コラム/PC・家電・IT
籠り屋ときどき実記(1)
[連載 | 連載中 | 全5話] 目次へ
「インターネット」と付けば許され、その上「ホームページをつくってる」といえばカッチョイイ。しかし、半分以上見栄で作られたページは「うんこちゃんなページ」なのであった。そんなページの作り方をあなたに伝授!
【2010年6月某日付記:1996年ごろの初出。空前のインターネットブームでした。とにかく「インターネット」の文字があれば、なんでも売れていました(2010年現在の「クラウド」とか「iPad」が比じゃないくらいでした)。そういう時代だったんですね。
あれから、わずか10年ちょいでブロードバンドでの常時接続の実現。そして、モバイルルータや3G回線を使って、該当からも高速アクセスするなんてのは、本当に思いも寄りませんでした(せいぜいグレーの公衆電話でしたもんね)。
で、当時のCMは、あまりネットの仕組みをわかってないものも多く、そのひとつの例として「インターネット内蔵」のキャッチコピーを揶揄しました。しかし、このコピー、購買層が試してみたいと考えていることをしっかり捉えています。今では「正確さには欠くけど、いいコピー」だなと思えるくらいには成長しました。
意図したものとしては、イヤミを述べることで、ユーザビリティの低いWebページが改善されればいいなというものでした。しかし、単にイヤミだけが伝わってしまいました。難しいものです。
また、本稿の主旨である「うんこちゃんなページをつくってみよう」というアプローチは、けっこう大事です。ビジネス的には、自分の気にいらないものが、どうしてできてしまったのかという追体験をしておくと、なにが嫌いなのか、どこにニーズがあるかを掘り下げることができます。
そして、当時も今もネットで体験する以上に、その体験するために要する時間がストレスとなっていました。というビジネス的な見方をしてもしかたないですね。】
【インターネットのつくりかた 1】
インターネットっ!
……これでつかみはバッチリだな。
ということで、どこ見てもインターネットだ。なんでもインターネットであれば許せるらしい。現在、CMの惹句の多くは『インターネット対応』が旬である。ついでに『ペンティアム内蔵』がくれば、もう完璧。なかには、2つをたして『インターネット内蔵』というものまであった。
すごい。
内蔵してしまうのである。もはやプロヴァイダに加入なんて考えなくていい。手元に置いただけでアクセスしほうだいである。これは一台、購入して、是非とも家宝にしてしまいたい。そんなご機嫌なアイテムだっ!
おっと、文体が崩れた。まあ、電波が命令するんだから、しょうがないわな。
そう、キーワードは〈電波〉だ。このところのホームページの増加数は電波のしわざ以外のなにものでもない。
「そろそろ、俺もホームページのひとつくらい持ってないといけないよな」
ということを心中ひそかに考えているひとが多いだろう。ここで疑問を投げかけよう。
なぜ「義務」の用法をもちいるのだ?
くり返し問う。なぜ「いけない」のだろうか。
これは、まさしく電波のなせるわざであり、裏にはフリーメーソンとニャントロ星人が結託した陰謀の影がチラホラと……って、そうじゃないんだが、まあ、なにかにとり憑かれたような雰囲気で、ホームページを覗きはじめ、それに飽きると一様にホームページをつくりはじめる。
日本人はマルチメディアとかクリエイターとかいうカタカナに弱い。こういう肩書きがついただけで、なにがしかの人物になった気がするし、またハッタリもかますことができる。ホームページ制作というのは、まさに「ハッタリかます」ことに関しては、今現在うってつけの行為なのである。ぶっちゃけたはなし、「ホームページつくってる」といえばカッチョイイわけなのだ。
要するに半分以上は見栄のためにつくっている。情報をデータベース化するとか、発信するとか高尚な考えは存在しない。その証拠にうんこちゃんなページが多い。
たとえれば、街ゆくおねーちゃんたちが、
「ねえねえ、聞いて聞いて」
と互いに呼びかけて会話している内容と同じくらいつまらない。ようするに自己満足・自己完結な世界なのである。
ちなみに、おなじ単語をくり返す回数はつまらなさと比例することがわかっている(当社調査部調べ)。さらに、繰り返す回数にはデフォルト値があって、関東で二回、関西で三回という調査結果(本石総合研究所調べ)もあるが、はなしがそれるのでやめておく。
ともかく、うんこちゃんなページの数は、《スタージョンの法則》を見事にしたがって増加していっている。しかし、いくらうんこちゃんであろうと物量が揃うとそれなりのものになる。吉本隆明ではないが、共同幻想で面白いと思うようになる(ならざるをえない)。長いものにはまかれちゃうのが日本人の性{さが}なのである。否定なんかできはしないだろう。
そこで、だ。
このうんこちゃんなページをつくってみようかと思う。
1.つくりかた
まず、そのまえにホームページのつくりかたを説明しよう。簡単である。
1.HTML形式で文章を書く。
2.アップロードする。
おしまい。
言っておくが、ホームページをつくる上での必須であるHTML文法に関しては説明しない。そんなものは書店で本を購入すればいいことだし、ホームページ上で解説しているところだって無数にある。ヤフーなどの検索エンジンにいって、HTMLで探せば、鬼のような数のヒットがあるだろう。
繰り返すが、これはうんこちゃんをつくるはなしなのである。
2.うんこちゃんへの道 ―プロヴァイダ編―
これでホームページはつくれる。が、ひとつ問題があった。プロヴァイダである。これに加入しなければ、ホームページは持つことはできない。どこでもいいじゃないか、という質問は愚問である。これはうんこちゃんなページをつくる企画である。プロヴァイダもうんこちゃんであることが望ましい。
うんこちゃんなページに最低限必要な条件を探してみよう。
・つまらない
・重い
この二点に集約される。
重いという点に関しては、物量的に重いのか回線そのものが重いのかの二つにわかれるが、ここはひと思いに最大限に重いものを目指すべきである。くりかえすが自己満足なのだ。他人の意見なんか、気にせずに、どぅーいっとまいうぇいである。
回線がいちばん重いとされているプロヴァイダをさがそう。具体名をあげると怒られるので、あげないが、重いプロヴァイダの探し方はいたって簡単。
・会員数の制限がない
・アクセス料金が安い(かつ定額料金制)
・アクセスポイントが1カ所だけ
・サーバを分割していない
・2次プロヴァイダである
上の条件を見事クリアーすれば、望みどおりゴリゴリに重いプロヴァイダを見つけることができるだろう。さらに付加的な条件として、CGIやSSIなんかが使えるともっと重くなるのは必然である。CGIとかSSIなどの意味がわからなくてよろしい。ともかく重くすることが必要なのだ。上にかかげた条件にわからない単語が出てきても、そのままにしておいてかまわない。知識なんざあ、邪魔になるだけだ。
ということで、尻切れトンボだが、今回はこのへんでおしまい。
次回は、もっとヘヴィなページのつくりかたにいくぞっ。
あれから、わずか10年ちょいでブロードバンドでの常時接続の実現。そして、モバイルルータや3G回線を使って、該当からも高速アクセスするなんてのは、本当に思いも寄りませんでした(せいぜいグレーの公衆電話でしたもんね)。
で、当時のCMは、あまりネットの仕組みをわかってないものも多く、そのひとつの例として「インターネット内蔵」のキャッチコピーを揶揄しました。しかし、このコピー、購買層が試してみたいと考えていることをしっかり捉えています。今では「正確さには欠くけど、いいコピー」だなと思えるくらいには成長しました。
意図したものとしては、イヤミを述べることで、ユーザビリティの低いWebページが改善されればいいなというものでした。しかし、単にイヤミだけが伝わってしまいました。難しいものです。
また、本稿の主旨である「うんこちゃんなページをつくってみよう」というアプローチは、けっこう大事です。ビジネス的には、自分の気にいらないものが、どうしてできてしまったのかという追体験をしておくと、なにが嫌いなのか、どこにニーズがあるかを掘り下げることができます。
そして、当時も今もネットで体験する以上に、その体験するために要する時間がストレスとなっていました。というビジネス的な見方をしてもしかたないですね。】
【インターネットのつくりかた 1】
インターネットっ!
……これでつかみはバッチリだな。
ということで、どこ見てもインターネットだ。なんでもインターネットであれば許せるらしい。現在、CMの惹句の多くは『インターネット対応』が旬である。ついでに『ペンティアム内蔵』がくれば、もう完璧。なかには、2つをたして『インターネット内蔵』というものまであった。
すごい。
内蔵してしまうのである。もはやプロヴァイダに加入なんて考えなくていい。手元に置いただけでアクセスしほうだいである。これは一台、購入して、是非とも家宝にしてしまいたい。そんなご機嫌なアイテムだっ!
おっと、文体が崩れた。まあ、電波が命令するんだから、しょうがないわな。
そう、キーワードは〈電波〉だ。このところのホームページの増加数は電波のしわざ以外のなにものでもない。
「そろそろ、俺もホームページのひとつくらい持ってないといけないよな」
ということを心中ひそかに考えているひとが多いだろう。ここで疑問を投げかけよう。
なぜ「義務」の用法をもちいるのだ?
くり返し問う。なぜ「いけない」のだろうか。
これは、まさしく電波のなせるわざであり、裏にはフリーメーソンとニャントロ星人が結託した陰謀の影がチラホラと……って、そうじゃないんだが、まあ、なにかにとり憑かれたような雰囲気で、ホームページを覗きはじめ、それに飽きると一様にホームページをつくりはじめる。
日本人はマルチメディアとかクリエイターとかいうカタカナに弱い。こういう肩書きがついただけで、なにがしかの人物になった気がするし、またハッタリもかますことができる。ホームページ制作というのは、まさに「ハッタリかます」ことに関しては、今現在うってつけの行為なのである。ぶっちゃけたはなし、「ホームページつくってる」といえばカッチョイイわけなのだ。
要するに半分以上は見栄のためにつくっている。情報をデータベース化するとか、発信するとか高尚な考えは存在しない。その証拠にうんこちゃんなページが多い。
たとえれば、街ゆくおねーちゃんたちが、
「ねえねえ、聞いて聞いて」
と互いに呼びかけて会話している内容と同じくらいつまらない。ようするに自己満足・自己完結な世界なのである。
ちなみに、おなじ単語をくり返す回数はつまらなさと比例することがわかっている(当社調査部調べ)。さらに、繰り返す回数にはデフォルト値があって、関東で二回、関西で三回という調査結果(本石総合研究所調べ)もあるが、はなしがそれるのでやめておく。
ともかく、うんこちゃんなページの数は、《スタージョンの法則》を見事にしたがって増加していっている。しかし、いくらうんこちゃんであろうと物量が揃うとそれなりのものになる。吉本隆明ではないが、共同幻想で面白いと思うようになる(ならざるをえない)。長いものにはまかれちゃうのが日本人の性{さが}なのである。否定なんかできはしないだろう。
そこで、だ。
このうんこちゃんなページをつくってみようかと思う。
1.つくりかた
まず、そのまえにホームページのつくりかたを説明しよう。簡単である。
1.HTML形式で文章を書く。
2.アップロードする。
おしまい。
言っておくが、ホームページをつくる上での必須であるHTML文法に関しては説明しない。そんなものは書店で本を購入すればいいことだし、ホームページ上で解説しているところだって無数にある。ヤフーなどの検索エンジンにいって、HTMLで探せば、鬼のような数のヒットがあるだろう。
繰り返すが、これはうんこちゃんをつくるはなしなのである。
2.うんこちゃんへの道 ―プロヴァイダ編―
これでホームページはつくれる。が、ひとつ問題があった。プロヴァイダである。これに加入しなければ、ホームページは持つことはできない。どこでもいいじゃないか、という質問は愚問である。これはうんこちゃんなページをつくる企画である。プロヴァイダもうんこちゃんであることが望ましい。
うんこちゃんなページに最低限必要な条件を探してみよう。
・つまらない
・重い
この二点に集約される。
重いという点に関しては、物量的に重いのか回線そのものが重いのかの二つにわかれるが、ここはひと思いに最大限に重いものを目指すべきである。くりかえすが自己満足なのだ。他人の意見なんか、気にせずに、どぅーいっとまいうぇいである。
回線がいちばん重いとされているプロヴァイダをさがそう。具体名をあげると怒られるので、あげないが、重いプロヴァイダの探し方はいたって簡単。
・会員数の制限がない
・アクセス料金が安い(かつ定額料金制)
・アクセスポイントが1カ所だけ
・サーバを分割していない
・2次プロヴァイダである
上の条件を見事クリアーすれば、望みどおりゴリゴリに重いプロヴァイダを見つけることができるだろう。さらに付加的な条件として、CGIやSSIなんかが使えるともっと重くなるのは必然である。CGIとかSSIなどの意味がわからなくてよろしい。ともかく重くすることが必要なのだ。上にかかげた条件にわからない単語が出てきても、そのままにしておいてかまわない。知識なんざあ、邪魔になるだけだ。
ということで、尻切れトンボだが、今回はこのへんでおしまい。
次回は、もっとヘヴィなページのつくりかたにいくぞっ。
(つづく)
(初出:1996年07月)
(初出:1996年07月)
登録日:2010年06月22日 17時01分
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