騒人 TOP > 小説 > ホラー > 冠木町二丁目事件簿 眠太郎懺悔録(その二)
青島龍鳴
著者:青島龍鳴(あおしまりょうめい)
青島龍鳴と申します。メタ化されたものしか受け入れられないこの時代で、黴の生えたような古臭いものばかり書いている時代錯誤作家です。既刊本「But the world is beautiful」。
小説/ホラー
【電子書籍】冠木町二丁目事件簿 眠太郎懺悔録(その二)
行くところ歩くところ、あり得ない頻度で事件に遭遇し『アンラッキーヒーロー』と自嘲する刑事コンビ、日凪と宮部。その特異体質、あるいは運命により出会った秘匿組織『M』のミンタロウは人間ではなかった。そしてまた、切り刻まれた死体に一滴の血も残っていない不可解な殺人事件はブラッドスライミイマターの仕業であることが明らかとなる。一般常識から隔絶した世界に踏み込んだ刑事と『M』の事件簿、眠太郎懺悔録第二弾!

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立ち読み

冠木町二丁目事件簿 眠太郎懺悔録(その二)


 プロローグ

 日凪寿郎(ひなぎ としお)警部補はベテランの刑事だった。
 刑事一筋二十年。
 様々な難関にぶつかってきた。
 ただし、宮部のような難関は初めてのことだった。

 宮部国充(みやべ くにみつ)は何事においても軽すぎる男だった。
 今年、配属されたばかりの新人だったが、とにかく言動が軽率過ぎる。勤務中に隙を見つけては平気でサボり、女の子をナンパしに行く。
 しかも性格が呆れるほど冷静なのだ。初めて腐乱死体を見せたときの反応が、
「あっこれ事故ですね」
 だった。肉が腐り爛(ただ)れ原型を留めていない有り様を見せても、動揺しなかった。更に腹の立つことに、調査の結果、その案件は宮部の言った通り殺人ではなく交通事故の成れの果てだった。
「崩れ過ぎて人間って感じがしなくって」
 まだ二十歳を過ぎたばかりの若者が、この調子だ。だからといって崩れていない死体を見ても、グロくないから大丈夫と眉一つ動かさないのだからどうしようもない。
 その上、女子高生に目がないどうしようもないクズだ。こういう奴が将来不祥事を起こして、警察全体が槍玉に挙げられる原因を作るのだと、日凪は確信に至りかけている。
 日凪の考えるに、刑事という仕事は信頼される人間でなければ出来ない。
 人を守り、人を裁き、人を助ける仕事は、人に信頼される人間でないとこなせない。
 宮部のような意識の軽い者に、困難に直面した人の気持ちが分かるとも思えない。この男は刑事に向いていないと日凪は思っていた。

 ところが、この二人は都内でも少しは名の知れた名コンビだった。
 生真面目な日凪と、冷静なくせにお調子者の宮部。性格は全く合わず喧嘩はしょっちゅうだが、解決した事件の数は群を抜いている。
 年齢も出自も性分も全く異なる二人には、たった一つだけ共通点があった。
 “事件や事故に極度に遭遇しやすい”特異体質の持ち主なのだ。
 そもそも二人の出会いの切掛けは、宮部が自殺を試みたことに端を発している。
 当時、宮部は悩みを積み重ねて精神を病み、いわゆる引きこもりの生活を送っていた。彼の行くところ寄るところ、常人ではありえない頻度で事故や事件が連発した。
 やがて『オレのせいで人が不幸になってる』と錯覚した宮部はビルの屋上から投身自殺をはかった。そこにたまたまタバコを吸いに屋上へ足を運んだ日凪に止められた。“その出会いが偶然ではない”とは、宮部には予想もつかなかった。
 以降、日凪の勧めで刑事になった宮部は、ともにいくつもの事件に係わった。ほんの数ヶ月の間に、目を見張るほどの数々の事件を解決に導いた。なにせ、大変な事件に遭遇しやすい二人が組んでいるのだ。ちょっと散策するだけで指名手配犯と遭遇する有様なのだから、捕まえる犯人が多いのは当たり前だ。
 宮部が勤務中にサボっていてもクビどころか懲罰対象にすらならないのは、ナンパしている相手が違法風俗に関わっていたり指名手配犯をヒモにしている女だったり、サボればサボるほど検挙数が上がり超高効率のパトロールをしているのと同じだからだ。本人曰く、真面目に勤務をこなすより本能に従って行動した方が上手くいくのだそうだ。馬鹿馬鹿しい話だが、結果がついてきているので文句を言いづらい。

「ヒナさんも、オレみたいにサボった方が検挙数上がるんじゃないっすか」
 と言い出したときには、流石に拳骨を食らわせたが。
 署では『ラッキーヒーロー』というアダ名が定着しかけているが、本人たちは認めていない。何も好き好んでこんな体質に生まれついたのではないのだ。
「どっちかっつーと、『アンラッキーヒーロー』っすよね。事件に遭いやすい特殊能力とか、ありがたくねえっすよ」
 宮部はそのように自虐めいたことを言う。

 日凪と宮部。
 以下に語られる物語は、彼らの事件簿のほんの一幕に過ぎない。


 第一章

 ある日のこと。
 日凪は宮部と夜勤で署の宿直をしていた。灯りの半ば消えた署で、宮部と二人きりで電話番だ。
 八月の蒸し暑さに耐えかねて窓を開けると、湿った風が侵入してきて余計に不快指数が上がった。昼間に照りつけた太陽熱がアスファルトを焦がし、火照った地面が誰も望んでいないのにも関わらず夜風を熱し続けるのだ。ビルの隙間を縫う熱風は周辺の住民を脅かすわけだが、そこに二重の罠がある。熱にうなされた都会人たちは火の悪魔の誘惑に屈し、クーラーのスイッチを入れてしまう。これが実は曲者で、クーラーの排熱がただでさえ熱されている空気に更なる熱気を加えてしまうのだ。こうして悪魔の陰謀は悪循環を呼び、いずれ冷めるはずの熱は夜通し猛威を振るい続けるというカラクリだ。
 こうした被害を食うのは時代錯誤の根性論が居座る警察署のような職場である。税金で食わせて貰ってる分際で夜通しクーラーをつけるのはいかがなものかという理屈により、日凪たちは常にサウナの蒸気に当てられているかのような、ただ息を吸って吐いているだけで生命力を消耗する有様にも関わらず、冷房の電源を切らざるを得なくなるのだった。
「実際、こうやって節約した分って、お偉いさんのポケットに入る仕組みになってんすよね、どーせ。あー腹立つ」
 宮部ときたら、デスクの上にあった書類を団扇(うちわ)がわりにして扇(あお)いでいた。しかも書類が薄くて涼をとるに足らなかったらしく、今度は棚に入っていた書類の中から分厚いファイルを取り出している。そんな真似をして、万が一にも書類を紛失するようなことでもあったらどうするつもりなのだろうか?
 やることなすこといちいち迂闊な新人といると、暑さも相まって苛立って仕方がなくなった。
「おい宮部、こんな話を知ってるか?」
 日凪は慣れないインターネットで仕入れた怪談話を語り始めた。どこからともなく現れる灰色の手が人を襲う話だ。読んだときにはかなり不気味に感じたものだが、いざ話してみると内容がうろ覚えで語り口も素人のせいか、話している日凪本人ですらどこが怖いのやらわからなくなってきた。
 挙句に話の矛盾点を指摘されて「ヒナさん、それ作り話っすよ」と看破され、その日も宮部をやりこめることに失敗していた。

(オレの話が下手なんじゃない、暑さのせいだ、暑さの……)
 うなだれた日凪が自販機でコーヒーを買って、
「“つめた〜い”って書いてあるくせに“なまぬる〜い”じゃねえか畜生め」
 とボヤきながら部署に帰ると、宮部はとある事件簿を熟読していた。仕事の書類なんて読んで何が面白いのかわからないが、えらく熱心だ。さっきまでその書類を団扇にしていたくせに、つくづくわけがわからん若造だと、改めて恐れ入った。
「これね、二年前に三丁目で起きたコロシなんですけど……途中で所轄が捜査権を取られてるんですよ」
 宮部はさも興味深そうだが、日凪には面白くもなんともないネタだった。上が捜査権を持って行くことなど、お偉いさんの胸先三寸(むなさきさんずん)でいくらでもあることだ。
「オレ達なんて所詮は駒だからな」
 と、日凪は自虐的なことを言った。
 しかし、宮部は相変わらず一つのページを凝視し続けている。
(なんだこいつ宇宙人か?)
 話の流れというものを理解していない。宮部の思考回路の特殊さに不気味さすら感じてきた日凪は、ふと宮部の視線に合わせて書類を見てみた。
 そこには『M関連』と書かれていた。
「Mって何だ?」
 日凪は疑問を口にした。
「ヒナさんも知らないっすか」
 宮部は首を捻ってゴキリと鳴らした。
 この世代が二回り違う若造と、感情を共有できる機会は少ない。
「実を言いますとね……半年前くらいだったかな? 研修んときダチになった奴が署の受付なんすけど、捜索願いが一件あったらしいんすよ。ところが手をかけようとした途端に、部長さんから『それはMの仕事だから手を出すな』って言われたらしくって。そいつも同じこと考えて部長さんにMって何ですか? って聞いたんですけど、曖昧なことしか答えてくれなかったみたいで。そいつが思うに、部長さんもよくわかんないまま従わされてる感があるみたいっす」
 宮部は腑に落ちない様子だった。
 日凪も急に興味がわいてきた。元々、捜査は足で情報を稼ぐものだとアナクロニズムを貫いて書類などゴミ扱いしてきた日凪だったが、好奇心には勝てない。
 電話番だけの暇な時間、日凪と宮部は過去のファイル漁りに熱中することにした。静寂が支配する事務室で、アナログ時計の秒針の音と、時折ページを捲(めく)る音だけが妙に大きく聞こえた。蒸し暑さのせいで汗がファイルに垂れ落ちるのも構わず、二人は黙々と読み耽(ふけ)った。
「怖くないか?」
 静寂に飽きた日凪は聞いてみた。
「不気味な話っすけどね。面白い方が上回ってます」
 宮部は質問の意図とズレた返答をした。怖いの意味が違う。
 この調べものは、警察上層部の秘密に触る危険がある。深入りすれば、上に目を付けられるかもしれない。
 
 『M』の記述のある事件は四つ見つかった。
 七年前、女子高生の変死事件。マツバラサクラという少女の死亡届けだけが出されており、「M関連。解決済み」としか書かれていない。どこの誰がこんないい加減な書類を書いたものか、呆れるばかりだ。
 四年前の神原(かんばら)で起きた暴動がM関連とされていた。電気製品企業が脅迫を無視していたら爆弾を仕掛けられ、あわや大爆発というところを水際で止められた。実行犯は未だ逃走中で正体も不明のまま忘れ去られようとしていたのだが、これがまさか「Mにより解決」されているとは思わなかった。しかも解決と書いているくせに、犯人が捕まったのかどうなのか、一体どこのどんな奴だったのか、何一つ書かれていない。
 去年の連続殺人は有名な話だった。四人の女性が野犬に喰われたような酷(ひど)い有り様で発見された。迷宮入りになろうとしたところが、犠牲者が途端に出なくなった。犯人は気が触れた外国人マフィアの仕業で、組織内で粛正(しゅくせい)されたと噂を耳にしていたが……まさかこれも「Mにより解決」だったとは意外だ。これも犯人の名前・性別・年齢、普通なら必要とされる項目がことごとく抜け落ちている。
 宮部の同僚が係わったらしい行方不明事件も見つかった。行方不明だった男性カワタタカフミは数日後に近隣でMにより救助されたと書かれている。
 
 どれもこれも、記されなければならないことが抜け放題になっている。怠け者の宮部ですら、こんなに杜撰(ずさん)な書類は書かない。全く、提出する方もする方だが、受け取る人間もどうして受け取ったのか理解に苦しむ。
「これらから推定されることって……」
 宮部が首を鳴らした。
「警察と協力関係にある何かがいるってことっすよね?」
 日凪も同感だった。Mというのが団体名か個人名かはわからないが、警察に代わって事件に当たるものがいると考えるのが正しいだろう。
 日凪は安堵した。最も恐れていたのは、警察上層部の不正に繋がるものを見つけてしまうことだった。しかしMというのは警察だけでは解決困難な事件の一部を扱う組織であることが予測された。
 現に連続殺人事件などは警察では手掛かり一つ掴めなかったのを、Mとやらは犯行の継続を止めたと見て良い。行方不明事件だって、実のところ警察にできることは偶然に見つかったら身元を調べて親族に知らせることくらいしかできない。Mとやらが動かなければ、行方不明者が助かった可能性は高いとは言えない。が、発見ではなく救助と書かれているのは引っかかる。どこに消えたのかわからないから行方不明というのに、Mは何らかの方法を用いて行方不明者の居所を突き止めたとでもいうのだろうか? いかなる最先技術を持っていたとしても、そんなことが可能とは思えない。
 日凪は探ってはならないものにぶつかっていることを自覚した。生来の危険を察する鋭敏な能力が、ここで発揮された。
「気になりますね。どうして彼らの存在は隠されてるんですかね?」
 宮部というやつはつくづく空気の読めない男のようだ。隠されるには相応の理由があることに気付いていない。
「探偵ごっこはお終いだ」
 日凪は未熟な後輩に忠告し、ファイルを取り上げて棚にしまった。
「Mとやらが気になるのはわかるが、あまり追及しないでおくのが大人の配慮だ」
 上が隠したがっているからには、それを引っ掻き回すようなことを率先すべきではない。
「どうしてっすか? 後ろ暗いことがないなら、隠れてる必要とかなくないですか?」
 宮部の言うことは正論だった。おそらく、Mには存在を公(おおやけ)にできない何らかの理由がある。
 そして、正しいからこそ口を噤(つぐ)ませる必要がある。
「……お前も、刑事なんだな」
 日凪は嬉しかった。宮部のことを理解不能な異種生物のように思っていたが、それは違うということがわかったからだ。
「宮部、お前にはお前なりに正義感ってやつがあるのはわかった。それは、とても大切なことだ。だから、そいつは違うとこで発揮してくれ。
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登録日:2013年07月01日 22時24分
タグ : 眠太郎懺悔録

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