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井原りり
著者:井原りり(いはらりり)

小説/現代

秘密のコントロール(2)

[連載 | 連載中 | 全3話] 目次へ
いつものチャットメンバーのオフ会がある。参加しない宇野からの課題は『下着なしミニスカート』。さらに『追加』の課題が……。
よく行くSM系チャットのメンバーで、この週末にオフ会をする予定がある。

オフねえ。…………。
毎晩まいばんチャットで話してんだから、わざわざ面と向かって会って、酒飲みながら話しをして、楽しいだろうか?

楽しいんだろうなあ、きっと。

だって、オフって楽しいに決まってるもん。
文字だけでいろんなことを伝えてくる能力にたけているか、そうでないかがはっきりわかる。
素敵な会話のとおりに素敵な人って本当にいる。ビジュアル的にどうこうっていうんじゃない。ま、人間性っていうかさ。
だめなやつは、ほんとに何やらせてもだめなんだもん。やっぱ、こんなやつだったかあ、その通りじゃんって落胆する快感。自分が優位に立てて気持ちがいい。


***


to:uno
題名:花火大会オフ
本文:こんばんは。
   今度の花火大会の夜にいつものチャットメンバーでオフ会します。
   宇野さんも、いらしてくださいね。

   な〜んて冗談です。
   わたしでさえ、会ったことがない人と、その他大勢の一人として会うなんてごめんですから。
   かわりに何か課題をいただけますか?


***


to:さかな
題名:オフ
本文:楽しそうだね。近所に何人か、そういう人たちがいるのか。おもしろいな。
   課題は、下着なしミニスカートで参加。
   というところかな。
   できる?


***



ひゃっほう。下着なし?
受けて立つわ。

実は、下着なしで過ごすことは嫌いではない。いや、むしろ好きだといっていい。
今までも風呂上りに下着なしでいきなり寝間着を着て、そのまま朝まで過ごしたり、頼まれもしないのにオトコと逢う日に下着なしで出かけて行ったりしたことがある。

マンディアルグの『オートバイ』だっけ?
ヒロインは素肌にいきなり皮つなぎを着て、バイクにまたがる。
行き先にはオトコが待っているはず……。そうして、ゆっくりとつなぎのジッパーをおろしていく。
じ、じ、じ、じ、じ……。しゅるしゅるしゅる……。

そんな小説や映画のシーンへの憧れ。

下着なしでいると、濡れてくるのがよくわかる。
当然か。
歩く時、肉と肉がこすれていたのが急にミシン油をさしたように回転が速くなる。そんなふとももの触感で、「あああ、濡れてきた」とアタマが思う。
思うとよけいにじんわりとしたものが降りてくる。足と足の間から。

こんな状態になってる淫らなあたしが、どうしようもなく好きだったりもする。
だから自分のために下着を穿かないでいるんだろう。
困ったねえちゃんだよ、あんた>自分のことか……。

でも、おいしい課題すぎないか?
裏になんか、あったりしないか?


***


to:さかな
題名:追加
本文:下着をつけていないことを他人にさとられてはならない。
   念のため、申し添える。


***


あ? 今度は【露出命令】とは逆なんだ。
ややこしいな。
宇野とあたしだけは知ってるが……オフのメンバーには秘密ってことだ。
わお! ぞくぞくする。


***


to:さかな
題名:想像して
本文:オフ会場のトイレにて待つ。
   皆が楽しくやっている時、わたしに犯されているさかな。


***
(つづく)
(初出:2000年09月)
登録日:2010年06月27日 16時24分

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