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麻梨
著者:麻梨(あさり)
銀魂と廃墟と三浦しをんさんと箱根駅伝をこよなく愛する性別♀。最近の悩みは仕事帰りに寄ったプールで監視員のおじさんに(真剣に泳いでいたにもかかわらず)「大丈夫? ビート板使う?」と心配され、それをさらに職場で話して笑われたこと。大体毎日幸せに生きています。そう見えないらしいけれど。上記で勘のいい人ならうっすら察せる通り、書くことにおいてド素人です。
エッセイ/エッセイ

吾輩は司書である(2)

[連載 | 連載中 | 全29話] 目次へ
公共図書館の司書を務める著者。いまの図書館はファーストフード店も真っ青なサービス業。その具体例を解説します。
 庶民図書館

 もうタイトルからしていろんな人に喧嘩売っています。

 さて、私の勤める公共図書館は下々……失礼。庶民のみなみなさまが一度は利用されたことがあるであろう、地域サービスを目的とした最もポピュラーな図書館です。
 町立・市立・県立、公立図書館もこれに近いですね。
 一昔前までは地方自治体での運営が当たり前でしたが、現在は図書館の業務委託化が促進されています。
 私もまた図書館員であり、会社員であります。
 大きな違いは「お役所仕事」が許されません。
 入社時に接客業としてのマナーを学び、社員全員がコンプライアンスの講習に参加。
 もうファストフード店も真っ青なサービス業。
 正直、大型チェーンの本屋さんにも負けませんというくらい接遇を重んじております。
 と、まぁお固く説明するとこんな感じですね。

 ぶっちゃけますと、私の一年目の仕事の大半が町運営時代のずさん管理を正すことに時間を費やしまくっていました。
 コピー用紙をトイレットペーパーレベルに柔らかく説明し直しましょう。現在の図書館は今の三〇代くらいの人が子供だった時代に利用した形態とは違い、サービス精神と柔軟性がある施設。と思っていただければ良いかと。
 やれと言われれば、それが図書館法に反しない限り、できるだけ来館者様の意に沿う対応を大事にしています。

 私の勤務先では近隣施設管理も業務に含まれます。
 例えば公民館イベントの説明もするし、学校行事のサポート・体育館の管理・保健センターで赤ちゃん献身のとき本配る、など。
 先輩はキグルミに入ったし、館長はイベントの時に水風船作るし。ベビーマッサージとか紅茶教室とか慈善授業の企画も経てます。
 ほんと、なんでもやるんです。
 夏休み、子供が「宿題手伝え」とか「自由工作手伝え」とか、「読書感想文の書き方教えろ」とか、もう進撃の小学生集団が押し寄せた日には計画性と言う言葉を辞書で引かせたくなりました。大体、八月の後半に複数名で来やがります。
 もう新学期始まっている頃に「読書感想文かけない」と相談しにくる猛者もいます。この本おすすめだよと、本を紹介したところ、
「どういう話? どういう終わり方するの?」
 うっかり説明してはいけません。そのまま書こうとします。
 読む気すらねぇと言う!
 潔いほど魂胆が見え見えです。
 さすがに激おこぷんぷん丸ですね。

 業務委託している会社運営の図書館は本だけを見つめている所なんてまずありません。
 新刊が入る日にゃ、ヤマト運輸もびっくりなテンションで
「サイン済みました! 新刊五箱入りまぁす!」
「了解! どんとこいやぁ!」
「発注かけた資料が届いていません! 納品遅れです!」
「連絡とれ、何としてでも予約多数入る前に間に合わせるぞ!」
 みたいな。
 極端な話、海のない漁師想像してください。
 マジで忙しいんですよ。
 内気で楚々とした文学少女なんてやっていられません。
 大体の人が一か月もせずに三つ編みを解き、腕をまくり、ズボンを汗と煤で汚しながら駆けずり回るようになります。(図書館で走っちゃいけません)
 全国区で図書館を運営している会社になると、サービスが一貫されるため、地方によって質や対応が異なるということも削減されます。
 お金がないけど遊びたいとか。時間を潰したいとか。
 あまり明確な目的無いときでも気軽にご利用頂きたい。
 子供相手に同レベルのやりとりをしつつヤンキー座りで本の紹介とかしていたら、……多分それが私です。
(つづく)
(初出:2014年07月12日)
登録日:2014年07月12日 12時33分
タグ : 図書館 司書

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