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麻梨
著者:麻梨(あさり)
銀魂と廃墟と三浦しをんさんと箱根駅伝をこよなく愛する性別♀。最近の悩みは仕事帰りに寄ったプールで監視員のおじさんに(真剣に泳いでいたにもかかわらず)「大丈夫? ビート板使う?」と心配され、それをさらに職場で話して笑われたこと。大体毎日幸せに生きています。そう見えないらしいけれど。上記で勘のいい人ならうっすら察せる通り、書くことにおいてド素人です。
エッセイ/エッセイ

吾輩は司書である(18)

[連載 | 連載中 | 全29話] 目次へ
図書館の始まりはまさかの紀元前! 日本における図書館の始まりと無償化について。図書館の役割に言及します。
 歴史と未来

 考えてみれば図書館の歴史とかって、その業界にいないと勉強する機会もないよなぁということに気が付きました。
 現代の日本における図書館は、「無料の本貸し屋」というイメージだと思います。
 一方で、日本で資料を無償提供することを定めた「図書館法」の誕生はおおよそ六〇年前。
 なんだか古いんだか新しいんだか判定が微妙な数字ですね。
 では、図書館そのものはいつ誕生したか。
 遡ること紀元前。
 アッシュールバニパルの図書館がはじまりとされています。
 えぇ、まさかの紀元前!

 アッシリア王の宮殿にあったといわれており、「図書館のない宮殿など兵器のない軍隊である」と言わんばかりに大切にされておりました。誰が言い出したのか知りませんけれど、無駄に厳ついなこの名言。「米を喰わない日本人など軟弱である」みたいな。
 この次点で察せると思いますが、家に持ち帰ることはもちろん「誰でも自由に」使えるわけではありませんでした。
 歴史的には、学者や貴族以外の者は利用できず、有料であった時代が長いとされています。
 中世ヨーロッパでは書棚と本が鎖で繋がれているという徹底ぶり。
 なんつー原始的な。
 情報開示のやる気がありません。
 今の時代で想像してみましょう。
 あなたの自宅の近所にかわいいポメラニアンがいます。
 あなたはそのポメラニアンが触りたくてたまらない。柵に手をつっこんで指先だけぎりぎり触れられますが、ポメも鎖で繋がれていてあなたのところへ駆け寄れない……!
 まぁ、だいたいこんな感じです(嘘です)。
 シルエット的には多分間違っていない。
 写本一冊で家が買えるほど貴重なものであったため、当然っちゃ当然なのですが。それにしても疑り深いよ……。

 その後なんやかんやで公共図書館がつくられ、てんやわんやで日本にも明治あたりに生まれ、一九五〇年に図書館法が制定されるまで閲覧料が発生していた……など、いろいろありました。
 時代ですけれど、鎖に繋がれていたことを考えれば、日本の無償化がいかに尊いことかお分かりでしょう。

 図書館はあくまで公共の「教育施設」。知的財産であり続けることが我々の確固たる理念です。
 最新の資料をお届けする、という項目においては決して優れている機関ではありませんし、時代の主役がコンピューターであることは厳然たる事実。
 それでも紙の資料に拘るのは、この先どんなに電子書籍の技術が発展しても、紙の資料が完全になくなることはないという執念や願望があるわけです。
 一説では、日本から紙の資料が消えるとき、それは学校教育で紙の教科書を必要としなくなったときとも言われています。
 六〇年後の未来に図書館法が変わらず、無償のままかどうかはわかりません。
 来る激動の瞬間まで、我々司書は人類の未来と英知のために、人と資料と繋ぎ止めること。
 それを職務として全うするだけです。
(つづく)
(初出:2015年09月26日)
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登録日:2015年09月26日 13時18分
タグ : 図書館 歴史 未来

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