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青島龍鳴
著者:青島龍鳴(あおしまりょうめい)
青島龍鳴と申します。メタ化されたものしか受け入れられないこの時代で、黴の生えたような古臭いものばかり書いている時代錯誤作家です。既刊本「But the world is beautiful」。
小説/ホラー
【電子書籍】眠太郎懺悔録 総集編
眠太郎懺悔録シリーズ三作を一気に読める総集編。第一作「邪鳥が啼く森」は男の呪を解き邪鬼を倒すため選りすぐりの退魔師が招集される。因縁浅からぬ邪鬼と対峙した眠太郎は暗くて重いゾッとするような嗤い声を上げた! 第二作「冠木町二丁目事件簿」は極度に事故や事件に遭遇しやすい特異体質の刑事が秘匿組織『M』に出会い、一般常識からは隔絶された世界に踏み込む。老獪な吸血鬼による殺人事件を追う。第三作「北の国の黒い刺客」は、かつて北の国で犯した眠太郎の罪が明らかとなる。己を許すことが出来ない彼は返ってきた刃にどう立ち向かうのだろうか? 闇に巣くう邪鬼を祓う退魔師の闘いを描いた眠太郎懺悔録、初めての方にオススメ!

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眠太郎懺悔録 総集編


邪鳥が啼く森

 前章

 オレの住んでいる町には、奇妙な森がある。

 そこは駅から歩いて数分のところ。新興の地方都市とはいえ、駅前にはスーパーだのコンビニだのが立ち並ぶ地域だ。それが、その森だけは残されているのだ。
 駅近くの土地の三割強が、森のせいで手付かずのままなのだ。
 その森はいわゆる“鎮守の森”だから潰せないらしい。そんな理由で土地を遊ばせておくとは、まるで発想が未開人だ。
 親父の晩酌に付き合ったある夜、何の気なしに森のことを話題にした。くだらない迷信に惑わされているようだから、町がいつになっても発展しないのだと言った。すると頑固親父は「鎮守の森を馬鹿にするな」と、もともと田舎ヤクザみたいな顔なのを余計に険しくした。
 頭にきたオレは、機会さえあればあの森の化けの皮を剥がしてやりたいと考えるようになった。

 そんな日はやがて来た。
 時間が半端に余ったときに、森の近くを通る機会に恵まれた。

 オレは森に入った。

 だが、幾重にも御札が巻かれた注連縄しめなわがオレの足を止めた。罰当たりなオレでも、こんなに大袈裟にストップをかけられたら、さすがに躊躇させられた。

 きよっ

 奇妙な音が森に響いた。ヒヨドリの鳴き声に似た音だ。
 別に鳥が好きなわけじゃないが、注連縄を越えるだけの大義名分には充分だ。声の正体を目にしたい好奇心のために、オレは縄をくぐった。

 好き勝手に生い茂った木々に日光が遮られているのか、森は予想以上に暗かった。足元なんか懐中電灯が欲しいくらいだ。
 初夏にも関わらずに空気が冷たい。意地になっていなければ、すぐにでも帰っただろう。そして、本当はそうすべきだった。

 声の主とはやがて逢えた。
 それは、木の陰からこちらを見ていた。
 深緑色をした鶏の雛に似た顔をした、首から下は猿のような人間並みにでかいやつが、黄色く光る眼をこちらに向けながら鳴いていた。

 きよっ   きよっ

 ヤバい。
 いくら罰当たりが服を着て歩いているオレでも鳥肌が立った。どんな動物図鑑にも載っていない、正体不明のケダモノに遭遇しちまったオレは、一目散に逃げ出した。

 幸いにも、あの鳴き声が追ってくることはなかった。たいして迷うこともなく、森の外に出ることもできた。
 あの緑色をしたやつのことを他人に話す気にはなれなかった。どうせ、誰も信じやしない。

 その日の夜、オレは左腕に激しい痒みをおぼえた。
 森の樹にウルシでもあったのだろうか。きっと、不運にも触ってしまったのだろう。軟膏を塗っただけでは耐えきれずに掻きむしったら、湿疹が見る見る広がっていく。瞬く間に左半身を覆ってしまった。
こりゃ本格的にヤバい。明日の仕事は半休をとって病院に寄ろうと決めた。
 寝つこうと布団に入ったが、シャックリが止まらない。ヒョッ、ヒョッと喉が勝手に鳴ってしまう。
 痒みがどうしても耐えられず、駄目とわかっても掻いてしまう。掻き続けていると、今度は緑色をした染みが広がりはじめた……。

 まさか、本格的にヤバいものに憑かれたのか?
 いや、そんな馬鹿なことなどあるものか……。
 自分の体に起きた異変を認める頃には、もうシャックリ以外に声を出せなくなっていた。

 ヒョッ    ヒョッ   ヒョッ

 キヨッ
(続きは電子書籍で!)
登録日:2014年04月22日 17時00分
タグ : 眠太郎懺悔録

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