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ヤマサキセイヤ
著者:ヤマサキセイヤ(やまさきせいや)
フリーランスの編集者・ライター・実務翻訳者。東京都在住。1968年生まれ。長崎市出身。東北大学薬学部中退。
コラム/PC・家電・IT

籠り屋ときどき実記(3)

[連載 | 連載中 | 全5話] 目次へ
俺的な「たまごっち」の真相の究明を試みる。なぜ、たまごっちは入手しづらいのか、そこには実は大きな陰謀が絡んでいたのだ。この、おそるべき推測を見よ!
【2010年6月某日付記:たぶん初出は1997年。見たことのないものを勝手に想像して記事を作るという、オカルト記事の構成方法を「たまごっち」でやってみるとどうかという試みでした。
 記事内にあるK-1の記述がまちがえていますが、このままにしておきます。また、ツッコミどころとしては「バンダイとSEGAの合併ばなし」でしょうか。セガバンダイは数ヶ月でナシになって、その後にバンダイナムコが誕生するとは思わない10年前でした。
 後半は適当なヤッツケ感があふれておりますね。流行り物なのでほしかった感もあって、筆者の幼さが見え隠れしております。】


●たまごっち変

 巷では『たまごっち』が流行っているようである。
 ようであると伝聞・推定で書いたからには、当然、根拠があって然るべきで、ご想像のとおりいまだに実物をおがんだことがないのである。だもんだから、それがどういうものなのかがまったくわからない。わからないくせに、そのことについて記すというのは無謀だが、本来が無謀なうえに脳天記な性格なので敢えて書く。さらに、じぶんが見たことないのなら他のひとも見ていないだろうと横暴にたかをくくってみてもよしとして、好き勝手に書いても怒られないだろうってことで――
 この未知なる物質(俺的に)『たまごっち』とはなんぞや?
 今回は『たまごっち』の真相を究明してみたい。

 未知のサンプルにあたるときの常套手段を用いる。まず、わかっていることがらをあげてみよう。


商品名は『ハイパーインタラクティブデジタルペット たまごっち』
第2弾が『新種発見!! たまごっち』
携帯型のゲーム
育成型のゲーム
中毒性がある
女子中高生に大人気
市場になかなか出回らない
発売元はバンダイ

 これだけの事実から類推していくしかない(演繹的手法)。ひとつ言えることは、これはなにかを育てるゲームであるということだ。育てゲーといえば、王道として『プリンセスメーカー』というガイナックス制作のゲームがある。神様から預かった少女を育てるというオタクごころをもりもり刺激するゲームである。『たまごっち』の販売元がバンダイであるからして、この二番煎じを狙ったものと考えていいだろう。
 ところがである。不審な点がある。
 女子中高生に人気なのだ。
 彼女らが、オタクごころ全開のアレなソレが売りのゲームである『プリンセスメーカー』に飛びつくわけがない。ここは育てる対象が、少女ではなくて少年とみるとどうだろう。すんなり納得できるではないか。そのうえだ。今日びの女子中高生は、ポケベルといい、携帯電話といい、ピッチ(PHS)といい、手のひらサイズのアイテムで男を手玉にとる習性がある。少年を我が手中で育てるゲームに人気が出ないわけがないと妙に感心してしまう。しかも携帯型である。大ヒット間違いなしである。さすがバンダイ、SDガンダムは伊達じゃないっ。墜ちるアクシズもなんのその、サイコフレーム全開の電波系の豪快さだ。
 とりあえず少年を育てるゲームだろうというところまでは解明できた。だが、それだけで中毒性のあるゲームになるのだろうか、いやない(反語)。ここに《育てゲー》というコンセプト以外に、我々は『たまごっち』に隠された別のコンセプトを見いださなければならない。
 さて、『K−1』という単語はご存じだろうか。格闘技ナンバー1、King of Kingsを意味する。当世のヤングには大人気のしごく常識の言葉だ。軟弱な時代、混乱する世紀末を生き残るためには《力》が必要。それは《頭脳》ではなく《体力》だと、ヤングは足りない頭で判断したのである。
 これこそが隠しテーマだと睨んでよい。
 ゲームという観点から考えても、アーケードゲームでは、CAPCOMの『ストリートファイター2』やSEGAの『ヴァーチャファイター』などの格闘ゲームが、オタク系じゃないヤングに大人気だ。《格闘技》がキーワードであることは間違いない(余談だがバンダイとSEGAとの合併により、より素晴らしい格闘育てゲー『新たまごっち』が期待される)。少年を理想に武闘家に育て上げる――素晴らしいコンセプトである。これなら中毒になってもしかたないだろう。
 仮説を生み出す経緯で、極めて重大な発見をしたことも記しておかねばなるまい。『たまごっち』そのものの名称のなかにも格闘技を示唆する言葉があったのだ。『たまご・っち』ではなくて『たま・ごっち』。『ごっち』――そう、プロレスの神様カール・ゴッチのことである。神様まで持ち出してくるとは、怖るべしバンダイの底力だ。
 ここに至って、『たまごっち』が入手しづらいという謎が解明できる。生産がおっつかないというのが諸説だが、それは真っ赤な嘘である。『たまごっち』のなかには、カール・ゴッチの細胞が入っているのだ。細胞培養に時間がかかっているに違いないのだ。これなら、素直に納得できる。『たまごっち』はハイテクなだけのゲームではない。バイオテクノロジーさえも駆使していたのである。

 どうだろう。あくまで推測の範囲でしかないが、『たまごっち』に隠された、怖ろしい正体をかいま見ることができただろうか? 少女たちは掌中の少年をカール・ゴッチを目標にして理想の少年に育て上げる。さらに、それは細胞という生命が入った小型の箱である。呪詛のひとつの変形と呼んでも差し支えないだろう。悪魔の儀式が日本各地のいたるところで、おこなわれているのだ。
 まさに世紀末である。

 この推測が外れていることを祈ってしかたがない。ともあれ、日本を魔の手から守るために『たまごっち』を売っている店を見つけたら、早急に教えていただきたい。
(つづく)
(初出:1997年02月)
登録日:2010年06月22日 17時04分
タグ : たまごっち

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