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天野雅
著者:天野雅(あまのみやび)
埼玉県生まれ、千葉県育ちの関東人だった。結婚を機に関西の人間になる。現在は関西とも東海ともいえる近畿地方に在住。10年経って方言にも慣れた。血液型はマイペースで知られるB型。住めば都を地で行く性質。ネット作家歴20年。同人作家歴はプラス5年。趣味は映像鑑賞。写真撮影。歌唱。創作料理。好物は自然万物一般。美術芸能一般。パソコン。ゲーム。漫画。文章。
小説/現代

永遠の海

[読切]
中学3年生の千彩子は、ひとり静かな海の近くで電車を降りた。立ち寄った食堂の店員さんに案内されて登った崖の上からは、素晴らしい海の眺めが広がっていた。こんなところだったら……。千彩子は、目的を果たすため、するりと一歩を踏み出す。家族の人間関係に悩む少女の想い。
  プロローグ

 直前までうたた寝していたはずの千彩子(ちさこ)は、潮の香りをかぎとったとたん、ほとんどの意識を夢に置きざりにしたままシートから立ちあがり、直後、開いたドアの口からホームへと降りたっていた。
 タイミングをはかったように背後でドアが閉じ、電車は彼女を残して走り去る。
 暗がりに慣れていた瞳に陽光の直射がまぶしい。
 他に人の姿はなく、改札口への方向も知らず、千彩子はしばらくその場にたたずんだ。
 焦点を結んだ目に最初にとびこんできたのは、線路をはさんで反対側にある巨大な広告板だった。
『西灘浜海水浴場、西灘浜海岸駅下車。直通バスあり』
 マリンブルー色のペンキの文字だけを最近書き直したらしく、色のはげ落ちた木目調の浮き輪で遊ぶ子供の絵から、くっきり立体になって目にうつる。
 ふりかえり、とりあえず駅名表示をさがす……錆色の鉄板に『なだはま』。にしなだはま、は隣の駅だった。海水浴の客は見あたらなくても海の近くにちがいはなさそうだ。
 炎天下、ところどころコンクリが欠け、ひびの入った古びたホームに屋根はなかった。
 微風にゆれる白いワンピースのすそが膝にまとわりついてくる。つばの浅いストローハットをショートカットの頭にのせて、ずり落ちそうになるショルダーバッグの肩ひもを直しながら、足先に落ちた短い自分の影を道しるべにして千彩子は歩きはじめた。
 海に近く、静かそうな駅で降りること。
 ここまでは計画どおり。


  1.

 舗装された広いロータリーの端に、車止めのブロックばかりが整然と並び、U字型に囲む一段高くなった歩道の右手に行き先の読めないバス停、左手にタクシー乗り場の案内表示が立っている。駅舎はUの底の部分に平らに設置され、申し訳程度にコインロッカーと売店が見えた。
 千彩子は陽炎のゆらめく、ほこりっぽい風景をぐるりと見回し、バス停の横を抜けてロータリーを出た。
 大型の観光バスが楽にすれちがえるほど幅のある車道を渡り、線路をまたいでのびる交差点の左の道と、ゆるやかにカーブを描いて土産品店のならぶ町中へと誘う右の道と、正面のやや細くなったのぼり坂のてっぺんで揺れる緑の木々の群れを眺めた。
 日光が白く、軒先を光らせている。晴天の夏の正午は陽炎がたつほどで、歩いている人影はほとんどなさそうだった。舗装された遊歩道に店のワゴンがはみだしている。色とりどりの浮き輪やおもちゃのシュノーケル、水鉄砲、水中メガネ、砂遊びグッズなどが所狭しと並べられていた。
 坂に沿っては何軒か、食堂の看板が見えている。
 慣れた動作で左腕を浮かせ、静脈のすける部分に貼った幅広の絆創膏に気づき、慌てて右腕を持ち上げた。ぎこちなくキャラクターデザインのデジタル時計の液晶表示へ目をやる。
 ――12:08。
 一瞥で確認を済ませ、千彩子は坂をのぼった。
 硝子に白木格子のはまった引き戸、しゃれたステンドグラスのはまった扉、青いのれん、赤いのれん、生成りの縄のれん。
 ウインドーに飾られた蝋細工製の料理と値札が競ってアピールしてくるが、千彩子はどの誘いにものれなかった。高級そうな漆塗りの漆器にかしこまった日本料理も、素焼きの皿が珍しい郷土風料理も、若者受けする西洋風のレストランも。隔てるガラスに千彩子の姿がうつり、目をそらした。
 砂利の敷かれた駐車場に綺麗に磨かれた車が数台、整然と停められている。
 若い家族連れが店内へ入っていくのを遠目に眺めた。
 暑い。
 なまぬるい汗が背中をすべっていく。
 風がやむと、ワンピースのすそが重く感じられる。
 新しいアンクルストラップのついたサンダルに慣れずに踵と爪先が痛んできている。
 千彩子は後悔しはじめた。
 食事なんて、いまさらだったんじゃないの。
 坂をくだって駅前を……右。そう、線路を越えたら、たぶん海だ。きっと坂のてっぺんからは水平線が見えるはず。方角的に間違いない。
 右手でヒマワリ柄のバッグのひもを何度も握り直し、坂を一歩一歩のぼるうち、もうすぐ頂上、店も終わり、というところで、千彩子はほっとして足をとめた。
 ひたいの汗を手の甲でぬぐう。
 歳月のうかがえる黄ばんだ麻布ののれんに、かすかに残る紅色を染めぬいた文字が『木津ラーメン』と読めた。
 きどらない自動ドアのアルミサッシに、冷やし中華ソバはじめました、とだけ書かれた張り紙。四隅のセロハンテープが一ヶ所剥がれて、忘れられたようになっている。
 ラーメン、食べよ。
 つぶやいて、オアシスに立ち寄るラクダのようにゆったりとした足どりで中に入る。
 冷房がききそこなったぬるい空気に油の匂い。
「いらっしゃい。なんにしましょう」
 注文伝票を持ってきた店員の男性は、千彩子より頭ひとつ分ほども背が高く、少し痩せた体つきをしていた。でもよく陽に灼けて、スニーカーからのびた剥きだしの足首は靴下の跡もない。
 奥まった所のあいたカウンター席へ案内したあと、手際よくテーブルに透明なグラスを置いてくれる。
「……冷やし中華」
 千彩子は椅子に腰かけながら答えた。
 水の中に大きな氷のかたまりがひとつだけ浮いていて、グラスに手をのばした。
 氷山のミニチュア。遠い故郷から切り離された孤独。いつかは溶けてなくなってしまう存在。
 ふちに口をつけると冷気が頬をかすかにかすめ、のどの渇きを後れて自覚した。
 おいしい。
 唇の端で微笑する。まだ、水がおいしい、と思う。――今のところ。
「あ、またやってるよ、あのニュース」
 狭い店内、カウンターの、入口に近い席に陣取っていた二人連れの男の客の片方が、厨房の高い梁に据えつけられたテレビをさして大きな声をあげたので、千彩子はつられて画面を見た。
 映像は、どこか低木に囲まれた芝のグリーンをうつしていた。民家の庭か公園だろうか。それからすぐに白衣を着た女性達が忙しく行き来する病院らしい長い廊下へと切り替わった。
 右下の白いレタリング文字のテロップだけが動かずに残っていた。
『また捨て子? 空白の白昼三時間』
「犬や猫じゃないんだからさ、いらないからって放り出すかね、平気で」
「いまどき捨て子なんて、俺は哀しい」
 悪びれない口調で大学生くらいの二人の男が批評めいた感想を言い合う。
「わけが知りたいなァ、そこまでするわけが」
「どんな事情があったにしろ、この先、親ナシで自分がどこの誰かも分からんで生きていかなきゃなんないんだぜ、過酷すぎるよ」
「そうだな。人間不信になるな、俺だったら」
「それで済めばいいけど、きっと一生『あの子は親がいないから』って言われるんだぜ。自殺した方がマシだよ」
「結局、置き去りにされた方が背負うんだよなぁ。子供の方が」
 ……親に捨てられた子供?
 千彩子は、あらためて画像に目を凝らしたが音は聞こえず、精巧そうなロボットのCGが大うつしになった。コマーシャルだ。
「へい、冷やし中華」
 厨房から太い手がのびてきて、千彩子の前に皿が置かれた。
 不意に客の会話が途切れ、こそこそと囁きあう気配がし、男の客二人は立ちあがった。千彩子が顔を向けると、やけに慌てた様子で伝票の上に小銭を並べながら、
「まっ、親がなくても子は育ちますよって。昔っから言われてるくらいだから」
「他人が心配して騒ぐほどのことでもないってね――ごちそーさん」
 言い訳めいた調子で不自然に明るい声をふりまきつつ、店を出ていった。どうやら観光客ではなく地元の常連といった様子だ。
「まいどー」
 千彩子を案内した店員が、その後ろ姿に声をかけながらカウンターをまわって小銭を回収する。
「……?」
 手にとった割り箸を動かしながら、男二人をなんとなく見送るかたちになった千彩子は自然と店員を視野にとらえ、よく見れば自分より少し年上程度の学生風の青年が、困ったように眉根を寄せて口もとだけ営業用のスマイルを浮かべているのに気づいた。
 すぐに顔をうつむけて食事に没頭しているふりをした。
 なんだか目があっては気まずいように思えたのだ。
 ……親に捨てられた。
 またさっきのフレーズが頭の中によみがえり、千彩子は目の前で溶けかけている氷山の子供をにらみつけた。
 急いで食べるつもりはなかったが、黙々と口を動かしていると昼食はあっというまに済んでしまった。
 最後まで冷たくおいしいままの水を飲み干して、伏せられた伝票をひっくりかえしてみたが金額がわからなかった。店内にメニューの表示もない。
 ゆっくり椅子から立ちながらカウンター沿いに目をやり、入口のそばにレジを見つけた。
「まいどー」
 レジに伝票を置くと、さっきの若い店員が出てきた。アルバイトだろうか。どうやら今、この店内で接客しているのは彼だけらしい。昼どきだというのに、そういえば客の姿は千彩子だけになっている。夏休みとはいえ平日だからなのか、普段からこんな状態の店なのか、よくわからない。
 千円札を渡して出されたおつりを無意識に左手で受け取りながら、千彩子は思い切ってたずねた。
「あのう、ここから、海水浴場や港じゃなくて人の来ないような海岸って行けますか」
 こんなところで働いているのは十中八九、地元の人間のはずで、男子なら一般には遊泳禁止になっているような穴場など、知っているのではないかと思った。
「はあ?」
 営業用の店の人間から、同年代に接する態度へ変化する。それは、さきほど眉根を寄せて困惑した時と同じような雰囲気をともなっていた。
「あっいいえ、御存知なかったら、いいんです……ごちそうさまでした」
 そんなに答えづらい質問だったかと、財布を手にしたまま千彩子がきびすを返すと、その腕がおもいがけず掴まれた。
 ちさこの目線の高さが彼の肩よりまだ低い。
 すぐ近くに立たれると、慣れない圧迫感みたいなものに一瞬だけ気圧されてドキリとした。
「おやっさん、休憩入ります、おかみさん、あとよろしくー」
「はいよぉ」
 厨房から威勢よく女性の声が飛んできた。
「お客さん、泳げなくてもいいんだったら、教えてあげるよ。心配しなくても、歩いていける距離だから」
 腕を掴まれて体半分引き戻された状態で千彩子があっけにとられているうちに、彼はあいた方の手で器用にエプロンを脱いで置き、軽く彼女を押しやって、さっさと外に出てしまった。


  2.

「オレ、葉多翔一。あのラーメン屋ね、二、三階が住居になってて、そこが家」
 駅からの坂道をさらに上へとのぼりながら、彼はやや早口に軽い口調で手短にそう自己紹介した。
「……知らないヒトについてくるのはイヤだろ?」
 微笑しながらつけくわえて言う。
 ついていく千彩子はスピードがあがらない。最初は差が開きそうになったが、じきに気づいた翔一が身長差からくるストライドを持てあましつつ、合わせてくれたので並んで歩けるようになった。
「あ、あたし、檪千彩子……ここに来るのは、初めてです」
「ふうん? ひとりで?」
「えっ、まあ。うち、そんなに遠くないんです、電車で一本だし。あたし、これでも昨日十五歳になったんです。このくらいどうってことないでしょう?」
 横からの翔一の視線を避けるようにうつむいて、帽子をかぶるふりをして表情を隠した。
「そりゃね。しかし大きな荷物でも持ってたら、家出少女だよなあ。受験に疲れた中学三年生ってとこ?」
 千彩子の胸中を知ってか知らずか、あっけらかんと翔一が笑う。
 さきほどの、影のある表情を見せた時とはまったく違う反応に、千彩子は思わず顔をあげた。翔一は白いTシャツを着ている。広い背中が太陽を受けてまぶしい。肩口でそでを丸めて、よく日灼けした腕を長々と見せびらかしている。すり切れる寸前の色あせたブルージーンズ、素足に、うす汚れたスポーツシューズ。
「ん? オレは悠々自適な高校二年生デス」
 千彩子の視線に気づいて翔一が見当外れなことを言った。
「あっ、あの」
 やや緊張のとれた千彩子は不思議に思っていた疑問をようやく尋ねることができた。
「こっち、海なんですか? 駅の反対側じゃ、ないんですか?」
 そろそろ坂の頂上だった。千彩子は後ろを示して、初めてその景色を目の当たりにした。
「ああ……水平線が、丸い……」
 横で同時にふりむいた翔一がうなずいた。
「上天気で見晴らし抜群だ。わかる? あの光ってるの、ヨットの帆だよ。波が穏やかだ。絶好の海水浴日和だから、今頃この下の浜辺は、きみの見たくない人ゴミでごった返してる」
「見たくない、わけじゃ……」
「そう?」
 中途半端に否定して、千彩子は海から顔をそらした。片隅に白くわきあがる入道雲までを染めあげようと、コバルトブルーの空が深く天套を覆い、その下をわずかずつしっかりと弧を描いて切り取るようにエメラルドグリーンの海が広がっている。強烈な熱光線を発する太陽は上空のやや右に傾き、浜に近い海面には銀色のさざ波。徐々に砂底を透かして、ペリドットに似て黄色みがかっていく大洋のグラデーション。泳ぐ人の姿は星粒ほども遠くこまかくて、ここからでは判別もつかない。
 目にしていたのはほんの数秒、だがはっきりと光景は千彩子の網膜に焼きついて消えなかった。
「西灘浜は遠浅の砂浜で、水が綺麗だった頃は潮干狩でも客を呼べたんだ。今でもハマグリぐらいは獲れる。一般向けには最高の場所だよ。逆にこっちの方は高台になってて、泳ぐのは難しい」
 翔一の声が少しずつ離れ、足を止めたままつっ立っていた千彩子は追って下る坂を先へと進んだ。
 道の両側は民家の軒の連なりになった。昔ながらの板張の壁にトタン屋根の平屋が多い。丈の長くほそい鮮やかな緑の葉がブロック塀の上から垂れ、足元には砂がわだかまり、空き地の砂止めにはハマイチョウが黄色い花を咲かせている。
 信号機のあった道路は徐々に幅を狭め、やがて左側は家並が途切れると、防風林の緑が濃くなった。
「ここ、秋にはドングリが採れるんだよ。わかる? お客さんの名前と同じ、クヌギの木があるんだ。今でもたまにクワガタがみつかる」
 ヒイラギ、アカマツ、クスノキ、ヤツデ……歌うように一本一本を紹介しながら、どんどん先をいく翔一につられ、いつのまにか、千彩子は車道をはずれて小石の散らばる獣道に分け入っていた。
 微風に揺れる枝々の葉がこすれ合って、大きくざわめく。蝉の合唱が重なり、滝の音のように耳を打つ。濃密な酸素と、養分のとけた土の匂い。断続的に木漏れ日がきらめく。
 木陰の涼しさに千彩子は帽子をとって、ひたいにはりついた前髪をかきあげた。どこか懐かしい匂いがする。こめかみの汗が冷たくなっていく。
 帽子に巻かれた白いレースのリボンが、ちぎれそうにたなびく。
 おととい。北海道に住む、母方の祖母から誕生日プレゼントにこの帽子が送られてきた。同封の手紙には、いつでも遊びにいらっしゃいと、達者な筆文字で書いてあった。その場に母がいて一緒にそれを読んだ。その夜。
「オマエ、こんな遠回しなやりかたで千彩子を俺から引き離すつもりか」
 風呂から出た時、リビングから父の声が聞こえた。
「何それ? 私はただ、今年も避暑がてら北海道へ千彩子を行かせてやりたいって言ってるだけよ」
 廊下から息をひそめてうかがうと、勉強部屋の机にしまったはずの手紙が、ワイシャツの後ろ姿の父の手に握られていた。
「アナタには――私やあの子より大切なひとがいらっしゃるんでしょう。それで充分じゃないの」
 感情を押し殺して、固く低く、くぐもった母の声。素早く父の片手があがり、鈍い音、母の小さな悲鳴、父の言葉にならない声。
 それ以上いられず、千彩子は二階のトイレに駆けこんでドアの鍵をかけた。
 まっすぐに届かない言葉。誰の言葉も曲がってしまう、『家族』?
 ――きょう着てきたワンピースは、去年、父がプレゼントしてくれたものだ。同じく、バッグは母から。サンダルは、きのうの昼間、自分ひとりで出掛けて買った……。
「疲れた? 足、平気?」
 しばらく無言でいた翔一が、ふと遅れがちな千彩子へ声をかけてきた。
「かかと、靴ズレしてるだろ。もうすぐ海だけど少し休もうか」
 地面はごつごつした岩がところどころに顔を出し、さらに傾斜が下向きにかかって、まっすぐに歩けない。何度かつまずきそうになって、むきだしの爪先が痛かった。
 心配した翔一が手をさしのべてきたが、千彩子は首を振って、意地になって歩き続けた。
「店員さん、」
 気遣われるのが子供扱いされたみたいで悔しくて、なんでもないふりで思いつくまま、先にたって道を選ぶ彼へ言葉をつないだ。
「さっき、おやっさんて。自分のお父さんのコト、そんなふうに呼んでるんですか?」
「ああ? いや別に、まぁ店内だからそれで呼びやすいっていうのはあるんだけど、そのう」
「まさか、他人なの? お母さんの再婚相手とか? あれ、でも、おかみさんて自分のお母さんのコト……」
「住み込み従業員てのも可能性ありなはずだけど……ま、ガキはペケか。つまりね、どっちとも親子じゃないんだな、オレ。あの木津ご夫妻、親戚の叔父さんと叔母さん」
「ああ……」
 千彩子はうなずきとも溜め息ともとれる声をもらした。
 もしかして離婚して、と思ったのだが、そんなタイミングのいい偶然なんか、あるわけがない。
 きっと彼がここにいるのは高校に通う都合でとか、そんな理由。
「着いたよ。頑張ったね。お疲れさん」
 森が終わり、一気に視界がひらけた。猛烈に風が吹いている。飛ばされそうになって、千彩子は帽子を胸に抱えた。肌から汗がみるみる乾いて、照りつける太陽の熱だけを感じる。
 ハマゼリの白い花が咲きみだれて揺れている。足首まで野草の繁る、草原が地平線まで広がっていた。
 ――いや。
 太陽に向かって、一歩二歩、進んでいくと、かなたまで広がっていると思われた地面はなんの未練も残さずに途切れ、吹きあげてくる風は一層潮の匂いに満たされ、見おろせば、その先は。
「海……!」
 地層のあらわな、切り立った崖の上。朱いハマアザミが、陣地の境界で咲き誇っている。十数メートル下方に砕け散る波頭を見て、千彩子は息をのんだ。ギリギリまで海面は碧く、岩肌など見えない。満ち潮だからだろうか。海のうなりと風の吹く音ばかりが大きく、這いあがってくる。
「危ないから少し下がるか、しゃがんだほうがいいよ。実はここ、自殺の名所」
 後ろにいるらしい翔一の声も風にさらわれて聞こえにくい。柵も立札もなく、他に人影もない、花と、海と、空だけがある。



「自殺の名所?」
 千彩子はおうむ返しにつぶやいた。
「ね、万が一ってこともあるから、滑らないように、もうちょっとこっちへ」
 辛抱強く言い含めようとする翔一が彼女の左肘をやや強い力でつかんだ。
「オレもね、憶えがあってね。立ち入られついでに訊きますが、お客さん、この手首もしかしてリストカットしたんじゃないの」
「本当は、ずっと迷ってたの」
 かみあわない答え。半身、斜めにひらいて、千彩子が首を傾げると、肩からショルダーバッグが落ちて翔一の手に移った。
 彼がそれを受けて手を離したすきに、右手でサンダルを脱ぎ一歩踏み出す。
 海へ。
「こんなところだったら、死ぬのもいいね」
 微笑む。
 臨む遠い水平線のむこうに、何かが待ってくれていそうな。
 寸前、翔一の叫び声を聞いた気がした。
 濃紺の景色のなかへ、白い花びらのように、千彩子は落ちていった。


  3.

 抜ける空と海の青にワンピースの白いスカートが翼みたいにひらめいて、上昇気流にのって高く、雲を越えるほどに舞いあがる。
 空気の抵抗を全身に感じ、千彩子は見えるはずのない自分の姿を神の視点から俯瞰するように、その一瞬、鮮やかに夢想した。
 現実的には、自由落下運動は最初の一秒で約五メートル。
 次に認識した時、千彩子の身体はブルートパーズ色に輝く水に包まれて、全身から気泡を撒き散らしながら、どんどん光の届かないような奥底へと沈んでいくところだった。
 着水の衝撃に一瞬気絶していたかもしれない。
 脳天までしびれるような突然の冷たさ。
 水と布がまといつき、自由のきかない手足。
 呼吸のできない苦しさ。
 耳鳴り。
 脳裏に血の色の緋が明滅する。
 かたく閉じていた瞳をたまらずに開くと、目の前に水色のロープが一筋、海面へとのびていた。
 海水に沁みる痛さに慄きながら必死でつかむ。
 死んじゃう。
 助けて。
 自分で望んで飛びこんだことも忘れて、生存本能が全身にスクランブルをかける。
 そのロープは胸に抱えていた帽子から外れたリボンだと、千彩子には気づく余裕もない。
 お父さん。
 お母さん。
 どこ?
 誰もいない。ここには、私の好きな人は、誰もいてくれない。
 誰か……。
 薄れる濃紺色の視界に大きな黒い塊が飛びこんできた。
 もうだめ。
 あれは、私を迎えにきた死神の影だ。
 さしのべていた左手首を掴まれた、その傷口へ疾る激痛に、水中にいることも忘れて千彩子は悲鳴をあげた。
 わずかに残っていた空気が一気に肺から逃げる。
 鼻からも口からも容赦なく水が押しよせ、体中がしめつけられた。体内の血が逆流しそうだ。
 正気に戻りかけた千彩子の脳が酸欠状態になって、視野を赤く染めつくす。
 苦しさに何も考えられない。
 直後、何か強い力が千彩子を引きあげ、押しあげた。
 顔の表面が急に解放され、千彩子はわけもわからずに激しく咳こんだ。
 空気と水のせめぎあいで肺とノドが痛い。
「――いっ、おい、しっかりしろ、聞こえるか? 焦るな、大丈夫だから。もう大丈夫だから、あばれるな」
 耳元で怒鳴り声がしている。
 ……なんで?
 痛みと苦しさと混乱でいっぱいになった頭で、千彩子はそればかり繰り返した。
 なんで?
 生きてるの?

 もがく千彩子の体を背後から渾身の力で押さえつけ、翔一は海水の浮力を借りて力尽きる前になんとか岸辺へと辿りついた。
 潮にかなり流されていたが、運が良かったらしい。
 恐怖を越えた安堵で泣きじゃくるのをしばらくなだめていたが、ようやくすすり泣くだけで落ち着いたと見てとると、そこに彼女を置き去りにして、数分後、戻ってきた。
 波が長い年月をかけて山肌を岩棚に変えていた。平らな岩の突出する岸は、先程までいた崖の上まで小径が続いていた。
 千彩子は水面から一段高くなった岩肌の、太陽を避けた影に力なく横たわり、足音のする方へ頭だけ巡らせて、あらわれた翔一へ表情のない目を向けた。
「……どうして助けたのなんて、訊くなよ」
 責められるのは心外だった。翔一は溜め息をつきながら、持ってきたバッグとサンダルを千彩子の足元に置く。海と強い日射しを背にして、裸の肩に脱いだTシャツをひっかけ、日の当たる場所に坐りこんだ。プールサイドで休んでいるときのように、濡れた体に温んだ岩面が心地よい。
「冗談じゃないぜ、オレの目の前で死なないでほしいよ、ったく」
「……ごめんなさい」
 そこまで考えてなかった。
 かすれた声で、千彩子は謝った。
「いいけどさ。ここに連れてきたのはオレだし。予想してたし、一応」
「自分でも、本当に実行できるなんて、判ってなかったのに?」
「助けが必要なのかなって、そのくらいはね」
 寝そべる千彩子の瞳に、ふたたび水とは別の熱いものがこみあげてきて、こめかみを伝い落ちた。
 くちびるが震えて、言葉にならない。
「悪かった。オレが悪かったよ。ごめん。ここ、自殺の名所なんかじゃないんだ。数年に一人くらい事故で死ぬくらいで、水泳部の連中が飛び込みの練習に使ったりしてる。もちろん本気でおぼれてる人間を救けるはめになるとは、オレだって思ってなかったよ」
 大きく息を吐いて、冷えた手のひらを泣いている千彩子の額にあてがい、無事でよかった、とつぶやいた。濡れている前髪をのけてやると、手を膝に戻して話しだした。
「オレねぇ、高校二年だけど、来週で十八になるの。どうしてだと思う? 一年の時に、ちょっと休学しちゃってね」
 千彩子はのろのろと起き上がった。バッグを引き寄せてハンカチを取り出し、乾きかけて潮にこわばりはじめた顔や髪の表面を軽く押さえながら、黙っていた。ハンカチは柔らかく、放置されていた間に熱を吸って温かかった。少しずつ失っていた体の人間らしい感覚が戻ってくる。
「オレ妹いたんだ、みっつ下の。そう、ちょうどお客さんと同じ歳だね。それと両親がさ、一昨年のゴールデンウィーク、旅行先で事故にあって。全員あっけなく」
 すべて言わず、両手の指を広げてあおむけにさしだした。
「――まさか?」
 千彩子は目を閉じた。こめかみがズキズキと痛む。それから左手首が。目を開けて見ると、絆創膏から血がにじんでいた。ハンカチでそっと抑える。右手首の腕時計は文字盤が濁ってしまっていた。翔一が手をのばしてきて、ハンカチを左手首に巻いてくれた。
「オレだけその時、家にいたわけさ。高校生にもなって家族で旅行だなんて、まっぴらだってカッコつけて。フツーの、どこにでもある、たまに反抗心でぶつかる程度の親子だったんだ」
 翔一は大きく両腕をまわし、Tシャツをかぶると、今度は千彩子から後ろを向いて、海に向かってあぐらをかいた。
「それが一晩で百八十度の暗転」
 肩をすくめる。
「ショックで一年休学。ていうか、どうでもよくなっちゃって、何もかも。はっきり言って独りで世の中、お先真っ暗じゃない。オレ、運命に捨てられたって思ったし」
「運命に……」
「日常なんて、もろいもんだよ。それで木津夫婦に引き取られて、こっちに来た時も、すっかり自暴自棄状態。飛びこんだんだよオレも、この海に」
 ここ笑うところね、と翔一は首をめぐらせたが、逆光になって千彩子に表情は見えなかった。
「寒くない? まだ乾いてなかったら少し陽にあたるといいよ」
「うん……。帽子、なくしちゃった」
「命とひきかえになってくれたんだよ」
「そうなのかな」
 千彩子は立ち上がって、まだ重いスカートをしぼった。
「店員さん、運命に捨てられたのに、どうして? 今は平気なの?」
「どうしてってなあ。やっぱり死ぬのって、ブザマじゃない? お客さんも、さっき身に染みたんじゃないの。そんなにキレイに死ねないから。自殺なんてさ、結局」
 他にどう説明していいやら、という困惑まじりの笑い声。
「それに運命が死なせてくれないのさ、生きたいやつが生きられない、死にたいやつが死ねない。ただそういうことだね」
 沈黙がおりた。
 勇気をだして千彩子は口をひらいた。
「ごめんなさい……」
「お客さん、誰かに捨てられたの?」
「……親。浮気したとか、離婚するとか、そんなことばっかり言ってる。あたしのこと取り合ってるけど、お互いへのあてつけなの、判るの」
「取り合ってあてつける? ああ、どっちがより愛してるかって、そういう基準で?」
「くだらないでしょ」
 千彩子はなげやりに吐き捨てるように言って、止まらなくなった。知りたかったことを、話せばここで教えてもらえるような気がした。
「あたしって何? 親って、好きな相手の子供が欲しいと思って産むんじゃないの? あたし、おじいちゃんやおばあちゃんに、お父さんともお母さんとも似てるって言われた。お互いのコト嫌いになったなら、あたしのコトだって愛せるはずないじゃん。今は足の引っ張りあいに夢中で気がつかなくても、そのうちあたしのコトなんて、いらなくなるに決まってる。道具にされて邪魔になるなら今のうちに死んじゃったほうがマシでしょう?」
「うーん」
 翔一は直接には結論めいたことを言わず、
「さっき念のため連絡先、と思ってバッグの中、ちらっと見せてもらったんだけどさ。そんな白紙の遺書なんか残さないで、そういうこと生きてるうちに言っておけば。さっきから見てるとさ、頑固だよね、お客さん。だからって意地張って自殺なんて急ぎ過ぎじゃないかな。確かめもしないで自分こそ、さっさと親を捨てることになるぜ。死んだら何も得られない。最後の手段だよ」
 聞いていて千彩子はくすりと笑った。
「お客さんて、ヘン。もう、お店の外なのに」
「店員さんて、檪千彩子ちゃんが、呼ぶからさ」
 今度こそ翔一がふりむいて笑い、千彩子は力をこめてのびをして生乾きの服へいっぱいの風を入れてから横に坐った。
「けど先にそう呼んだのは、店員さんのほうですよ」
 日の下に並ぶ。千彩子の日常からは遠かった海の広がりが当たり前のようにそこにあり、風景の力強さに目をほそめた。
「これからは人生の先輩って呼びましょうか?」
「……もしかして、オレの名前、憶えてない?」
 千彩子が声をあげて笑う。
 翔一は頬をゆるめて、明るい水平線へと視線を飛ばした。かみしめるように言葉を区切りながら、自分に向けるかのように続ける。
「嘘だって思うかもしれないけど死ぬ気でやったら、なんだってできるはずさ。死んじまったら何もできないんだ。相手がいるなら文句も言えるだろ。千彩子ちゃんには、まだチャンスがあるんだよ」
「でも」
 千彩子は笑みを消して、先刻から変わらずに晴れている空を見上げた。いつからあったのか、ひとすじ飛行機雲が斜めにのびている。さっき海の中で見た、命綱のように。
「何を訴えても無駄な気がしたの。お父さんもお母さんも怖いくらい真剣にケンカしてて、だけど自分の考えで頭がいっぱいで、相手の言葉を勝手に解釈しちゃうの。ちゃんと届かないみたい」
「だから遺書も白紙なわけか」
 千彩子はうなずいた。
「海ってね、昔は家族で毎年、泳ぎに来た場所。いつのまにか家族そろって何かすることなんて夢みたいな話になっちゃった。子供の時と同じ、ここに海があるのに。だったら、あたしの遺体がここで見つかれば、いつか親は判ってくれるかなって……。それでダメだったら永久に終わりかなって」
「海に伝言を頼もうなんて、ズルしちゃだめだよ」
 黙って千彩子は翔一を見つめた。
 あわてて彼がかぶりを振る。
「もちろんオレだって引き受けてやらないよ」
「うん。……ありがとう……」
 助けてくれて、と言ってから、千彩子はわざとまじめな顔をして首をかしげた。
「先輩、名前、なんだっけ」


  エピローグ

 構内はオレンジの光が混ざりはじめた太陽の日射しにさらされていた。
 老朽化したホームでひとりアナウンスを聞いていた千彩子は、ばたばたと近づく足音にふりかえった。
「あれ? 仕事があるって、さっき」
 坂の上で別れたはずの翔一が、エプロンをつけた恰好で息を切らせていた。
「これこれ、やるよ、ないと困るだろ?」
 見ると、差し出した彼の手の中でそれはとても小さく見えた。
 牡丹色の革バンドに、木枠のついたローマ数字の文字盤。決して数百円単位の安物でないことは千彩子にも判る。
「たかそう。こんなの、もらえないです」
「いいんだ。オレより千彩子ちゃんに持っててほしいんだ。嫌じゃなければ。……妹のなんだ、これ」
 千彩子は一瞬考え、にこやかに受け取った。
「大事にするね」
 使えなくなったデジタル時計を外し、慣れない手つきで右手首にはめようとすると、翔一が手伝ってくれた。金具の部分がひんやりとした。
 やがてサビの浮いた電車の車両があらわれた。ブレーキの音を軋ませながら線路の向こうの看板の文字を隠していく。
「じゃあ、気をつけて帰れよ」
「うん。とりあえず、言いたいことを言うまでは頑張ってみる」
 ドアが開いても、降りてくる客はいなかった。肌を焦がした家族連れやカップルでシートがほぼ埋まりかけている車内へ、千彩子はサンダルのかかとを鳴らして一歩、踏みこんだ。
 ホームに残った翔一が、ためらいがちに声をかけてくる。
「言いづらいけど、それでもダメってこともある、」
 千彩子はふりむいた。
「覚悟できてるから」
 決意した言葉とは裏腹の心細げな笑みを唇の端に浮かべて答える。
 発車の合図が鳴り響く。翔一は叫ぶように言った。
「その時は知らせてくれないか」
 もう時間がない。千彩子の返事を待たずに翔一はまくしたてた。
「ここでオレが待ってること、忘れないでくれ」
 ドアが二人の間で閉まった。
「あ――葉多先輩」
 千彩子がドアの硝子窓に手をあてて、見ると、ゆっくりと距離をあけながら翔一が大きく手を振った。
「忘れない。あの海、永遠だから」
 遠ざかっていく翔一が、千彩子の声を聞いたかのように、何度もうなずいていた。
(了)
(初出:2010年10月)
登録日:2010年10月26日 19時34分
タグ : 恋愛 家族 自殺

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