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天野雅
著者:天野雅(あまのみやび)
埼玉県生まれ、千葉県育ちの関東人だった。結婚を機に関西の人間になる。現在は関西とも東海ともいえる近畿地方に在住。10年経って方言にも慣れた。血液型はマイペースで知られるB型。住めば都を地で行く性質。ネット作家歴20年。同人作家歴はプラス5年。趣味は映像鑑賞。写真撮影。歌唱。創作料理。好物は自然万物一般。美術芸能一般。パソコン。ゲーム。漫画。文章。
小説/現代

うちのチビいりませんか(2)

[連載 | 完結済 | 全7話] 目次へ
特に困ることのない生活。しかし、私の中には厳然とそれが巣喰っていた……。会議室でクレーム対応のチェックをする社員たち。電話対応のつかの間、主任との雑談。「大事だけど不公平だからさ」。不公平? 聡美はその言葉の意味が気になる。
 私には健康な両親が揃っている。オマケに妹とペットの犬もいる。
 学歴は県内でちょっと偏差値の高い商業高校情報処理科卒。大学には行かずとも、希望の会社に就職できた。
 一戸建ての家に住み、自分のベッドもあって、たとえば給料が盲腸のせいで長期欠勤し減俸されても生活に困ることはない。
 そのうえになんの不満があるのか。と親は言ったし、私自身もそう思う。
 しかし私の中には、厳然とそれが巣喰っていた……。

   ◆ ◆ ◆

 産業資材事業本部・建装材事業部。それが職場の総称だ。
 簡単に言えば、印刷会社の中でもドアを作ったり、床や壁を張ったり、インテリア(内装材)に力を入れている部門というわけ。
 同じ建物にはパッケージ部(包材)や企画部(版下デザイン)、グラビア部(撮影関係)なんてのもあるけど、フロアは部門ごとに統一されている。
 午後1時からの課内会議が終わると、岩瀬さんが私を引き止めた。
「ごめんなさい、悪いんだけど……」
「はい」
 私はにこやかに返事をする。
 今でこそ離れ小島のような席に追いやられてしまったが、入社当時、私の世話をしてくれたのが隣席の岩瀬千加子さんだった。1歳上、1年先輩である。この会社では言わないがいわゆるシスターという役柄だ。
 商品管理1部2課は男女合わせて10人と多く(1課と2部は4〜8人)、得意先や営業とのつながり等でみっつに分かれている。
 今日の課内会議によれば、スピーカーやコタツなどの印刷物を担当している小暮・津田・仁科のチームは売上の伸び率で営業のメンバーと仲良く悩んでいるそうだ。
 桜井・森内・香川のチームは台所のユニット製品や洗面台の印刷物が担当で、受注発注の伝票処理が遅くて問題だという。
 だいたい書類は会計締め切りのギリギリまで営業が溜めこむからいけないのだ。
 そして派遣社員の大木さんとアルバイトの佐々木さんを補佐につけてインプット処理をしている梨元さんも、月末締めの混乱期には時間との闘いだと話していた。
 岩瀬さんと私は澄原主任とチームを組んで、ドア(ハウジング部材建具)に関する仕事をしている。
「これからすぐ綾野ちゃん担当の書類を全部、持ってきてくれる? 営業に渡す資料を作らなきゃならないの。5時までに……急ぎなの」
「ああ。分かりました」
 腕時計は3時半。岩瀬さんの済まなそうな顔に、私は消えそうになる笑みをなんとか保持した。
 会議室は3階、企画部と同じ階でエレベーター横に並んでいる。最も広い部屋がA。Bは円卓があり、応接間風になっているのがCで、今までいたのはAだ。
 岩瀬さんは「B会議室ね」と言って給湯室に入っていった。
 頼まれた書類というのは毎日新規数枚がファイリングされる、かなり膨大な量である。
 まず仕入れ伝票と出荷関連書(受注/出荷指示〜報告書)があって、B4判のファイルが10冊、A4判のファイルが10冊。
 どうしてこんなにあるのかというと、まず得意先別……たとえば○○ハウスとか○○ハイムなどに分かれていて、それから内装建具、室内インテリア、と品種別にもなっている。
 ドアとドア枠、硝子の種類、色、商品にもまあいろいろある。
 それから各月末の在庫表のファイルもあった。これは端末からマルチプランで打ち出したもの。B4判1冊に過去5年分が綴じてある。
 計21冊、リングファイルの重いやつ。
 B4判は比較的薄いがへろへろして持ちづらく大きさがバカにならないし、A4判は固い背表紙に対し紙厚が少なく、積むと急な傾斜がつく。
 これを独りで運ぶとなると……何往復もかかりそうだ。
「おう、何やってんだそんなとこで」
 2階フロア。
 私は商管1部の周囲をとりまく、天井までも高さのあるスチール棚の観音開きの扉の前で。整列している青い表紙の21冊を前に突っ立っていた。
 横の通路からタバコの煙を従えて威勢よくやって来たのは澄原主任だった。
 男性にしては背が低く、いつも汗をかきながら短いコンパスで(失礼!)精一杯大股に歩く。決してネクタイを外さない。30代後半でまだ主任をやっている、あんまり身体の強くない四角い顔の好中年……なんて悪口ばっかり並べてみたけど、私は結構好きなのだ。
 あれっ、B会議室にいたんじゃないの。
「これ、使いますよね?」
 岩瀬さんから指示されて、とかいう説明はしない。必要最低限簡潔に。
「んっそうか。えらい量だな」
 手にしていたタバコを一挙動で最寄りの灰皿(部長のだよそれ)に揉み消し、
「オレこんだけ持ってってやる。あとオマエ持ってこい」
「あっえっ」
 がばっ、と押さえ込むようにしてA4判のかさばるファイル、全10冊を――見事にファイルが歩いているようだ――抱えて行ってしまう。
「澄原さん、無茶ですよぉ」
 明らかに身長では勝てない、通路を行き来している後輩男性社員の脇をすり抜け、エレベーターホールへと去っていく。
 は、速い。
「なに、どうかしたの?」
 澄原主任が無断借用した灰皿の席で、商管1部の部長が今頃になって振り向いた。
「あ、いえ……これから営業と、書類を使うもので」
「ああそう。頑張ってね」
「はい」
 白髪(はくはつ)細身で背の高い、おじ様って感じの斎藤部長は、軽く笑顔を見せて卓上の電話を取った。いつも上品な笑みを浮かべる。この部長も結構好きだ。
 私は両翼ひろげたプティラノドンの格好で残りのB4判を抱え、棚の扉を閉めた。

 B会議室も涼しく空調が効いていたが、早くも空気は白かった。主任の背後だけ窓が少し開いている。太陽の光線で原色に照らされた食堂の青い屋根が、白いスリ硝子に挟まれて映えて見えた。
 ゴージャスな樫材の上にガラス板を敷いた円卓――特注のテーブルをみっつ組み合わせ、正確には楕円形をしている――には既にコーヒーが3カップ並んでいて、岩瀬さんが澄原主任の隣の椅子に坐っていた。
 主任が卓上の中央に積んだファイルの山は、無残に崩れてしまっている。
 私がそこに同じく青い雪崩を追加したところで澄原主任は灰皿にタバコを潰し、B4サイズの方眼紙から定規をどけた。
「ええと、じゃあ綾野さんさあ、これ続きやってくれる。千加子さん、出荷報告書読んで。オレ本数書くから」
 白紙の方眼紙と見本用に書き終えた紙を私のカップの横に差し出し、自分は同じ書式で書き終えたもう1枚の上でB4の鉛筆を構える。
 私は返事をして恐ろしくクッションの効いた合成皮革張りの肘掛け&キャスター付き椅子のひとつに身を沈めた。まるで重役会議のようだ。
 見本の紙にタイトルは手書きで『クレーム対応進行表』とあった。即席で作ったらしい。
 また書類が増える……頭痛を覚えながら、散乱している主任の筆記具から鉛筆を借りた。
 岩瀬さんは円卓の向こう側へファイルを1冊抜いていった。
「ええと、いきます」
「はいよっ」
 岩瀬さんのおっとりした言葉に澄原主任は元気よく応える。お魚屋さんのおじさんみたいに。
『表』は得意先別、そしてドアの種類で分かれて品番で整理するようになっていた。
「まず1月のLドア……は、2本。LI−WのAが1本、Eが1本です」
 書類は私が引き継ぐまで総て岩瀬さんの分担だった。ファイルを扱う動作は手慣れたものだ。忠実な私は岩瀬さんのやり方通りに伝票を綴じている。
 クレーム品に関するものは通常のものと別にしていた。仕入れも売り上げも、単価がゼロになったりするからだ。探し出すのは簡単だと思う。
「LIの? Wの? A1、E1、ハイ」
 AとかEとかいうのは色だ。
 澄原主任が復唱して該当欄に数字を埋めながら、「羽田邸か」
「いえ、相原邸と篠崎邸です」
 訂正は控え目に告げられた。
「そうか。相原、篠崎ね、ちっこく書いとくからさ。出荷日は?」
「相原邸が1月10日で……篠崎邸は12日です」
「まとめて出しちまえばよかったのになぁ。あ、受けたのは?」
「去年ですね。クレーム報告のFAXは相原が12月25日付けで、篠崎は12月15日付けになってます」
「ああ、そうか。仕入れ日が違うんだな。『篠崎』拝み倒して急いで作らせたんだ」
「そうです……入荷日も調べますか?」
「いや、いい」
 岩瀬さんが入庫伝票を引こうとするのを、主任は片手で遮った。
「あとは?」
「2月です。ええと……」
 岩瀬さんがページをめくる間に、主任が私に注釈を加えた。
「Lドアってのはさ、リビングドアだからね」
「ええ、はい」
 私が慌ててうなずくと、岩瀬さんが主任を見た。
「2月はLI−Yが1本です」
「LIの、Y。1ね」
「香川邸です」
「香川ね。色じゃなかったよなこれ。寸法か」
「はい。受注が12月26日、出し日は2月の11日です」
「12月26日の、2月11日ね」
 主任が復唱すると岩瀬さんは3月へ移った。
 私は方眼紙に線を引きながら、2人の記憶力の良さに内心舌を巻いていた。半年前の……ことによると1年前の対応状況まで覚えていられなきゃ、営業や得意先とやりとりなんかできないのだろう。
 クレーム対応、苦情処理。
 あまり大きな声では言えないが、統一規格のはずの印刷にムラが出てドアの色や模様が変わったり、温度変化によってドアが縮んだり伸びたりすることは珍しくない。
 千葉工場で印刷された木目(もくめ)は、栃木の外注工場へ送られる。
 一旦そこで材料として売り、ドアになった段階で買い上げる。これが仕入れ。
 それを各得意先工場へ出荷してドア製品として売り上げる流れとなる。
 室内建具(たてぐ)、インテリアドア。居間や台所の出入口で活躍している。合板を中空に組んで表面に高価そうな木目の塩ビ(えんび。塩化ビニールのこと)など貼り、モノによっては上からヤスリをかけたりニスを塗ったりする。
 合板だって本物の木で生き物だから、完璧クレームゼロというのは技術が宇宙へ行っても無理だ。注意したって乾燥すれば反るし割れるし湿気が多いと膨張する。
 得意先だって大工さんだって知っているけど、度合いが過ぎれば勿論返品、急遽交換となる。
 建築工事の完了期日が迫れば赤帽シャトル便なんでも使って現場へ直接納入する。ドアが入ってなければ建物は売れない。
 こうなるとちっとも商売にならない。納期は明らかに遅延だし、下手すると損害賠償でこっちが払う羽目になる。
 代替え出荷は少なければ少ない程いい。だけどクレームはなくならないし、そうすると利益が減るから問題は深刻だ。
「はい、次」
「LI−SJが2本。真田邸です。FAXは4月4日、出荷は5月18日」
「うーん多いなあ、怒られっちまうぜ……」
 やりとりが続くうちにドアがノックされ、梨元さんが入ってきた。
「あのう」
「ん?」
 澄原さんが作業を中断して振り返る。
 主にインプット担当の梨元さんは、効き過ぎる冷房にショールを羽織っていた。
「千加ちゃんに、お電話……ハイムさんから」
「あ、はい」
 澄原さんがB会議室を好むのは電話がないからだ。
 問い合わせは営業が受けるべきなのだが、外勤である彼らの次に相手ができるのは内勤処理をする澄原さんや岩瀬さんだ。
 代理で私が出ることもある。
「ああっまったく電話が多いな」
 澄原さんは毒づいて、タバコをくわえた。
「すぐ戻ります」
「ほい」
 岩瀬さんが梨元さんと出ていくと、主任は深呼吸よろしく溜め息をついた。
「どうだ、今月もクレームあるだろう」
「ええ……ゼロになりませんね」
 私もとっくに鉛筆を置いていた。ぬるくなったコーヒーを飲む。
「やんなるなあ。『いつ入るんだー、早くしろー』、そればっかだもんな」
 白い吐息を背後に追いやり、肩をまわして頭をかいた。
 主任は以前、胃炎で倒れたことがある。岩瀬さんは深夜、眠れなくて寮でお酒を飲んだといつだかこっそり話していた。
 同じ職場にいても、そのストレスは誰にも解消してあげられない。私は入社してから5キロ体重が落ちた。
「オマエ、早く嫁行け」
 いきなり主任はそんなことを言い出した。
「女の子がやる仕事じゃないって絶対。千加子もさあ、早く辞めさしてやりたいよ」
 それは、女は結婚したら辞めろとか、そういう話ではなく。
「……そうですね」
 確かに私よりは岩瀬さんの方が先に辞めるべきだった。順序でいけば梨元さんが一番先輩なんだけど。
「千加子さんの結婚相手って知ってる?」
 主任にあらたまった口調で訊かれて、私は首を振った。
「そうかあ、オレも彼氏のカの字も聞いてないんだよ」
 いないんじゃないですか、と言おうとしてやめた。岩瀬さんは仕事がキツ過ぎるだけなのだ。社内の女性であの人が一番素敵だと私は思っている。
「んで、アヤはどうなんだ、アヤちゃんは」
「私ですか? プロポーズしてくれる人がいればすぐにでも結婚したいですけど」
 主任は社内の噂なんて好む人じゃない。マイペースのB型だ。質問の意図は気づかいだとよく分かっている。私はかわしたつもりとかじゃなく、答えた。
 でも澄原さんはどう取ったのだろう。タバコを潰す指が真っ黒になっていた。
「とっととゴールインしろよ。最近オマエあの席になってから元気ねーしなあ。彼氏の1人でもいなきゃ、ダメだぞ、若いんだから」
 あははっ。私は軽く笑った。心配されてたんだな、一応。
 結婚はハズミだ、と主任は言い切った。
「そうだ、綾野さんはさ、結婚して子供ができて、もし事故かなんかで奥さん……あ、オマエは旦那だな、どっちかしか救けらんなかったとしたら、どっち救ける?」
「ええ?」
 なんですか唐突に。
 目で訊くと、主任は次のタバコに火をつけた。
「子供ってのはアレさ、血がつながってるんだよ。自分と血がつながってる。奥さんてのは、血がつながってないんだよな。他人だからさ」
「はあ」
「だからオレは奥さんをね。奥さんを救ける。子供もそりゃ、大事だけど不公平だからさ」
 不公平……?
「綾野は?」
 私はちょっと考えた。でも答えは決まっている。
「旦那さんと子供ですかあ」
「そうだよ」
「私だったら、どっちも救けます」
「そうじゃなくてさ……」
 話わかってる? と主任は首をかしげる。
 わかってます。と私は微苦笑した。
「私は自分が死んでもいいから、必ず両方救けますよ。どっちも譲らない」
「どっちかしか救けられないとしたら、オレは奥さんを救けるよ」
 澄原さんはどこか自分に言い聞かせるような口調になっていた。後ろめたいように、疲れたように、タバコの煙の白い息を吐いた。
 岩瀬さんが戻ってきて、その話はそれきりになった。
『不公平』という言葉の意味が、その後ずっと気になった。
 自分が助かるのが前提の話だったのだろうかと思い至ったのは随分あとのことだ。
 私は黙ってた方がよかったのかもしれない。
 多分、ガキなんだろう。

 営業に資料を渡したらそのまま打ち合わせに突入し、しかも長引きそうだった。私は定時で帰された。
 澄原さんの助手は岩瀬さん1人で足りると言われた。そんな時、岩瀬さんは笑顔で送り出してくれる。私じゃ営業と渡り合えないし、申し訳なく思いながら、早く帰ることが私にできる唯一の仕事という気がする。
 満員の地下鉄に揺られて1時間、駅から徒歩で15分、空はまだ明るかった。

   ◆ ◆ ◆

 台所では料理を前に、父が椅子についていた。私に気づくと新聞から顔をあげ、開口一番、
「いつも遅いな。もっと早く帰ってくれば?」
 そう言った。
「……これで定時に出てきたんだよ」
「そうか」
 父の会社は都心にあって5時で終わる。50歳にして大手企業の重役で、手当てのつかない残業も滅多にしてこないし、普段は私が休暇を取らない限り先まわりできない。
 それは就職した時から教えているのに、父は忘れてしまうらしい。
 ワンピースを着替えに――私はスーツが似合わないのだった――タンスのある洋間へ行くと、庭から母の声が聞こえた。
「チビちゃーん、お夕飯ですよぉ、ご飯よぉ」
「ただいま」
 私が網戸を開けて告げると、
「あら帰ってたの」
 機嫌よく声音が弾んでいる。
「うん、今」
 ベランダにしゃがんで、おいしい? おいしい? とチビの頭をなでている。
 ちょっと見ないうちに、チビは随分大きくなっていた。
 真っ黒だったはずの毛並みに、白い筋が見える。あごからのどにかけての毛と、耳のふちどり。足はしっかり太く短く、靴下さながら先だけ白くなっている。
「なんか育ったね?」
 私が訊くと、
「そうよお、今日体重計ったら七キロもあったのよ」
 ねー。なんてチビに言っている。母はそのままの姿勢で、
「ちょっと聡美さあ、お父さんにお味噌汁とご飯よそってあげてて。母さんこっちやってるから」
「ん」
 私は網戸を閉めた。
 ご飯とお味噌汁みっつずつ、テーブルに並べても母は来なかった。
「外か?」
 父はぽつりぽつり、つまみ食いをしていたが、私が首肯すると箸を置いた。
「おーいっ、真美子ぉっ、犬なんかあとにしなさいあとに。冷めちゃうぞ」
 台所の椅子から怒鳴っても何か返事が聞こえるだけで会話などできやしない。
「しょうがないな、まったく」
 すぐに憤慨した父は新聞を床に投げて出ていった。
「真美子っ?」
「みてみて、チビちゃん可愛いのよほら」
 開け放っているドアから、かすかに会話が流れてくる。
 私はラジオをつけた。
(つづく)
(初出:2011年10月)
登録日:2011年10月01日 13時43分
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