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ヤマサキセイヤ
著者:ヤマサキセイヤ(やまさきせいや)
フリーランスの編集者・ライター・実務翻訳者。東京都在住。1968年生まれ。長崎市出身。東北大学薬学部中退。
コラム/PC・家電・IT

籠り屋ときどき実記(2)

[連載 | 連載中 | 全5話] 目次へ
前回に続き「長いものにまかれまくった、個性のかけらもないページづくり」を目標に、ホームページのコンテンツについて考察する。
【2010年6月某日付記:(1)と同じく1996年くらいの記事。隔世の感があります。当時はネットが遅かったのです。200KBの画像ですら重くて仕方ありませんでした。
 記事後半では『横並び』云々がありますが、いまやこれらの要素は見せ方は違えども掲載されていて当たり前で、これ以外になにをプラスαするかがセルフブランディングの王道となっているようです。あ。さすがに音声プロフは声とか音のご商売以外のかたには向いておりませんが。】


【インターネットのつくりかた 2】

 ホームページの中身は重さと反比例するという説があって、あながち根拠のないものでもない。けれども、そんな意見に左右されてはいけない。日本人だからだ。ここで目指すのは、ウンコちゃんなページで、長いものにまかれまくった、日本人のアイデンティティはかくやと見せつけんばかりに、個性のかけらもないページづくりなのだ。
 オーパーツという言葉は、一種、電波的な専門用語なのだが、古代の技術で作られた謎の物体を意味する。考古学者が一見して「誰が――? いったいなんのために――?」と異口同音にするシロモノである。
 目標はこれだ。これがウンコちゃんなページの金科玉条である。
 人目なんか気にせず、みずからの意思(あるいは電波もしくはバシャール)の命ずるままにつくらねばならない。

 前回は、その定義とプロヴァイダ選びの説明で終わってしまったが、今回は、もっと具体的なことを説明していこう。

1.まずはネットサーフィン
 さて、コンテンツ制作だ。中身をどうしようと考えてはいけない。誰もがやっていることをやればいいだけである。
 たいていのところにあるもの。そう、リンク集だ。これははずせない。
 ここで、テーマを絞ってリンク集をつくるなどは持ってのほかだ。テーマが存在することで、おのずと個性が浮き彫りにされるからだ。テーマは禁忌である。ただし、あくまでも自分のためのテーマなら、それはそれでよいだろう。大切なのは、ひとさまの役にたたないという心がけである。
 では、どのようにしてリンク集をつくればよいか?
 下準備として、ネットサーフィンしよう。1時間もネットサーフィンして、WWWブラウザのブックマークに適当に登録する。この段階で最低10個以上のリンク先が登録されているはずだ。うまいことに、WWWブラウザのブックマークは、パソコンの中にhtml形式のテキストファイルとして保存される。これを、そのままアップロードするだけで、もうホームページは完成しているはずである。ともあれ、ウンコちゃんの踏み台はできたわけである。
 リンク集だけのページは、たしかにウンコちゃんな要素は兼ね備えているが、それだけでは、まだ横並びの個性のなさという大テーマを達成するには及ばない。もう少し発展させねばならない(この段階で、踏みとどめるのも一つの手であるが、その際には、このファイルをいじくらないようにしよう。価値が半減するからだ)。

2.派手にしてみる
 ホームページを一躍、時代の寵児たるものにせしめたのは、そのカラフルさである。要するに絵である。それまで、キャラクタベースであった、コンピュータ間のコミュニケーションを華やかなものにしたのである。文字に比べて、圧倒的に情報量が多い。ここに目をつけよう。
 巨大な画像。
 それだけで、もう没個性的になれる可能性は十分にある。最低でも200Kくらいの画像であることが望ましい。このくらいの大きさの画像なら、トラフィックの混み具合によって、表示に5分以上はかかる。5分かけて表示された画像がトホホなものであればあるほど、よりウンコちゃんなページに近づくのである。具体的な例をあげたほうがわかりやすいだろうか。
 写真である。
 じぶんの写真をフルカラーで(言うまでもなく減色するのは禁忌である)、どどーんとトップページにかざればよいのだ。さらにタイトル、バックグラウンドなども思いきり派手なものにしよう。トップページに含まれる画像だけで最低1メガは欲しい。
 贅沢を言うなら、リンクボタンも画像にしよう。テキストをクリックしてリンク先にとばすなんてのは野暮だ。画像のほうが絶対いい。ボタン1つで100Kくらいの画像であれば、なおさらいい。
 トップページが表示されるまで、10分以上はかかる。素晴らしいことじゃないか。

3.さらに横並びにするために
 さて、これだけでもまだ物足りない。横並びにするには足りない重要な要素がある。
 カウンターである。
 ホームページにアクセスしたときに表示される『あなたはXX番目のお客様です』というあれだ。これがなければ、没個性とは言えない。だが、カウンターをつけるために、わざわざCGIやSSIを覚えてはいけない。じぶんのホームページの存在するサーバで、そういうものを動かしては、重さが軽減するからである。
 カウンターは、じぶんのサイトじゃないところのものを使う。これが重いカウンタの鉄則である。トラフィックの混雑しそうなカウンタサービスをやっているところを探してみよう。Yahoo!(http://www.yahoo.com/)で『counter』とでもやって検索すれば、かなりの数のヒットがあるだろう。
 有名なところでは、Web Counterのホームページがある。URLは、http://www.digits.com/だ。ここの弱点は、重いときと軽いときの時間帯がバラけることだ。四六時中重いカウンターサービスをやっているところを探していただきたい。
 各種カウンターでは、カウント数を画像表示にするか、テキスト表示にするかのオプションを選択できるようになっているが、ここでは画像表示を選択するのは言うまでもないだろう。

4.コンテンツの最終兵器
 いままでの要素を満たせば、もうすでにウンコちゃんなページである。ここでさらにとどめを刺すようなコンテンツを示唆しておこう。
 日記である。
 これがなければ、資格はないと言えるかもしれない。いまでこそ、その数は減少してきているが、日本のホームページ界にあって、日記は避けては通れないコンテンツである。
 しかも、毎日つけてはいけない。つくりはじめて、数週間で尻切れトンボになっていることが望ましい。最初のうちは、もの珍しさで書いているが、だんだんと日頃のずぼらな癖が出てきて、いきなり日記の更新がされなくなってしまう。これが理想である。

5.応用編
 ここまで書いてくると、だいたいコツがわかってきたものと思う。この他にも色々と要素はあるのだ。これをひとつひとつ解説していくと、枚数にいとまがない。いや、なによりも、解説すればするほど、没個性から脱却していくというアンビバレントな結果をうむことになってしまうのである。これは、ぼくの望むことではない。だが、しかし、ホームページ界の動きは、すさまじく早く、いまここで紹介した『横並び』の要素が、明日には別のものにとって代わられる可能性もあるのだ。そこで、いまは目新しいかもしれないが、この先、確実に『横並び』になるであろう要素を3つほどあげておこう。

 ・クリッカブルマップによるメニュー
 ・音声と画像つきのプロフィール
 ・デジタルカメラによる日記

 この3つは、これからの一年間で、WWWを席巻すると思われる。ぜひ、注意して観察していただきたい。そして、ウンコちゃんなページのステージを高いものにしていただきたい。
(つづく)
(初出:1996年08月)
登録日:2010年06月22日 17時03分

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  • 籠り屋ときどき実記(1) ヤマサキセイヤ (2010年06月22日 17時01分)
    「インターネット」と付けば許され、その上「ホームページをつくってる」といえばカッチョイイ。しかし、半分以上見栄で作られたページは「うんこちゃんなページ」なのであった。そんなページの作り方をあなたに伝授!(コラムPC・家電・IT