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キラーメガネ
著者:キラーメガネ(きらーめがね)
1976年生。愛知県在住。かつては大手SNSサイトにて短編小説を公表。第7回星の砂賞・超短編部門にて『灰色の告白』で審査員特別賞。Pixiv×講談社BOX-AiR&ITANショートストーリー大賞では『極・人生ゲーム』にて大賞受賞。騒人ではユーモア短編集である『笑撃波シリーズ』をメインに発表している。また初のホラー短編集である『お呪い申し上げます』もマイカ出版より発売中。
小説/現代

対談

[読切]
今世紀を代表する直木賞作家と歯に衣着せぬ発言で注目を浴びる新人作家との対談。調子よく話す新人作家だったが、大作家を前に……。
『月刊ニュー現代:今月の企画は直木賞作家の村田和宣さんと新進気鋭の新人作家の海江田淳氏によるスペシャル対談です!』

*海江田氏は前年、青春小説『我が信念』で新人賞を取りデビュー。それ以後はメディアにも露出を多くし、若者を代表するコメンテーターとしても活躍されています。歯に衣着せぬ発言は早くも大物小説家の貫禄さえ感じさせます。一方、知らない人はいないという程に今世紀を代表する直木賞作家の一人である村田さん。そんな大作家の村田さんを交え、海江田氏は少し緊張気味で、運ばれてきたコーヒーカップを割るというハプニングからこの対談は始まりました。以下、村田氏を『村』、海江田氏を『海』、インタビュアーの私を『イ』として対談を進めて参ります。


イ:海江田さん。直木賞作家の村田さんを前にしてどうですか。感想は?

海:そうだね。まぁまぁ嬉しいかな。ようやく俺もこのステージにきたか、という感じだね。

イ:なるほど。それでやはり緊張はされてますか?

海:ははは。それは全然ないよね。俺は緊張とは無縁だからさ。生まれてから緊張とかしたことないくらいだね(笑)

イ:うーん。すごいですね。やはり海江田さんは新人らしからぬ貫禄がありますね。

海:まぁにじみ出ちゃうんだろうね。オーラ的なものが。

イ:でもコーヒーカップ、割りましたよね?

海:それはまぁ、割ったね。

イ:ではやはり緊張していた?

海:いや、別に。

村:おいおい。じゃあなんでコーヒーカップ割ったの?

海:えっと。それはちょっと分かんないです(笑)

村:分かんないです、じゃないよ。あの時、僕の足にコーヒーがかかったんだよ。どうしてくれるの?

海:あっ。すいません。

イ:えっ。そうだったんですか。すぐに拭くものを持って参ります。

海:すいませんでした。

村:別にいいよ。それより海江田君はやっぱり緊張してたんでしょ?

海:そうっすね(笑)

村:そんなに緊張することはないよ。

海:はい。すいませんでした。はい。本当に。




*ペース



イ:ところで海江田さんは速筆で有名で、一日に二万字は書けるとか?

海:まぁ調子が良かったら二万字というか五万字くらいいっちゃうね。

イ:五万字ですか! 一日で?

海:いっちゃうね。

イ:すごいですね。ところで村田さんは一日どのくらい書くんですか?

村:僕はそうですね。そんなに書かないですね。もっと吟味、推敲してゆっくり書きます。あまり早く書いても中身がスッカスカになってしまっては意味がないと思っていますから。

イ:村田さんはそう言われていますが?

海:はは。そこは流石に反論しちゃうよね。スッカスカにはならないよ。だって一生懸命書いてるから。つまり俺の場合、スピードと中身が伴っているってことなんだよね。

村:そんな訳ないでしょ。五万字とか絶対スッカスカになるでしょ?

海:いや、それは……。

村:は? 違うの? は?

海:スッカスカっすね(笑)




*小説とは?



イ:それではざっくりとした質問ですが、お二人にとってズバリ『小説とはなんでしょう』?

海:『信念』。その一言だね。それ以外に当てはまる言葉が見つからないね。まぁ俺みたいに小説を一生懸命書いてると自然と『信念』とか『情熱』とかそういう言葉になるんだろうね。『小説に真剣に向かい合う』――それがプロだろうね。

イ:ほう。では村田さんにとって小説とは?

村:僕にとっては、まぁ『暇つぶし』みたいなもんですね。実際、小説こそ人生なんて考えてたら良い作品は生み出せないと思います。気楽に地道に長くやるのがプロってもんです。

イ:なるほど。これは両者、全く違う意見ということになりますね。

村:いや海江田君も実際のところは違うと思うよ。そうじゃない?

海:まぁ。ええと。

村:ねえ? 信念とか冗談だよね? ねえ?

海:そうっすね(笑) 冗談っすね(笑)

イ:では改めて、海江田さんにとって小説とは?

海:『冗談』っすね。




*未来について



イ:最後にお二人に将来の目標などについて語って貰いましょう。まずは海江田さんからお願いします。

海:そうだね。俺はもっともっと自己表現していきたいね。小説家という枠を飛び出して、更にテレビなんかへの露出も増やしていきたいね。

イ:村田さんは?

村:僕はずっと一人の小説家でありたいですね。小説家は地道にこつこつ小説だけを書く、それだけのことです。

イ:村田さんはそう仰ってますが、海江田さんはこれからもメディア露出を?

海:うーん。そうだね。そこだけは譲れないね。俺は小説を一つの足がかりにしてもっと世界に羽ばたいて行きたいからさ。できれば若い内にね。

村:おいおい。若い内に、とか。それは僕への当てつけかい?(笑)

海:あ、いえ。そんなつもりはありません。

村:若いっていいよねえ。コーヒー、人にかけても「すいません」で済んじゃうくらいだもん(笑)

海:すいませんでした。

村:は?

海:本当にそんなつもりじゃないんです。すいません。本当にすいません。

村:……。

海:本当に申し訳ありませんでした。本当にすいません。申し訳ありません。

村:わかりました。

イ:それでは今回の対談はこの辺で。お二人ともどうもありがとうございました。
(了)
(初出:2014年05月04日)
登録日:2014年05月04日 11時46分
タグ : コメディ 作家

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