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西巻裕
著者:西巻裕(にしまきひろし)
小学校1年の時東京オリンピックの旗を振り、6年生の修学旅行の宿でアポロの月着陸を知る。写真を撮ったり文章を書いたり雑誌を作ったりの稼業で、今は福島の山奥に住みながらトライアルというマイナーモータースポーツの情報誌「自然山通信」を作っている。昔は機敏だったが、今は寝ることがなにより好きなぐうたらのおっさん。
エッセイ/紀行文・旅行

さばく紀行(3)/寝不足

[連載 | 連載中 | 全3話] 目次へ
寝不足のまま、マルセイユまで車を運転して行く。ふと気が付くと、目の前にトラックのテールランプが!
 寝不足で、ぼくが一番つらいシチュエーションは、運転です。
 お昼ご飯をパリで食べた後、仲間とふたりでブリュッセルまで電車に載ってクルマを受け取って、そのクルマを翌朝マルセイユに届けるということがありました。
 のんびりご飯を食べてから(セーヌ川の船上パーティだったのだ)駅へ行くと、地下鉄がストをやっていて、結局電車には乗れなかった。しょうがないので駅でレンタカーを借り、途中で先方に“今必死で走ってるから待っててくれ”って電話しながらクルマを受け取ったのが午後6時半。空港でレンタカーを乗り捨てて飯を食ったら8時ごろ。それからとって返してパリの検問で怪しまれて警察に銃を突きつけられるなどしながら、とにかく走る。でも眠い。相棒と交代した直後なのに、眠くなる。交代した直後の友人に交代してとはいえないから、ちょっとだけ寝ようと思ってパーキングエリアへ入れる。寝る。

 ふと目が覚めると、目の前にトラックのテールランプが! 悲鳴を上げながらブレーキを踏んで、ふと我に返ってみると、相棒が不思議な顔をしてこっちを見ていて、クルマは止まっておりました。パーキングにとめて寝たのも忘れていたのですね。

 やがて夜が明けると、なんとなく眠いのは通り越しました。人間は、太陽とともに生きているなぁと思った一瞬でした。

 その日のマルセイユは、いいお天気でした。
(つづく)
(初出:1999年11月)
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登録日:2010年06月15日 17時11分
タグ : 砂漠

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