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ヤマサキセイヤ
著者:ヤマサキセイヤ(やまさきせいや)
フリーランスの編集者・ライター・実務翻訳者。東京都在住。1968年生まれ。長崎市出身。東北大学薬学部中退。
コラム/PC・家電・IT

籠り屋ときどき実記(5)

[連載 | 連載中 | 全5話] 目次へ
テーマなくしては文章を書けなくなってしまったという作者が、なんとか捻出しながらさまざまな角度から(?)考察してゆく。1年ぶりの実記。
【2010年6月某日付記:初出は2001年。心情を吐露すると傷ついちゃう壊れやすいひとがいて、なにも書けなくなっていた時期のものです。また、身辺雑記を書いても、それで傷つくと言われてしまい、とにかくなにも書けない時期でした。
 なにか書くと傷つくなら、あえて上すべりのものにしようと「口八丁手八丁」「口から出まかせ」を意識してデタラメに書いてみました。
 さらに、悪いことに知識的にもバーンアウトした状態だし、(4)と同じく妄想も熟成できておりません。結果として、大迷走したわりには、さしておもしろくない記事になってしまいました。
 とてもひとさまにお見せする出来ではないのですが、自戒をこめて公開しておきます。芯のない雑文は、読み直すのもつらいです。
 でも、最後の締めの段落は気に入っています。】



●名称未設定

 どっこらせっと。
 や、ひさしぶり! 1年くらいかなあ。いや、もう書きかた忘れちゃってさ。いまもトイレでウンウンうなりながら書いているところ。
 ウソ!!
 実は、仕事のあいまのポンとあいた時間にケンタッキーフライドチキンにもぐりこんで、ひっそりとゼロハリバートンがデザインしたNTTドコモ製のナイスなガジェット『sigmarion』(Windows CE 2.11/RAM:32MB/CPU:MIPSVR4121-168MHz/6.2型カラーSTN液晶/解像度:640×240ドット)をテーブルの上にのせ、NECのMGエディタのOEMと思われるMPエディタをたちあげ、ワサワサとジンガーバーガーを頬張りながら、オプションのコカコーラをゴキゴキと飲みながら、この文章を書いているのだ。
 でも、ウンウンうなりながら書いているのはホント。
 オレはもうまったく完璧にコンチクショウなスットコドッコイなくらいにコラムの書きかたを忘れてしまった。というか、売文家の血がしみついてしまったためにテーマがなければ、文章が書けなくなっちまったんだな。これは痛いなあ。フリーコラムというのが、いまいちばんの苦手な分野だ。
 わたしは作家気質でもないから、「ふつふつと心の奥底から沸きだしてくる情念・想念・妄念・妄想・妄執」なんてものはないのだ。そのうえ、日々の暮らしぶりは個人ページの日記で延々と駄文を書きつづっているので、これまた書くことがない。だいたい、わたしの暮らしぶりなんてぜんぜんおもしろくないじゃないの。ほんとに書きたいことがないのである。
 しかし、このままではぜんぜんなにも進まない。
 困った。
 困ったので、強制的にテーマを決めることにする。
 人間はテレビゲームなしで生きられるか?
 これだ。よし、考えてみよう。
答え:生きられる。
 うわ、一言で終わったよ。だって、戦国時代にはテレビゲームなしで生きていたもんね。本能寺の変の原因が、明智光秀がコロコロコミックの懸賞にハガキ3000枚を送って苦労して手に入れたミュウツーを、織田信長にカツアゲされた恨みによる挙兵だったらイヤだもんね。おもしろいけど。
 んじゃあ、なにを書けばいいのだろう。
 よし、もう一回テーマを決めよう。
 人間はスターバックスのキャラメルマキアートなしで生きられるか?
 これこれ、これでいこう。
 答え:生きられる。
 む。これも一言で終わった。だって、織田信長は生きてたもんね。いまは死んでるけど。あ、いや。ひょっとすると、戦国時代にキャラメルマキアートがあったら、まだ生きているかもしれない。これは検証してみると、きっとスゴイ結果が判明するかもしれない。
 検証に必要なのは、やはり実験だ! それも科学的な実験が必要。生後4カ月の織田信長(♂)を用意して、毎日400ミリリットルのキャラメルマキアート(スターバックス製)を投与しつづけ、どのくらい延命効果があるかを経時的に観察するのだ。このような生物学的な実験では、比較対象のためのコントロール群とよばれる標準グループが必要だ。つまり、最低でも織田信長(生後4カ月、♂)がもう1体必要になる。この準備がちょっと難しいかな。でも、世界は広いので、どこかに一卵性双生児の織田信長(生後4カ月、♂)は存在しているだろう。どこかの科学者に実験してもらいたいものだ。たぶん、ノーベル賞ものの発見で、世界に発表された次の週には「思いっきりテレビ」や「あるある大事典」で紹介されることだろう。がんばってもらいたい。とりあえず、わたしは信長の墓にキャラメルマキアートをドボドボとかけてみることにしよう。
 いかん。こんな内容じゃなかったはずだ。新しいテーマに変えよう。んじゃ、これはどうだ!
 人間はiモードなしでシアワセになれるか?
 iモードというのは、20世紀後半に活躍した松永真理博士(アインシュタイン博士の孫から遮光器土偶を1億5000万円でゆずり受けた人物の近所に住むひとの従兄弟の義理の妹のマンションの階下に在住)が、光電効果とブラッグ反射とドップラー効果と黒体輻射の原理を利用して発明した、全長20キロメートルのスペースコロニー型携帯電話(人口2億5342万人、バイブ機能アリ)の特別な機能だ。この機能を使えば、コロニーレーザーを乱射したり、ソロモンの悪夢アナベル・ガトーの背後にまわってひっつめ髪を三つ編みにしてみたり、コンバット越前の「せっかくだからボイス」を思うさま繰り返して聞いたり、ナンシー関画伯に似顔絵ゴム判を掘ってもらえたりするらしい。
 なんかすごいなあ。だんだん欲しくなってきたぞ。ああ、そこがキモなんだな。どこに売ってるんだろう、iモードって。
 ということで、わたしはiモードを探す旅に出た。新宿のケンタッキーフライドチキンを出て、さっそく中央線に乗り込んだ。そして、家に帰ってきてしまったよ。
 うーむ、iモードは落ちてなかったなあ。仕方ないので、『日清お茶漬けチキンラーメン』を食してみたよ。むほっ、げふげふげふっ……なんじゃこりゃあ。美味しいとかそういう問題じゃなくて、オプションのワサビがすごくむせる。ズズっと一口食べると、またげふげふっとむせてしまう。このむせかたサイコー。たまんないっすね。クセになったよ。クセになったので、さらに食してみた。なんか段々とシアワセになってきた。なんだ、iモードなしでもシアワセになれるじゃん。
 シアワセなんてものは、たいていそのへんの落ちてるのよね。耳たぶの裏側とかにさ。あと、地縛霊とか水子も。気をつけたいものだ。
(つづく)
(初出:2001年03月)
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登録日:2010年06月22日 17時09分
タグ : iモード

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