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麻梨
著者:麻梨(あさり)
銀魂と廃墟と三浦しをんさんと箱根駅伝をこよなく愛する性別♀。最近の悩みは仕事帰りに寄ったプールで監視員のおじさんに(真剣に泳いでいたにもかかわらず)「大丈夫? ビート板使う?」と心配され、それをさらに職場で話して笑われたこと。大体毎日幸せに生きています。そう見えないらしいけれど。上記で勘のいい人ならうっすら察せる通り、書くことにおいてド素人です。
エッセイ/エッセイ

吾輩は司書である(6)

[連載 | 連載中 | 全29話] 目次へ
保育園・学童・図書館。道を挟んで小学校に囲まれ、保育園とは廊下でつながっている図書館。大群の子供に進撃され、遠慮のないカンチョーを喰らう筆者。園児たちとの関わり。
 進撃の園児

 もの凄いブームっすね。アナ雪。
 あいかわらず仕事あがりに風呂屋に行くのですが、
「ありのぉーままのぉー姿見せるのよぉー」
 と、ありのままっつーか、生まれたままの姿で幼女が歌っていました。
 せやね。
 もうそれ以上になにも見せられるものはないね、君。
 無言で頷きました。大人の対応です。

 勤め先の分館に配属になりそろそろ一年が経ちます。
 この前、館内でおしゃべりの声が大きい園児を注意したのですが、
「うっせー! うんこー!」
 はは。いい度胸ですよねぇ。
 どのくらいのニュアンスの罵倒なんだこの野郎。馬鹿の下か? アホの上か?
 こっちも負けじと返します。
「うんこって言うやつがうんこなんですぅ」
 後で「いやそれ違うだろ!」と先輩にツッコまれました。
 その男児、聞けば、親御さんに「人にバカって言っちゃいけないのよ」と言われたのだとか。
 うんこも駄目だと言ったら
「じゃあ『おうんこ』ならいい? いいの?」
 よくねぇよ。
 どういう丁寧語だ。
 つーか丁寧なのか?
 なんで「バカって言えない=うんこ」という選択肢なのに頭に「お」をつけるという発想は浮かぶんスかね。
 子供にとって万能の類義語なんですねうんこ。
 そういうわけで、日々子供の成長を見守っているつもりが、結構実際に戦っています。
 こんな話しますと、図書館員の仕事ってやっぱり子供相手が多いんですか、と思われそうですね。子供の世話ができないと努められないのかと。

 あえて言います。
 ウチが特殊です。

 勤め先の図書館は町立で三館あります。
 一番大きい中央館。続いてN分館。K分館。カードは一枚で共通。貸出・返却・予約など窓口の指定ができます。
 さて、現在私のいるK分館ですが、立地がすごい。
 保育園・学童・図書館。道を挟んで小学校。
 ABCD包囲網です。
 逃げられません。
 平均年齢が著しく若い地域ですが、別に若いエネルギーに煽られて若返ったりとかしません。吸い取られます。子供の手加減のないカンチョーによりこじ開けられた肛門から生気が抜けていきます。ケツ痛ぇ。
 さらに珍しいことに、保育園と図書館が廊下で繋がっています。
 月に二回ほど各クラス図書館利用の時間があるわけで、そのせいなのでしょうか。園児のなかには図書館と保育園の区別がほとんどついていない子もいるので、先生と呼ばれる率が高いこと高いこと。それは親御さんにも感染するので、
「先生、上の子ちょっと迎えに行くのでうちの子見ててよ」
 と頼まれます。勘弁してくれ。
 大群の子供に進撃されることには慣れてきましたが、妙に指名が入ります。
「おねぇさん、相談があるの」
「なんぞ?」
「私ね、早く髪を伸ばしたいの。どうやったら髪の毛って早く伸びるの?」
「……アートネイ○ャーに行くんじゃないかな」
 大人でも堪えられない質問でした。
 つーか、それを知りたいのはおもに大人です。
 お嬢さん、なんでもアナと雪の女王のエルサの髪型にしたいのだとか。
 またあるとき。早いもので、仲良くしていた園児が小学校にあがる準備をはじめているそうで、
「私、何色のランドセルが似合うかな? ピンクかな。ママは大きくなっても使える色にしなさいって言って、ピンクは駄目って言うんだけれど、ピンクかわいいよね! ピンクだよね!」
「それ、私に聞く意味あんのか?」
 彼女の頭の中は既にピンク一色です。いえ、そういう意味ではなく。
 そういうわけで園児とのかかわりが非常に多いわけですが、全ての図書館がそうとは決して言えないでしょう。感覚的には学校図書館に近い役割も担っているのです。

 公共図書館では大半のところでお話会を行うと思います。うちも三か月に一回くらい必ず回ってくるのですが、最近、ちょっと自信がついてきたので、絵本を読む前に「アナ雪もう見た?」とか、食いつきがよさそうな事を言ってみました。
「ぇえー。古いよ。今はゲラゲラボーだよぉ!」
 どうやらアナは雪の女王と供に日本を離れたようでした。
「妖怪ウォッチ、誰が好き?」
「え、ジバニャン以外知らないんだけれど」
「だせぇ! おばさんだせぇ!」
 はは。この子達、大人になっても図書館を愛用してくれると嬉しいなぁ……。
 ええ。将来でかくなったらいっぺんシバきてぇなんて思っていませんって。
(つづく)
(初出:2014年09月30日)
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登録日:2014年09月30日 18時42分
タグ : 子供 図書館 司書

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