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城本朔夜
著者:城本朔夜(しろもとさくや)
自称「心のカメラマン」。被写体は、見えなくて、水のようにいつも動いているもの。究極に目指すのは、世にも美しい芸術作品。でも好きなのは、なんの変哲もない「スナップ写真」。撮ったあと、ちょっと変わっているのが撮れていたりすると、嬉しくなって、誰かとシェアしてみたくなります。
小説/現代

雨の帰り道

[読切]
野球帽では雨が防ぎきれなくなったころ、監督は引き上げの合図を出した。他の生徒らは傘を持って、あるいは車で母親が迎えに来る。ぼくは母さんの携帯に電話するもつながらない。同じ境遇の翼と一時は仲良くなるものの……。小学五年生の“ぼく”が家に帰り着くまでのさまざまな想い。
 ぼくの肩先に、大きな雨粒がぽつんと落ちた。
 今日は、火曜日。陸上少年団の活動日だ。ここ、陸上競技場へは、学校が終わってすぐに自転車で来た。学校の規則では、寄り道は反則。家に帰って出直すっていうのが原則だけど、ぼくはいわゆる遠距離通学者だ。だから自分で勝手に免除にしている。
 いったん帰ってから出直したって、時間には、ギリギリだけどちゃんと間に合う。でもそれじゃああまりに効率が悪いし、そんな決まりに従っていられるほど、ぼくは真面目にできてはいない。
 落ちてくる雨粒はみるみるうちに増えていく。乾いた土に雨の匂いが立ちこめる。
 学校が終わったときには、空はみじんも雨の気配をはらんでいなかった。からりと晴れた、それはもう旅行雑誌にでも載っていそうな、北海道の夏そのものみたいにさわやかな夏空だった。
 それが、グランドを走っているうちに風が出てきて、あっという間にどんよりしてきた。
 ぼくたちは、監督の指示に従って四列に並び、その先に続く百メートルを順番に走る練習をしていた。雨が落ちてきてもしばらくの間は練習をやめる気配はなかったけれど、雨はどんどん強くなっていく。グランドについたぽつぽつの模様は、無限につづく世界地図みたいに広がっていく。
 かぶっていた野球帽ではさすがに雨をよけきれなくなった頃、監督から引き上げの合図が出された。ぼくたちは、クラブハウスから張り出した屋根の下へと走って引き上げた。クラブハウス前の屋根は、わりかし広い。いつも練習熱心な監督は、ますます暗くなっていく空を見上げながら、雨がやむのをしばらく待っているみたいだったが、三年生から六年生まで、四十人くらいの少年団員の中に、練習に執着する者は全くいない。ぼくについてももちろんそうだ。これ幸いと、てんでにちょっかいを掛け合いながら、すでに遊びモードに入っている。
「仕方がないな。こりゃ、どうやら本降りだ。今日の練習は中止にするか」
 さも残念そうに監督が言うと、なぜか大きな歓声があがった。監督は、そんなぼくらに苦笑しながら整列をさせて、その場を締めた。みんな、思い思いに帰り支度をし始める。
 さて、どうしよう? とぼくは思った。どうやってここから家に帰ろうか?  
 挨拶を終えた頃には、競技場の近所に住んでいるやつの母親が十数人、すでにクラブハウスの前まで傘を持って迎えに来ていた。団員の半数近くが、母親に連れられ帰っていく。母親が来ないまでも、ここから五百メートルも離れていない所に住んでいるようなやつは、挨拶もそこそこにウインドブレーカーのフードをかぶり、飛び出していく。自転車を 飛ばせば、さして体は濡れないだろう。
 家の近いやつはいい。ぼくも家が近かったなら、迷うことなく飛び出していた。だけどぼくの場合は、そう簡単に決心はできない。なにせ、ここから家までの距離は、四キロ。へたしたら、五キロに迫る距離があるからだ。
 帰っていくやつとその母親にいちいち挨拶をしている監督に、六年生のひとりが言った。
「監督ぅ―、ぼくの親に電話、かけさせてもらってもいいですか?」
「おお、わかった。そうだったな」
 申し出た六年生にうなずいて返すと、監督は少し大きな声を張り上げて、まだ残っているみんなに言った。
「家に電話かけたいやつは、おれに言え。携帯、貸してやるからな」
 監督がそう言っている間にも、やや遠くに住んでいるやつのお迎えが来る。今度はお車に乗ってのご登場だ。結局、監督に電話を貸してもらうやつの人数は少ない。申し出たのは、六年生がふたりと、ぼくよりひとつ年下、四年生の上田翼とぼくの合計四人だ。

   *

「つながらないか?」
 ぼくは、真横に首を振る。
 監督に携帯を貸してもらって、もう三度目のチャレンジをさせてもらった。 家電と母さんの携帯にそれぞれ三度、五分おき。だけど、家の電話も携帯もしばらくすると留守電機能が発動するだけで、生身の人間の声は聞こえない。
 家族が電話に出ないのは、何となくわかる。じいちゃん、ばあちゃん、父さん、母さん。みんな総出で畑、もしくはビニールハウスに出ているだろうとわかっているからだ。だけど、母さんの携帯に対する心構えには本当に参る。世の中の流れにただ乗るだけのために持つことにしたと思われる携帯電話。結局あまり必要としていないらしく、ぼくは母さんの携帯不携帯の場面を何度も見ている。きっと母さんは、今も携帯不携帯で畑に出てしまっているに違いなかった。
 さもありなん、か。ぼくは思った。その場でうすくため息をもらすと、携帯電話を監督に返す。
 携帯を貸してもらった六年生二人は、早々に親と連絡を取り、迎えに来てもらえる約束を取りつけていた。落ちついた様子でクラブハウス前のベンチに腰を下ろして、余裕の笑顔で監督と話をしている。
 空は暗く、雨が止む気配はない。グランドにはすでに水たまりができつつあった。
 未だ帰る術が見つからない人間は、ぼくひとり……と思いきや、意外なことに同類の人間がもうひとりいた。
 上田翼だ。家が近くて、時々登下校とかに一緒になるやつ。でもそんなにめちゃくちゃ仲がいい、というわけじゃない。
 翼は、やつが呼ぶところの「ママ」の携帯にやっぱり三度、電話しているが、マナーモードになっているとかでつながらないらしい。
 家が近いと言っても、三百メートル位は離れている。結構遠い。学年が違うということもある。少年団が同じだということはわかっていたけど、ぼくには同じ学年のつきあいもあるし、あえて好んでしゃべりかけるということはしない。だけど、この日この時だけは、同じ境遇が重なったせいで、不思議な連帯感が二人の間に生まれていた。
 翼とぼくは、それから五分後、もう四度目のチャレンジをさせてもらったが、やっぱり撃沈させられてしまった。
 浮かない顔で、それでも冗談交じりにぼくが「無念」とつぶやくと、その次に電話をかけさせてもらった翼も続いて「無念」と言った。
 みんなが解散してもう三十分ほどが過ぎている。先の六年生ふたりの迎えが来て、帰ってしまうと、監督もどうやら何か他の方策を考えなくてはと思いつつあるのか、「どうすんだ? おまえたち」と心配そうに眉をひそめた。
「そうだなぁ……」とぼくはちょっと考えるふりをしたあとで、こんなことを言ってみた。
「自転車で帰るよ。ここから四キロ。そんで、この際ずぶぬれになるだけなって、恨みがましく家じゅう、暴れまわって、びっちゃびちゃにしてやる」
 半分本気の半分冗談。
 監督だってそろそろ帰りたいと思っているだろう。これ以上ぼくらのためだけに監督の足止めをするわけにもいかないし、最後はもうそれしかないかな、と思い始めての一言だった。
 そうしたら、翼がすぐに反応をした。
「いいね、ヒデくん。それ、悪くない」
 その一言にぼくはすっかり嬉しくなった。ぼくが思わず笑ってしまうと、翼も笑った。それからふたりは、一気に意気投合した感じがして、もっとすごい、絶対ありえない他の代案を出し合いながら、うひゃうひゃ言って笑ったりしていた。
 クラブハウスのトタン屋根を叩く雨の音が、バタバタいってうるさいくらいだ。結構すごい降りだけど、北海道といえども今は夏だし、今日はそれほど気温も低くない。風邪をひくこともないんじゃないか? 半分冗談で言ってみたけど、翼とふたりだったら、四キロだってそんなに遠い距離じゃないかもしれない。むしろ、この土砂降りの雨が、逆に楽しい冒険の旅みたいになるんじゃないか、そんな気がしてきた。
少し雨が小降りになるのを見計らい、ぼくはベンチから立ち上がった。
「よし、それじゃ、監督。おれらは行くよ」
「大丈夫か? なんならおまえらふたり、おれが車で送ってやってもいいんだけどな」
「いいの、いいの。監督の家は反対方向でしょ? それにおれら、自転車があるし。自転車がないと明日、学校までの三キロの道、歩いてかなくちゃなんなくなるから。な、翼」
 翼が同意するように強くうなずく。翼の表情にぼくはすっかり満足をして、勇ましく言った。
「それじゃ、監督、さようなら」
 持って来ていたウインドブレーカーを着込むと、「行くぞ」と一言、翼を従えるように声を出す。ふたりで雨の中へ飛び出していった。
 ところが、駐輪場にたどり着いたときのことだった。翼が、不意に困惑したような声をあげた。 
「あ、あれ? ママの車だ。……迎えにきたみたい」
 翼の声に従って、向こうを見やった。駐輪場の脇の駐車場に、見覚えのある水色の車がちょうど入ってくるところだった。
「ごめん、ヒデくん。ちょっと待ってて」
 翼はぼくに対してひどく気を使うように後ずさりすると、慌てて背を向け、車の方へ走っていった。
 水色の車は、駐車場の一番こちら側に止まった。翼の母さんが、派手な花模様の傘を差して出てきた。車の後ろ側に回り、ハッチを開ける。その母さんと翼が何かを話し始める。
 しばらく何かを言い合った後で、翼が走って戻って来た。
「ママ、買い物に出かけてたって。運転中だったから、携帯に出られなかったんだって。……ごめん。ウチの車、自転車二台は積めないんだ」
 翼は、いそいそと自転車の鍵をはずすと、自分の家の車に向かって自転車を移動し始めた。
 その瞬間にぼくは思った。
 裏切られた、と。
 今まで、こいつとイマイチ仲良くなれなかった理由が、今、はっきりとわかった。こいつは本当に甘いのだ。登下校の時にこいつに会うのは、春夏秋の晴れた、それはそれは穏やかな日だけ。雨の日や、風の強い日、冬の間は一切車で送ってもらう。こいつの家は、うねうねと畑の連なる丘陵地帯の、とある丘の上に建っている。家はなんだか前衛的なこじゃれた感じだ。三年前に札幌だったか東京だったか、とにかく都会から引っ越して来て、こいつの親父は写真家をしている。結構有名な写真家らしい。
 こいつが甘いやつだってことに、家の形や親の職業なんか関係ないのはわかっているけど、ぼくにはどうしても、その家のやつだからこんなに甘いって感覚が消えない。
 偏見だってわかっている。もしも自分の家が、翼の家みたいにこじゃれていて、父さんがかっこいい写真家だったとして、そのことを餌に誰かに悪口を言われたとしたら、偏見だって抗議するだろう。だけど、裏切られたような、こんな気持ちは、翼が知ったら、そんなことを言われる筋合いなんかないって思うだろうけど、どうしようもない。
 翼の言葉には続きがあった。
「自転車二台は積めないけどさ、もちろんヒデくん自身は、乗せられるから。……ついてきて」
 そう言われても、抱いた気持ちは、髪の毛一本、産毛一本ほども変らない。自転車も一緒に載せてもらえるとか、もらえないとか、雨に濡れたくないとか、濡れてみたいとか、そんな単純な気持ちじゃ全然なかった。
 ぼくはその場から駐車場の方に向かっては、一歩たりとも動かない。自転車にかけていた鍵だけをはずす。
「ねえ、ヒデくーん。おいでよ。自転車はそこにおいてさぁー、自転車は天気のいい日にとりにこればいいよ」
 車に自転車を載せてもらいながら、翼が駐車場で呼んでいる。
「うるさいよ」
 口の中で小さくつぶやく。翼の声に気がつかないふりをして自転車にまたがると、右足首に力を入れた。ペダルを思いっきり強く踏み込んだ。絶対に翼の方を見ないようにわざとした。前を向いたきり、通りへ向かった。

   *

 駐輪場にいたときには、すっかり小降りになっていたのに、雨は再び大降りになった。
 夏特有の大粒の雨。耳の中全部が、アスファルトを叩く雨の音に包まれている。
 僕の肩先から頭の上があっという間にびしょぬれになった。上げ下げをさかんに繰り返す太ももも同じだ。間もなく、せっかく着込んだウインドブレーカーが、全く意味をなさなくなった。逆に肌全体にぴっちりと張り付くせいで気持ちが悪い。通りに出てからものの一分で、パンツの中までびしょぬれになった。腿に短パンとパンツが一緒になって張り付くせいで、ペダルも思うようにこぐことができない。雨足が強くて前が見えづらい。最低だ。
 翼が一緒だったらな、なんてことは思わなかった。あんな裏切り者、二度と話しかけてなんかやらないだけだ。
 それにしても、この大雨。あまりにひどい。
 そうはいっても、そろそろ迎えが来るかも知れない、そんな気持ちも少しは頭をかすめたけれど、実際ぼくは、そんなに期待をしていなかった。それよりはむしろ、今回こそはぼくの祈りを聞きとげて、迎えに来て欲しいと願っていた、というのが近い。親がいない人の気持ちが、今なら本当にわかる気がした。というか、この状況じゃ、ぼくには親がいないのと変らない。
 だいたい日頃から、うちの両親は、登下校に関して情け容赦なく真剣に冷たい。
 片道一時間はかかる道のりを、一、ニ年生のうちは、全くの徒歩で頑張った。三年生からは遠距離通学者は、春夏秋、雪が降らない季節と雨が降らない日に限って自転車通学が許されているから、楽になったことは確かだけれど、ウチの場合、冬、どんなに鼻毛が凍りそうに寒い日でも車で送ってくれることはない。唯一、吹雪の日だけが車でご登校の厚待遇になりうる。
 翼の家に限ることなく、遠距離通学者の中でそんな家庭はよそにはなかった。個々に程度の差はあるけれど、最低でも雨の降る日は、たいていみんな、送ってもらえる。
 うちが農家で今一番忙しいことは知っている。夏を迎えてメロンの収穫もそろそろ最盛期にさしかかっている。じいちゃんもばあちゃんも、もちろん、父さん母さんも暑いハウスの中で毎日汗みどろになって働いている。
 でもこんなに急な雨。天気予報ですら予報していなかった雨。傘を持たずに自転車で少年団に行っていることを一応親なら知っているはずだ。なのに、迎えに来ることはおろか、監督の携帯に一言でも電話すらしてこないなんて、色んな理由を差し引いたって、ぼくは親から風邪を引いてもいっこうに構わない、と思われている存在に違いない。愛されていない。どうなってもいいと思われている証拠だ。
 自転車をこいでいるうちに、寒すぎて歩きながら鼻と指が痛くて痛くてちぎれてしまうのではないかと本気で思った帰り道も、反対に暑くて暑くて火だるまになる寸前だと思った帰り道も、汗だくになって坂道をこぐ横を、翼の家の水色の車が時速六十キロで走り過ぎていくのを見送ったことも、四年と三か月分、一年に二百回往復したとして、合計ええっと、約八百六十回! 家と町とを往復した日々のことが、次々にぼくの頭で駆け巡り始めた。
 その中でもひどかった日のことが優先的に一つ一つ思い出されていくうちに、怒りを一気に突き抜けて、本当にぼくは愛されていない子供なんじゃないのかと、絶望にも似た情けない気持ちに沈んでいった。
 北海道の雨は、夏であっても結構冷たい。ぼくの心もこの雨と一緒にぐっしょりになって冷えていった。
 だめだ、もう。あした絶対、絶対絶対、熱、出してやる!

   *

 商店や民家が連なる市街地を抜け、広い国道を一本渡ると、辺りは一変、メルヘンチックな丘陵畑作地帯になり代わる。  
「メルヘンチック」と言ったのは、もちろん皮肉だ。誰がはじめに言い出したのか、この一帯に「パッチワークの丘」なんていう名前をつけて、ただの木にすら名前をつけた。以来、観光客がひっきりなしにこの一帯を訪れて、ぼくに言わせたらただのじゃがいも畑にすぎない場所を、バシバシ写真におさめていくけれど、ぼくは「きれい」だなんて思ったことは、一度だってない。
 うねうねと続く坂道は、ただの地獄だ。道は平ら。平らに限る。坂道なんか、本当に嫌いだ。
 国道を抜けて、初めての坂にさしかかる。ぼくはサドルから腰を浮かせて立ちこぎをはじめた。雨はいっこうに止む気配を見せない。通り過ぎるのは車ばかりで、道路にも畑にも人影はない。街中を走っているときよりも、ぼくはさらに孤独感をつのらせながら、息を切らせあえぎつつ、のろのろと自転車を進めていった。
 その時、ふいに斜め前方、坂の上に何かとてつもなく不安定な物体が現れた。自転車だ。あまりにも荷物を満載している旅人の自転車。その自転車は、おそらく向こうから続いていた坂道を登りつめた開放感からだろう、今までのフラストレーションを解放するかのように、すごいスピードで下り坂を走り下りはじめた。
 荷物だらけの自転車がぼくに近づいてくる。乗っているのは、黒い合羽を着込んだひげ面のおじさん。いや、お兄さんかな? それにしてもすごいスピード。そういう意味でぼくはその自転車に気を奪われた。ちゃんと避けなきゃ、ぶつかる勢い。ちょっとおじさん気をつけ……!
 あああ、あーっ!
 おじさんが尋常ではない血相で自転車にまたがっているのに気づいた時には、もう遅かった。甲高いブレーキの音。おじさんの自転車は、ぼくの自転車のぎりぎりのところまで近づいてきて、大きくハンドルを切ったけれど、道路は滑る。おじさんの自転車のタイヤが横滑りをして、ぼくの自転車に突っ込んでくる。巻き込まれ、絡まるようにぼくらは転んだ。
「痛っ! いたたたたたたぁ……」
 大きな声をあげたのは、おじさんだ。
 ぼくは幸い、ぶつかる瞬間、とっさに自転車を手放していた。沿道の草の上にしりもちをついた形で転んだだけだ。それでも、突然のことにあっけをとられ、言葉を発することを忘れていた。
 おじさん……いや、やっぱりお兄さんかな? は、スピードを出していたこともあって、派手に大きく転んだ挙句、結構離れた場所まで飛ばされていた。
「だ、大丈夫……ですか?」
 おじさん改め、お兄さんは、未だ雨の降りしきるアスファルトの上で、まるでギャグマンガみたいに大の字崩れの格好をしながら伸びていたけど、すぐにむっくりと起き上がると、足を引きずりながら、ぼくの近くにやってきた。
「ごめん! ごめんよ、少年。大丈夫だったか? ケガしなかったか?」
「いえ、あの、はい。大丈夫だけど」
 そう言いながら、やっとなんだか、巻きこまれてしまったことに対して憤りみたいなものが湧いてくる。
「き、気をつけてくださいよね。まったく、あんなスピードで危ないじゃないか」
「申し訳ない! まったく、少年の言うとおりだ。ゴメン。ゴメンよ。本当に悪かった。 ブレーキがさ、なんだかちょっとイカレ気味になってきててさ。今度近くに自転車屋を見つけたら、直してもらおうと思っていたんだけど、すごい雨だろう? こんな風にすべるなんて思わなかったんだ……ああ、言い訳ばっかりになっちまったな。ゴメン。いや、あの、本当にゴメン!」
 お兄さんは、そのむさくるしい無精ひげのもさもさした顔を必要以上にぼくの顔に近づけながら、真剣な顔で謝ってくる。その押しの強さに、ぼくは何だかたじたじとした気持ちになって、
「いや、もう、別にいいですけど……」
 言いながら、倒れた自転車を引き起こす。相変わらず、雨はじゃんじゃん降っている。これ以上どんなに濡れても何も変らない気持ちはするが、身体が結構冷えてきている。早く家まで帰りたかった。
 けれど、サドルに一端またがって、ペダルを踏み込み走り出そうとした時に、ぼくは気づいた。
 自転車のチェーン、外れちゃってるよ。

   *

 お兄さんは、親切だった。
 その道の坂の下に結構立派な待合室付きのバス停留所があるのを見つけると、自分の自転車のことはほっといたまま、ぼくの自転車を待合室の中に移動させてくれた。
 まあ、考えてみれば、こっちの方が被害者なのだから、当然の処置とも言えなくもないが。
 その後で、自分の自転車も急いで待合室の中に引き入れると、お兄さんは、ぼくの自転車の前にしゃがんでチェーンの外れ具合を観察しだす。振り返り、もう一度ぼくにゴメンな、と言った。
 待合室の中は、風通しが悪く蒸れている。
 暑くなったのか、それとも動きにくかったせいか、お兄さんは雨合羽を脱いだ。よれたTシャツ、それにジーパン。そして、あのひげ。本当に汚い。夏になると本当に変な空気――ここの人間ではないとわかる――をまとった人間がちょくちょく出没するけれど、このお兄さんは、まさしくそういうにおいがしている。
 お兄さんは、真剣な面持ちでぼくの自転車のチェーンを直しはじめた。けれどすぐには直らないらしく、軽くため息をつくと、ベンチに座っているぼくを振り向いた。お兄さんは、ずぶ濡れになったぼくに改めて気づいたみたいだ。
「あ、ゴメン。タオル使うか?」言いながら、自分の大きな荷物の中から、「武蔵野鉄工所」と印刷された、あまり大きくもないよくある普通の白い――以前はきっと白かっただろう――タオルを一本取り出すと、ぼくの頭をぐりぐり拭いた。
 人に頭をぐりぐりされるのなんか、久しぶりだ。なんだかちょっと気持ちが良かった。 それで、よけいに照れくさい気がして、どうも、とつぶやく。
 すると今度は、「少年は、なんでこんな雨の中で自転車をこいでいたんだ? どっかに遊びに出かけた帰りか?」そんなことをぼくに聞いてきた。
「うん、まあ……。陸上やっててその帰りです。傘持ってないのに雨降ってきちゃって。 でもうち、誰も迎えとか、来てくれないから」
 初めて会った全然知らない人なのに、なんだか余計なことまでしゃべってしまった。ひとりで自転車をこいでいた時に、あまりにも家族に対する恨みの気持ちが膨らんでしまっていたから、思わず本音があふれてしまった。そうかもしれない。
「ふーん、そうかぁ。大変だったね。確かにこの近くにはお店とか、そういう便利そうなもの、ありそうもないもんな。学校とかも通うの遠いの? この辺の子って学校、どの辺りまで通ったりするんだ?」
「うん。ここからもっと下って……町の中まで学校は通う」
「へえ、すごいなぁ。もしかして歩いて通うの? 距離はどれくらい?」
「家からだったら、学校までは三キロくらい。だけど、夏の間は自転車、使えるから」
 お兄さんは、そうかぁとあいづちを打つと、ぼくの頭を拭いたタオルを自分の首に引っ掛けた。よっこいしょ、と言いながらしゃがむ。再び、チェーンの修理にとりかかる。
「お兄さんは? やっぱり旅人? いわゆるチャリダーって呼ばれる人たち?」
 お兄さんは、口の中で少し笑った。
「うん、当たり。まさしくチャリダー。山本利次、二十八歳、無職独身。仕事もしないでチャリダーやってる。東京から苫小牧までフェリーで来て、そこから自転車。ここまで来るのに一ヶ月以上かかった。最終目標は、最北端の宗谷岬。そういう風に今んとこ決めてる」
 二十八歳。見かけよりも結構年で驚いた。だけどその年齢で無職だなんて、ぼくはちょっと、聞いてはいけないことを聞いてしまった気持ちがしていた。
「無職でチャリダー。いい年をしてどうしてそんなことをやってるんだろう? って今、思わなかった?」
「いえ、別に」
 ぼくは慌てた。かなり図星だ。
「いいんだ、そんな気を使わなくても。実はその理由を言いたくて、年齢と職業をばらしたんだから。つまり、おれがいい年こいてチャリダーやってるわけは……」
 お兄さんは、なぜかここで考え込んでしまった。言いたい言葉、決まってるわけじゃないのかよ? 思わずそう突っ込みたくなるのを押さえてぼくは待つ。
 う〜んとうなって考え込んだ挙句、お兄さんは言った。
「……やらなくちゃ、どうにも前に進めなくなっちゃった……っていうのかな」
 ぼくは、なんて答えたらいいかわからなかった。というか、お兄さんがいったい何を言わんとしているのか、まったくと言ってわからなかった。
「あはは。意味わかんないな。言葉にするのって難しいな」
 お兄さんはしっかり自分自身に突っ込みを入れると、話題を変えた。
「少年は、その三キロの道? 毎日ひとりで通ってるのか?」
 ぼくは、うなずく。
「へえ、偉いなあ。車とかで送ってもらったりしないんだ。この辺の子供ってみんなそうか?」
「みんなっていうわけじゃないけど。ぼくのうちはそういうことに厳しいって言うか……すごく冷たいから」 
「なんだ、不満たらたら、っていう感じだな」
 お兄さんは、何だかぼくの心を見透かしたみたいに低い声で言うと、急に、
「かわいい子には旅をさせよ!」なんて言葉を吐き出した。
 その格言みたいな言葉がお兄さんの口から飛び出したとたん、お兄さんに対して自分の心が、すっと閉じていくのをぼくは感じた。
「有名な言葉だ。知ってるか?」
「知ってるよ」
 大いにむっとしながら答えた。なんだこの人。ぼくにお説教を一発ぶるつもりらしい。だけど絶対、そうはさせない。
「知ってるよ、そんな言葉。父さんと母さんが何かと言っては使うからね。だけどぼくに言わせれば、そんなの親が面倒くさい時に使う便利な言葉だ。それにその言葉が本当だとして、旅をさせるにも限度って言うものがあるよ。
かわいい子には旅をさせろって言ってどこまでも厳しくしてたら、それは虐待って言うんだろ。実際、児童虐待でつかまった人が言い訳でよく言うじゃないか、『しつけでやった』ってさ」
「少年は、だって、虐待されているわけじゃないだろう?」
「同じことだよ。こんな大雨の日にさえ迎えにも来てくれないなんて、ぼくに風邪をひきなさいっていっているようなものだ」
「そっかー。子供の頃にわがままいっぱい、甘やかされて育てられたおれだからな。少年の憤る気持ちはよくわからない。おれは君が雨の中をがしがし自転車こいでいるのを見て、お、小さいクセにかっこいいって思ったけどな」
「そんなの、関係ないですよ」
 このお兄さんも、うちの親と同じ人間だ。ぼくの気持ちがわからない、あっち側の人間。そう思ったら、自然と声がよそよそしくなった。
「君の家は、坂の上のもっと先?」
 ぼくは無言でうなずいた。
「まだ、結構道のりはあるの?」
「うん、まあ……。あとニキロってとこです」
「ふうん、そうか」
 そこでなんとなくお兄さんとぼくは沈黙した。
 お兄さんは、それからしばらくの間、自転車のチェーンを直すことに一生懸命になった。あまり手先は器用ではないのか時間がかかる。正直、ぼくが直したほうが早かったかもしれない。
 それから十分以上、経っただろうか。
「よし、直ったぞ」明るく言って、お兄さんはぼくに笑顔を向けた。
 待合室の外を見ると、どうやら雨もずいぶん小降りになってきたみたいだ。
「自転車も直ったことだし、そろそろ行くか」
 お兄さんは、自分の自転車に引っ掛けていた、ずぶぬれの雨合羽を、さも気持ち悪そうに着はじめる。
 ぼくは、自転車を直してもらっておきながら、お礼を言う機会をそのまま何となく逸してしまった。でもそれは全部、お兄さんのせいだ。お兄さんがあんなことを言ってから、なんだか話をしづらくなった。
 お兄さんが、自分の自転車を待合室の外に出すのにならって、ぼくも自分の自転車を出す。無言のままだ。
 お兄さんは、坂の下、国道へ向かう道へ自転車を向けると、いったんそこに自転車を止めた。止めて、あまりにも大きな荷物のチェックをし始める。走っている途中で荷崩れを起こしたら大変だとでも思ったのだろうか?
 ……チェックはなかなか終わらない。 
 ぼくは何だかじりじりしてきた。小降りながらも雨だってまだ降ってはいるし、早く帰りたい。
「……お兄さんは、これから旭川の方に向かうの?」
 なんと言って別れたらいいのか、そのタイミングがわからなくて、ぼくはそんなふうに切り出してみた。
「いや。今日はもう宿を探すよ」
「それじゃ、町の方へ向かうんだ。ホテルに泊まるの?」
 お兄さんはまさか、と笑った。
「なにせ、無職の文無しだからね。駅長さんにかけあって、もしもいいよと言われたら、多分今夜は駅に泊まるよ」
「えー、そうかぁ……大変なんだね……」
「まあな。大きくなってから……こんなに大人になってからやり直すってのは、正直大変だなって本当に思うよ。なんでこんな年になって、こんな場所で野宿しながら、自転車こいで回んなきゃいけないのかなって……もっと早くに気づきたかった」
 この人の言っている意味がやっぱりよくわからない。誰に命令されたのでもなく、好きで北海道にまで来て、自転車に乗っているんだろうに。
 と、ぼくは、お兄さんの自転車のハンドル、真ん中辺にへんてこりんな人形がぶら下がっているのに気がついた。ガイコツ人形? うっすら黄色く塗られているのは、きっと夜光塗料なんだろう。変にリアルなゴム人形だ。と思っていたら、良く見ると、そのガイコツ人形はハンドルのところの一箇所ではなく、自転車の鍵や、積んでいるかばんのあちらこちらに、大、中、小と、それはもうたくさんついていた。
 お兄さんは、ぼくがガイコツ人形に気を取られているのに気づいたらしい。
「おお、気づいたか? 少年は結構お目が高いな。なかなかいいだろ? ……ちょっと待ってろ」
 お兄さんは、かばんについていたひとつをはずした。
「この人形は、まあ、おれそのものだ。ちょっと前のおれ……っていうところかな。ほら、触ってみてみろ。骨がぶよぶよしているだろう?」
 促されるままにぼくは人形に触れてみる。思った通り、やっぱりゴムでできている。
「例えばさ。おれは、この自転車をこいでいる時に、四六時中、車に抜かされていくわけさ。まあ、誰に強いられて自転車をこいでいるわけでもないって話だけど、おれの場合人間がとっても小さいだろう? お門違いなのは重々頭じゃわかってるけどさ、スイスイ抜かしていく車が時にめちゃくちゃ憎いと思う。ああ、もうやめて帰ろうかな、って本気で思う。そんな気持ちになったとき、ハンドルの近くでこの人形が揺れているとな……ここ重要な。車に乗ってるあいつらのことをこれとおんなじ、骨ぐにゃ人間だって思うんだ。ざまあみろってさ。ゆがんでるだろ? だけどさ、人間には少しばかりの優越感っていうのが必要じゃないかって思うんだ。心に余裕がうまれるからな。特におれみたいにまだ心の小さい人間にとってはさ」
 そう言ってからおもむろに、
「そうだ、少年。君に出会った記念にこれをあげよう」と、ぼくに人形を差し出した。
「いらないよ。知らない人から気軽に物をもらったらいけないって……」
「いいから、いいから」
 お兄さんは、勝手にぼくの自転車に寄って行くと、不気味なガイコツ人形をハンドルの真ん中につけてしまった。
 いらないって言っているのに。
 押し付けがましい大人のにおいがやっぱりちょっと気に入らなくて、仏頂面を作ったまんま、結局どうも、とお礼を言った。そうしてぼくは自転車にまたがる。
「それじゃ、行きます。チェーン、ありがとうございました」
 お礼の言葉に、きっと気持ちはこもってなかった。だけどいいや、とぼくは思った。元々、巻き込まれたのはこっちの方だ。坂の上に向かって自転車をこぎだす。
 数メートルほど離れたところで、あ、そうだーと大声で叫ぶ声が聞こえた。
「言っておくけどなぁー。今回のことに限っては、おれは君が虐待されているとは全然思わないぞー」
 ぼくは前を向いたまま、振り向くことはしなかった。

   *

 気がつくと、空が随分明るくなっていた。雲が切れ、薄い雲の間から青い空が見え隠れしている。雨はすっかり小降りになった。あの勢いが嘘のように、だ。 
けれど、こんなに空が明るくなっても、ぼくの憤りは全く晴れない。
 お兄さんにタオルで頭なんか拭かれない方が、むしろ良かった。もっとずぶ濡れのひどい状態で家に帰んなきゃ、この憤り、大雨の中を放っておかれたフラストレーションを、母さんに存分に知らしめることなんか出来ない気がした。この気持ち、まず一声でどんな言葉でぶつけてやろうか、そんなことばかりを考えて、それが、まだ先に続く坂道をこぐための力になった。
 濡れたアスファルトを自転車のタイヤが踏みしめるたび、にじりにじりと音がする。ペダルが重い。
 ところが、家の畑が見え始め、家までもうあと数百メートルに近づいた頃、突然、濡れたアスファルトを踏みしめるタイヤの音が、耳の中から掻き消えた。心なしかペダルの回転がスムーズになる。ぼくは気づいた。
 あれ? 道路、乾いてる?
 いつの間にか、道路の所々で雨粒を跳ね返していた水たまりが消えている。驚いた。思わず自転車を止めて振り返ってみる。雨と晴れとの境界線が、道路にくっきりと残っている地点を見つけた。
 ぼくは、まるで異次元からやってきた旅人みたいな気持ちになって、力が抜けた。
 今までに八百六十回以上この道のりを行き来したけど、こんな落ちは、初めてだった。思わず口がほころんでいた。
 空はすっかり晴れている。遠くに黒い雨雲が見えた。
 道路から家の敷地の農道へ入る。ビニールハウスがいくつも連なる横の通路を、自転車を押して歩いていくと、その一棟から、麦藁帽の後ろ側に布切れをくっつけたような、独特の帽子をかぶった母さんが出てきた。
 母さんは、ぼくの姿をひと目見るなり、目を見開いた。
「どうしたの秀隆、その格好! もしかして向こう、雨が降ってた?」
「雨なんてもんじゃない。すごい土砂降り。……ったく。携帯、ちゃんと持っててくれよな」
 呪詛のように繰り返し頭の中を巡っていた、母さんに対する恨みつらみのたくさんの言葉が、結局、これだけの言葉になってしまった。
 こっちの空が晴れ上がっていては、手も足も出ない。というか、言ってやろうと思う以前に、心の中から消えてしまった。
 母さんは、持っていたコンテナを慌てて投げ出し、母屋の方へ踵を返した。
「ちょっと早く裏口に回って。母さん、今、バスタオル出すから」
あわてて走る母さんの後姿を見送りながら、あのお兄さんが去り際に、今回のことはきっと君の思い違いだよって言った言葉を思い出していた。
 お兄さん、さてはこの展開、見越していたんだ。
 ぼくは、自転車につけられた人形を見た。かっこよくもなければ、かわいくもない。むしろ悪趣味。
 はずしてしまおうと思って、やっぱりやめた。
 もしかしたら、この一週間のうちにひどく暑い一日があって、あの坂道をひいひい登っている最中に、翼の家の水色の車に追い抜かされる瞬間があるかもしれない。
「少しばかりの優越感は必要だよな」
 人形を指ではじくと、ぼくは小さくつぶやいた。

 それから。
 あのあと、母さんが持ってきてくれた太陽の匂いがするほどめちゃくちゃ乾いた大きなバスタオルで、全身丸裸になって拭いたお陰で、ぼくが熱を出すことは、ついぞなかった。……もしかしたら、あのお兄さんが拭いてくれたタオルのお陰も、ニ十パーセントくらいはあったかもしれない。
(了)
(初出:2010年10月)
登録日:2010年10月12日 13時20分
タグ : 児童文学

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