがあり、時と場合によって頻繁に手法を変える必要がある。

 連続殺人鬼が殺人を犯す要因は本来の体質遺伝学上、一つである。それは遺伝である。イタリアの精神科医ロンブ・ローゾが提起した「血液の混乱」すなわち移民の流入が激しい地区では、不完全な人間の変種が生まれるだけである。生物とは一旦、数百年の土着を経て、才能の陶冶が行われることが必要不可欠である。もしそれを行わなければ、不完全な変種しか、生ぜず、その国の血流は滞ることになるのである。

 同系交配、異系交配はもちろん、有意義な点を有している。たとえば、ドイツやオーストリアに見られる天才たちがそうである。だが移民の流入が激しいアメリカでは天才は誕生しにくいのである。私の知る限り、アメリカでの天才はハッブルとヘミングウェイぐらいのものである。アメリカは数多のノーベル賞をとってきたが、それは天才の必須条件とはなりえない。なぜなら彼らには天才独特のデモーニッシュな要素が欠けているからである。デモーニッシュな力を先天的に有しているものは、ごくわずかでそれは数えるほどしかいない。職業作家とは一年ほどの月日をかけて、一冊を書く。けれども霊感を受けたものはわずか数週間で一冊の本を書き上げるのである。この霊感こそがまさしくデモーニッシュな要素なのである。
 そして異系交配が激しく行われると、当然それは生物としての基盤を失った変質者を生むだけになるのである。
(つづく)
(初出:2014年10月30日)
登録日:2014年10月30日 19時46分
タグ : 殺人 論文 心理学

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