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宇佐美ダイ
著者:宇佐美ダイ(うさみだい)
2011年夏、東京から宮崎に戻ってきました。格闘技をやってます。元カメラマンですけど、今は正義の味方の仕事をしています。いつの間にか人の心も読めるようになりました。そして趣味で浮遊しているような写真を三脚+セルフタイマーで撮ってます。林ナツミさんの写真を見て撮り始めました。反原発、反TPPです。今の殺伐とした仕事をテーマにいつか書きたいなあ、と思ってます。
エッセイ/エッセイ

ビーチボーイズ白浜に吠える(2)

[連載 | 完結済 | 全13話] 目次へ
美を極めた美青年イイサカにアゴだし水野、建設会社の社長である玉田さん、『ビーチボーイズ』の面々が個性を発揮!
■美形のイイサカ走る

 タイヤが激しく砂を踏み散らす音に、振り返ると、日高みほちゃんの彼氏、水野が、ジムニーの運転席の窓から三日月アゴをつき出していた。
「おお! みほちゃんをほっといて助手席にきれいな女の子を乗せてるやんか! これはちょっと指導が必要やな」と、思ったら、なんとそれは美青年イイサカだった。
 先日、居酒屋で会った時よりさらに美を極めていて、一番街や若草通りなどを歩いているショーベン臭いコギャルやマゴギャルなど吹っ飛んでしまう勢いで美人化しているのであった。
「俺たち、何をすればいい?」
 アゴだし水野は、体育会系の声で言った。
 彼は来年宮崎大学を卒業する予定なのだけど、かなりヤバイのだそうだ。
「まだ基地も決めていないので遊んでいていいよ」
 僕がそう言うと、ふたりは、フリスビーを素早く車から取り出し、身体をぶつけあうようにして浜に駆けおりていった。
 イイサカの長い髪がさらさらと潮風に揺れ、スポーツ刈りのアゴだし水野がそれを撫でる。
 アゴだし水野のスルドイ目が、いつの間にか波線(〜)になっていた。
 うーむ。
「水野君とイイサカ君の雰囲気があやしくって、ちょっと心配してるの」
 会社でみほちゃんが言った言葉をふと思いだし、「ホント、男女関係も男男関係も卒業もかなりヤバイんじゃないの」と、深く納得し、ついでに同情もしてしまった。
「イイサカー! どこ投げてんだよー」
「ごめーん!」
「まったく、へたくそなんだから! わはははははははははははははははははは!」
「水野くーん、ここまでおいでー!」
 二人は少女漫画的キラキラ光線を発しつつ、浜辺を走るのであった。
 僕もいろいろあやしいキャンプをやってきたけれど、今回はさらに別の意味であやしくなるのではないだろうか。
 心配だ……。

 朝ごはんをきっちりと食べたのに、キャンプ用品をひっぱり出していたら、おなかが鳴った。
 キャンプ用品に染み付いた焼き肉のにおいが、僕のおなかを思いっきり刺激するのだ。
 うー、たまらん!
 僕のおなかの悲鳴が東京ドームを揺らすほどの大合唱になってしまった時、トラックの荷台に流木を満載した玉田さんが、いつものように「おはようございますっ!」と、礼儀正しい挨拶をしつつやってきた。
 直立不動である。
 何故か『小さく前にならい』をしている。
 こうゆうオフでは、すごく頼りになる人なのだ。
 僕のおなかを満たしてはくれないのだけど、玉田さんがあらわれると安心感で胸がいっぱいになる。
「とりあえず流木はここにおろして、みんながやってきたら、えっちらこっちらと運びましょうよ」
 玉田さんは、したたり落ちる汗を肩にかけたタオルでぐいぐいっとぬぐいながら陽気に言った。
 歯に絹着せぬ発言でいろんなモノをぶった切っているパソコン通信の中の玉田さんの素顔は、建築会社の社長さんなのだ。
 パソコン通信ニフティサーブの宮崎会議室で、大手パソコンショップのサービスの悪さについて発言し、「玉田さん、サービスについてはスタッフを教育しなおしますから、もう書かないでくださいよう」と、そこの店長に言わせたお人なのである。
 ひとつ間違えれると営業妨害になっちゃうのかもしれないのだけど、そのギリギリの線でうまく書いていたりするのであった。
 玉田さんは、仕事が休みの日を使って、今日の日のために流木を集めてくれたのだ。
 流木集めをお願いしたのは、僕なんだけれど、こんなに大量の流木を集めてくれるとは、もう感謝を通り越してひれ伏したいキブンでいっぱいになってしまった。
(つづく)
(初出:2002年05月)
登録日:2010年05月31日 19時42分
タグ : キャンプ

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