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麻梨
著者:麻梨(あさり)
銀魂と廃墟と三浦しをんさんと箱根駅伝をこよなく愛する性別♀。最近の悩みは仕事帰りに寄ったプールで監視員のおじさんに(真剣に泳いでいたにもかかわらず)「大丈夫? ビート板使う?」と心配され、それをさらに職場で話して笑われたこと。大体毎日幸せに生きています。そう見えないらしいけれど。上記で勘のいい人ならうっすら察せる通り、書くことにおいてド素人です。
エッセイ/エッセイ

吾輩は司書である(29)

[連載 | 連載中 | 全29話] 目次へ
外面はスペックの高い女子二名。ひとりは腐女子でもうひとりはダブルパンツ。見抜けるモノはそうざらにはおるまい……。人は見かけによらないというお話。
 乙女的哲学


 人は見かけによらないのだよエピソードって結構ありますが、真っ先に思いつく友人が二名います。「オノ」と「ちゅお」、共通の友人です。

 ちゅおは私と同じく公共図書館に就職したのですが、私と業務内容が全然被りません。彼女の方が専門的で小難しい仕事をしています。
 大学時代、彼女はびっくりするぐらい食べず、寝ない子でした。
 こいつは何で栄養を吸収しているのだろうと研究的な意味合いで不思議に思う一方、彼女は腐れ神でした。
 はい。俗に言う腐女子です。
 どうやら聴覚、視覚から常人では吸収することができない栄養素を取り込む能力が備わっているようで、「××くん○○すぎて心のち△こが生える!」などとのたまい、私の人生で一生忘れない名言を残しています。
 最近は、「××かわいいーまじキレるわー」が口癖で、いったいどこが切れるのか、脳の血管かそれともその疑似的生やした心のキノコか……と妄想するところです。私もヲタクなのでいろいろ取り込めますけれど、奴はきっとそういう次元ではないのです。
 先日の飲み会では、「×××くん一目見た時から性的な眼で見てしまうんだ……」と爆弾を投下しました。女五人の飲み会で、それについて咎める人間は誰もいませんでした。
 そう――共通して大学の友人であるこのメンバー、ちゅおを囲むうちに、三人とも心に男性器を生やしてしまう「萌え」と「気合」の栄養素を取り込む能力を得てしまったのです。ここまで来ると誰が狂っているのか、みんな狂っているのかわからない。

 同じ飲み会にてオノは、「旅行するときに究極に荷物を減らす方法を編み出した」と豪語。どうやるのか問うと「パンツをさ、二枚穿けばいいんだよね」と得意そうに話します。さっぱりわかりません。
「一枚目のパンツを直穿きするじゃん? んで明日穿くパンツをその上から穿くわけよ。身につけちゃえばもう荷物じゃないじゃん? 荷物軽くなるじゃん?」
 軽いのはお前の頭だ、とは誰も言わなかった。オノがあまりに自信満々だったので、みんなそれがおかしいと気が付けなかったのかもしれない。実際、私は「あ、ちょっとやってみようかな」と思ってしまったくらいだ。
「でもさー、その日泊まった脱水所でパンツ二枚ともなくしてサー。女湯だよ? パクられるとか想定しないじゃん? 結局ノーパン浴衣で売店まで下着買いに行ったよ! まぁ結局見つかって、行きは二枚で帰りは三枚って話なんだけれど」
 私の周りでパンツに関する事件が多すぎるとか、よくよく考えてみればパンツなんて折りたたんだらハンカチとサイズ変わらないじゃねーかとか、そんなに手持ち少なくしたいなら現地で調達すりゃいいじゃねーかとか、一つ一つ丁寧に指摘はじめたらきりがないと思う。
 あぁ、愛すべきオノ。
 エッセイのネタが尽きたらとりあえずオノに電話して「いまお前のパンツどんな感じ?」と聞いてみよう。

 ちなみに、外見ですが、ちゅおはロリ可愛い系(乳天然)でオノはセクシーギャル系(乳サギ盛り)です。二人といるときにナンパされたことがあり、外ヅラのスペックの高さは保証します。
 そういうわけで、人の外見がいかに中の人間とリンクしないかという話。ちなみに、こんな変態ですが、二人とも普通に働いています。
 むしろ真面目な部類です。
 真面目に、正直に、働きすぎて結果的に病んだのかもしれないけれど、私は彼女達の魂はもともと変態だったと信じています。
 全国に腐女子が何人いるかわかりませんが、腐れ神ちゅおを外見で腐女子と見破れる人はいないでしょう。オノがダブルパンツだと見破れる人間はもっともっと少ないだろうなぁ。
 外見で人を判断するのはよくない。
 そして、見せなくてもいい部分ってのはたくさんあるものなのね。
(つづく)
(初出:2017年04月19日)
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登録日:2017年04月19日 16時47分
タグ : 腐女子 パンツ

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