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青島龍鳴
著者:青島龍鳴(あおしまりょうめい)
青島龍鳴と申します。メタ化されたものしか受け入れられないこの時代で、黴の生えたような古臭いものばかり書いている時代錯誤作家です。既刊本「But the world is beautiful」。
小説/ホラー
【電子書籍】邪鳥が啼く森 眠太郎懺悔録(その一)
鳥乃樹にある鎮守の森で神隠しが発生。相談を受けた梨絵は、内々に“処分”されてしまう可能性に気付く。“神殺し”のため、選りすぐりの退魔師――退治屋のミツトシに祓い屋の梨絵と狸の一族である木霊、魔除けアイテムを使う真由、そして呪いを一身に受ける人柱となる憑護の有紀たち5人は依頼者の元へと向かった。人に害なす邪鬼と退魔師との闘いを描く眠太郎懺悔録、ここに開幕!

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邪鳥が啼く森 眠太郎懺悔録(その一)


 前章

 オレの住んでいる町には、奇妙な森がある。

 そこは駅から歩いて数分のところ。新興の地方都市とはいえ、駅前にはスーパーだのコンビニだのが立ち並ぶ地域だ。それが、その森だけは残されているのだ。
 駅近くの土地の三割強が、森のせいで手付かずのままなのだ。
 その森はいわゆる“鎮守の森”だから潰せないらしい。そんな理由で土地を遊ばせておくとは、まるで発想が未開人だ。
 親父の晩酌に付き合ったある夜、何の気なしに森のことを話題にした。くだらない迷信に惑わされているようだから、町がいつになっても発展しないのだと言った。すると頑固親父は「鎮守の森を馬鹿にするな」と、もともと田舎ヤクザみたいな顔なのを余計に険しくした。
 頭にきたオレは、機会さえあればあの森の化けの皮を剥がしてやりたいと考えるようになった。

 そんな日はやがて来た。
 時間が半端に余ったときに、森の近くを通る機会に恵まれた。

 オレは森に入った。

 だが、幾重にも御札が巻かれた注連縄(しめなわ)がオレの足を止めた。罰当たりなオレでも、こんなに大袈裟にストップをかけられたら、さすがに躊躇させられた。

 きよっ

 奇妙な音が森に響いた。ヒヨドリの鳴き声に似た音だ。
 別に鳥が好きなわけじゃないが、注連縄を越えるだけの大義名分には充分だ。声の正体を目にしたい好奇心のために、オレは縄をくぐった。

 好き勝手に生い茂った木々に日光が遮られているのか、森は予想以上に暗かった。足元なんか懐中電灯が欲しいくらいだ。
 初夏にも関わらずに空気が冷たい。意地になっていなければ、すぐにでも帰っただろう。そして、本当はそうすべきだった。

 声の主とはやがて逢えた。
 それは、木の陰からこちらを見ていた。
 深緑色をした鶏の雛に似た顔をした、首から下は猿のような人間並みにでかいやつが、黄色く光る眼をこちらに向けながら鳴いていた。

 きよっ   きよっ

 ヤバい。
 いくら罰当たりが服を着て歩いているオレでも鳥肌が立った。どんな動物図鑑にも載っていない、正体不明のケダモノに遭遇しちまったオレは、一目散に逃げ出した。

 幸いにも、あの鳴き声が追ってくることはなかった。たいして迷うこともなく、森の外に出ることもできた。
 あの緑色をしたやつのことを他人に話す気にはなれなかった。どうせ、誰も信じやしない。

 その日の夜、オレは左腕に激しい痒みをおぼえた。
 森の樹にウルシでもあったのだろうか。きっと、不運にも触ってしまったのだろう。軟膏を塗っただけでは耐えきれずに掻きむしったら、湿疹が見る見る広がっていく。瞬く間に左半身を覆ってしまった。
こりゃ本格的にヤバい。明日の仕事は半休をとって病院に寄ろうと決めた。
 寝つこうと布団に入ったが、シャックリが止まらない。ヒョッ、ヒョッと喉が勝手に鳴ってしまう。
 痒みがどうしても耐えられず、駄目とわかっても掻いてしまう。掻き続けていると、今度は緑色をした染みが広がりはじめた……。

 まさか、本格的にヤバいものに憑かれたのか?
 いや、そんな馬鹿なことなどあるものか……。
 自分の体に起きた異変を認める頃には、もうシャックリ以外に声を出せなくなっていた。

 ヒョッ    ヒョッ   ヒョッ

 キヨッ



 第一章

 とある初秋、月の明るい夜。
 木霊硯治郎(こだま けんじろう)は帝(みかど)邸の儀式場で満ち行く月を眺めていた。
 千年もの昔から闇に巣食う邪鬼を退け、現代になっても政府から密かに命を受け存在し続ける帝家の屋敷で眺める月には、格別な風情があった。歴史ある白い石畳の広がる敷地に木霊は座っていた。
母屋の玄関を南に構えた、風格漂う寝殿造りの広大な屋敷が右手に建つ。赤松が植えられた、素朴な枯山水の石庭が左手に置かれている。正面に楠の高い塀が聳(そび)える上に、あと数日で満ちる月が浮かんでいる。
 住み込みで働いているとはいえ、立派なお屋敷で庇(ひさし)を借りる豪勢な生活への満足感を噛みしめながら月を観ていた。
 丸坊主にした頭を撫でながら石畳の上に座していると、様々な雑念が浮かんできた。
 生家である寺と帝家を往復する生活を初めてはや六年。色々なことがあったが、木霊は帝家にいる方が好きだった。
 木霊寺のものは人間ではない。人に変じることを覚えた狸の一族である。変化の術という人間には模倣不可能な特技を生かし、退魔師の総本山である帝家に代々仕えることで人間社会での生活を許されたのだ。
 地元には木霊寺の他にも、変化の術を使って人間として籍を貰い人間として生活している者もいる。そういう村落の監視役としても木霊寺は機能していた。

 木霊硯治郎はその木霊寺の嫡男として生まれたが、偏屈者の父親とはそりが合わない。人間の真似事で覚えた退魔の術に興味を抱き鍛練すること好んだが、それは木霊寺の伝統とは違うと父親は認めない。
 父親に『バカ息子』のレッテルを貼られ、貴様のような奴は修行させて貰えと半ば追い出されるような形で帝家に引き渡され……そこで才能が開花した。
我流ながら持て余す程の霊力を秘めていた木霊の成す術式は、人間から見れば規格外の天才の業だった。彼は一人前の拝み屋の、実に数十人分の火力を発揮出来ることが判明したのだ。
 初めは慣れない秘書としての仕事をあてられた木霊は、天賦の才を認められると同時にクビになった。代わりに、拝み屋として働くようになったのだ。
 今や誰もが一目置く存在になった……と、少なくとも木霊はそう自負している。
(ここに居着くことは出来ないかな……)
 木霊はそう考えるようになっていた。
 父親にどやされながら、退屈な作務に追われる実家の寺。父親より偉い当主様に、好きな仕事をして認めて貰える帝家。どちらに重きを置くべきか、とうの昔に決着がついていた。

 とあれ、話はそう簡単にもいかない。彼は木霊寺の嫡男で、いずれは跡目を継がなければならない。父親ももう年だ。長くは役目を続けられないだろう。
 そもそも帝家としては御子息を預かっているという認識なので、木霊寺での生活を蔑ろにしてはならないとされているらしい。常識的には尤もだが、木霊の実情からすれば見当違いにも程がある。
(帝家はボクを必要としていないのか)
 木霊はときどき嫌な妄想に囚われる。二十年以上に渡って父親に自我を否定され続けてきた。単純に能力を評価されているとは確信しきれないでいた。
 本当は彼の評価はさほどではなく、当主のお情けによって、辛うじて帝家の敷居をくぐることを許されているだけではないのか……そのような妄想に掻き立てられるのだ。破綻した病的な論理だが、それが頭から離れてくれない。
 帝家と実家とは毎月入れ替わりに住まうことに決められている。月末まであと一週間。つまり、来週からまた父親の理不尽ないびりに耐えなければならない毎日がやってくる。
(ボクはここが好きなのに……)
 また、彼には単に居心地が良いという以外にも、帝家に長く居たい別の理由があるのだ。美しい月を眺めていると『もう一つの理由』に心を締め付けられるのだ……。
 
 悶々とする木霊は、ふと気配を感じて目を開いた。
 月に陰が映っている。ずれた眼鏡を直して凝視すると、月に被っていたのは鳥であることがわかった。
 木霊は嫌な予感がした。帝邸は都心の真っ只中にある。こんな夜中に空を飛ぶ鳥など、普通なら有り得ない。心当たりがあるとしたら、『あのひと』の使い以外にはない。
 陰は少しずつ大きくなっていた。間違いなく、木霊を目指している。嫌な予感は益々当たりそうになっている。
 ついに鳥は彼の座る石畳に舞い降りた。木菟(ミミズク)だ。やはり、都心では絶対に見かけることはない鳥だ。
 木霊は溜息をつきながら、木菟の脚を調べた。予想通り、脚には手紙が括り着けられていた。
 携帯電話が普及したこの時代に、わざわざ鳥を使って手紙を寄越してくる。しかも、鳩などの伝書の訓練に向いた種類ではない鳥を難無く躾ている。やはり、『あのひと』の仕業としか考えられない。
 木霊は手紙を開いた。

「拝啓。へタレ坊主、ヒマでしょ? 今日の夜十時から例の場所で緊急会議だから来るように。もしも万が一、来られないようなら三郎に返事を渡すこと。
 かわいい女の子より」

 ……あのひともわかっている。差出人など明記しなくても、この鳥の主人が誰であるか即座に木霊が察することも知っている。更にいうと、彼が今夜は『お務め』が休みであることも筒抜けである。
 ……トドメにいうと、木霊が帝家に残りたい『特別な理由』についても気付かれているかもしれないのだ……。
(行かざるを得ないか)
 木霊は腰を重そうに持ち上げた。
 彼はあのひとのことが苦手だ。しかし、行かなければ後々面倒なことになるだろう。
 そして、行けば『特別な理由』に関することで物事が有利に運ぶチャンスが得られるのだ。
「お前の主人に言っておやり。行けばいいんだろう、行けば……」
 木霊は動物に好かれない性質だ。木菟の三郎は木霊が声をかける前に、月明かりの中に姿を消してしまっていた。
 木霊だって元は動物なのに、どういうことだかわからない。ひょっとしたら、獣の臭いが残っているからこそ警戒されるのだろうか?体臭には気を使っているつもりだ。香水を欠かしたことはない。
 もしや獣臭を消しきれていないのではなく、香水が強すぎるのだろうか?臭いのことを気兼ねなく聞ける友人を持たない彼には、答えの出せない問題だ。
 臭いの問題の答えは見えないが、ただ一つ気付いたことがあった。
「……もし行けなくても、返事の手紙を渡す手段、なくない?」
 どうやら彼はいかなる環境においても、何らかの形で理不尽な仕打ちを受ける宿命にあるようだ。
(続きは電子書籍で!)
登録日:2013年04月10日 20時34分
タグ : 眠太郎懺悔録

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