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天生諷
著者:天生諷(あもうふう)
極々平凡な会社員。毎日楽しい出来事はないかと、心の中で模索しながら生活をしている。旅行と昼寝をこよなく愛し、読書とゲームが生きる原動力となっている。群馬県在住。
小説/推理

世は並べて事も無し アノ子の理由(9)

[連載 | 完結済 | 全20話] 目次へ
自殺した志保が主催していたサークルを検証し、ムマにレイプされた田島に話を聞く。正義とは諸刃の剣。事件を解決すると言う事は、時に人の傷口を抉り、人生を壊す事だってある。それでも杏子を立ち会わせることにした真理の真意は?
四章 危険で甘いS−NET!

 終了のチャイムが御陵高校に鳴り響く。
 頭に超が付くほどのマンモス校。運動部の活躍も全国区で、進学校としても有名な御陵高校だが、運動進学、共に関係のない生徒が大半を占めているのも事実だ。そんな生徒達は、終業と共に教室を飛び出し、食堂やテラスで気の合う仲間と集まって、時間の浪費としか思えない馬鹿な話をして盛り上がっていた。
 皆が手にしているのは携帯電話で、その殆どがS−NETを用いての情報交換、更に、目に付いた記事やコメントを話のネタにしての大騒ぎを楽しんでいる。
「皆、S−NETに夢中なんだな」
「そうだな。学校が提供しているツールとしては、群を抜いて評判が良い。そのせいで、色々と問題があるのも事実だが、大旨好評だ」
 他人に興味が一切無い真理は、普通の生徒達が何をしているかなど気にしたこともなかった。終業直後の食堂の光景は、今まで見てきた光景と何一つ変わっていない。だけど、よくよく見ていると皆が携帯を弄り、その話題で盛り上がっているのは一目瞭然だった。
 菓子パンとコーヒーを手に、満面の笑みを浮かべる生徒達を見て、真理は改めてS−NETの浸透生を実感した。

 ピピピピピ……。

 テーブルの上に置かれた携帯から、三分経過を知らせるアラームが鳴り響いた。真理は更にタイマーを弄り、十秒間隔で鳴るように設定をする。
 向かいに座る東光を見て、真理は頷く。東光も険しい顔で頷き返す。
「んじゃ、始めるぞ」
「ああ」
 徐に真理と東光は右手を掲げた。その手には、割り箸が握られていた。
『頂きます!』
 真理と東光はお辞儀をして目の前にカップ麺に手を伸ばす。
 四人掛けのテーブル。向かい合う二人の間には、カップ麺が三つ置かれていた。
 ピピピピピッと再びタイマーが鳴り、すぐに止まる。タイマーはすぐに十秒をカウントし始める。
 真理は手にしたカップ麺を東光に手渡し、右に置かれていた誰も手を付けていないカップ麺を手にする。真理が手にしたカップ麺のあった場所に、東光が食べていたカップ麺を置く。
 二人は三つのカップ麺を、十秒ごとに交代で食べ合っていたのだ。一見すると、これは一度に三つの味が楽しめ、腹が膨れると思われがちだが、実は違う。十秒という短い時間設定の為、暢気に食べている時間はない。まして、猫舌の人物なら一口だけで次のラーメンと交代しなければいけない。
「……真理、食べ過ぎだぞ」
「東光が遅いんだよ」
 フーフーとラーメンを冷ましている東光を尻目に、真理は一気にラーメンをスープの中から吸い上げていく。食べている時間は同じでも、食べている量は圧倒的に真理の方が多かった。
「なんじゃ、こんな所に呼び出したかと思えば、ラーメンの早食いか」
 声が降ってきた。見上げると、アサギが賑やかな食堂をウンザリとした顔で見渡していた。彼女の後ろには、同じように落ち着かない様子の杏子が所在もとなそうに佇んでいる。
「小腹が空いてね。まあ、座りなよ」
 彼女は東光の横に腰を下ろすと、了解も得ずに割り箸を割って早食いに参加した。
「面白そうなことをしているな。これはカップラーメンと呼ばれるものか、フム、旨そうだな」
 杏子もアサギに習って割り箸を手にする。十秒のアラームが鳴り響いた時、ローテーションの関係で東光があぶれる形になった。
「おい、お前達まで参加かよ。俺達の取り分が減るだろうが」
「知っておるか? カップ麺にはリンが大量に含まれているのじゃぞ。リンの大量摂取はカルシウムの吸収を阻害し、骨への影響と、イライラ感も増す。儂はそのリンを大量摂取しないように手伝ってやるのじゃ。お前達二人の心配をしているからこその行動じゃ」
 言って、ズズズッと湯気の立つスープから麺を問答無用で吸い上げる。アサギも、真理と同じく熱い物を苦にしない人間のようだ。横に座る杏子はと言うと、やはり何の躊躇いもなく口に運び、食していく。
「初めて食べたが、旨いものだな」
「初めて? 生まれて初めてか? お前、凄い生活してるんだな。俺なんて、週に一度や二度、カップ麺の生活だぞ」
「体に良いものだけを摂っていたのでは、食に寛容とは言えない。あらゆる物を血肉に変えてこそ、グルメというものだろう。今度から、コックにこれを作ってもらうか」
「……いや、コックとかじゃ無くて、自分で作れよ」
 十秒が経過し、今度は真理の手が空いてしまった。ようやく冷めてきたラーメンを、東光はハフハフしながら食べている。
「なあ東光。それって、間接キスなのかな?」
 東光の動きがピタリと止まる。
「いや、箸は個人のを使っている」
 再び箸を動かすが、以前のような精彩ある動きではなかった。
「でも同じ事だろう? そのスープには、アサギの口に入った箸が浸かっているんだ。アサギ、今はこんな残念な化粧をしてるけど、素は綺麗だし、結構お前の好みなんじゃない?」
 ガタッとイスを倒して席を立った東光は、鼻と口を押さえて食堂から出て行ってしまった。
 ニヤリと口の端を上げる真理は、東光の置いていったラーメンを手にした。
「ま、このメンツで回し食いもないだろう。東光が戻ってくる前に、サッサと食べようぜ」
 杏子とアサギは非難がましい視線をこちらに寄越すが、口はラーメンで塞がっている為反論する様子はなかった。
 結局、東光が戻ってきたのは五分後。テーブルの上にはラーメンの痕跡はなく、食後のコーヒーカップが四つ置かれていた。
「やってくれたな、真理」
「そう怒るなよ、相棒。ほら、コーヒー奢るから」
「……食堂のコーヒーは三杯買うと、一杯タダじゃなかったか?」
「……」
 苦笑いを浮かべながら、東光はコーヒーを口にした。
「で、此処で何をするというのだ?」
 コーヒーを飲んで一息ついたアサギが、鞄からタブレットを取り出した。
「実はさ、アサギに探して貰いたいものがあるんだ。S−NETで、フリーセックスをしている不貞の輩がいるらしい。S−NETに登録されている結社の名前とか分かるのかな?」
「ああ、噂には聞いたことがある。何度か、S−NETの中でも話題になったやつじゃな。定期的に噂になるが、実際にその結社に入っているヤツの情報は皆無じゃ。学校の怪談を飛び越して、もはや都市伝説レベルじゃ。なんだお前、まさか入りたいのか?」
「まあ、俺も健全な男の子だからね〜。興味がないと言えば嘘になる」
 へらへらと笑う真理。しかし、彼の言葉に反応した女子の視線は極寒の北国で吹き荒れるブリザードよりも冷たいものだった。
「……と、冗談はおいといて、出来れば、そこに東光を入れてこの初心な所を直して貰いたいんだけど」
「それも冗談なのだろう?」
 何の暖かみのない、突き放す冷たい言葉が投げかけられる。鉄扇で肩を叩いた真理は、「ま、マジな話をするとだね」と、三人を見つめて切り出した。
「少し気になるって言うのは、志保のことなんだ。彼女の体から、野木政志の精液が見つかっただろう?」
「それとS−NETが何の関係がある? 野木政志がS−NETを利用して、高校生と関係を持っていたと言いたいのか?」
「う〜ん、可能性の一つとしてね。そんな結社があるっていうのなら、可能性がない分けじゃない」
「だが、奴はこの学校の何処を探しても見あたらないのだろう? これだけの生徒の目があるんだ。学校をうろつくことができるとは思えん」
「……そうなんだけどね。時間的に妙に一致するんだよな。ムマが強姦するって噂と、野木政志が出所した時期」
「お前の話だと、約一年の誤差。野木が出所した翌年に、そう言う噂が学園に出ているな」
 年表をタブレットで確認したアサギが答える。
「タダの偶然ではないのか?」
「そう思えるならそれで良いさ。俺が問題にしてるのは、何故、全く違う場所にいるはずの野木政志が、こんな場所の高校にいるかって話。百歩譲って自分を知らない土地に引っ越すというのは分かる。だけど、校内に入り込んでまで犯罪を犯すというのは、妙な話だと思わないか? わざわざ人目に付く学校で、犯罪を犯す理由はないだろう」
「確かにな……」
 東光は頷く。杏子は何かを考えるかのように、眉間に皺を寄せている。アサギは、無表情で真理の言葉を一言一句残さず記録していた。
「おぬしの言う事も分かるが、情報が少なすぎて探すことは出来ないな」
「まあ、そっちは期待してなかったから良いよ。本命はこっち、東光から聞いたんだけど、志保先輩、S−NETの結社を主催していたんだって?」
「ああ、そのようだな。だが、数が多すぎて一つ一つ見ていくのは大変だな。昨夜、調べてみたが、志保のヤツは匿名じゃな。主催者の名前に志保の名前はなかった」
「主催者が匿名の結社は多いのか?」
「ザッと一〇〇〇じゃな」
「アサギ、お前のコネを使って、学校側に聞くことは出来ないか? 金が必要というのなら出すぞ」
「権力と金で動かすか……。非常識だなお前等は。俺達は高校生だぜ、高校生らしく身の丈に合ったことをしようぜ」
 扇子を広げて真理は溜息をつく。
「クラックしてデータを見られないか?」
「貴様も大概非常識じゃな! それがお前の言う高校生らしい事なのか?」
「若気の至りで済まされそうだろ?」
「却下じゃ、馬鹿者! それに、身内の七光りは使いたくないし、私も此処では一生徒だ、頼んで了承が出るとは思えない」
「……明らかに校則違反のローブを着てて、そう言うことを言うかね」
「シャラップ!」
「んじゃ、地道に探すしかないのかな」
 アサギの話では、主催者匿名の結社はおよそ一〇〇〇。探すにも骨が折れる作業になるだろう。
「お主等二人、馬鹿じゃのう」
 クツクツとアサギは独特な笑い声を出した。明らかに作り笑いだったが、アサギがそれを真剣にやっているので、突っ込むべきではないだろう。
「ムッ、昨日もそれを言っていたな。探す方法があるのか?」
「フィルターを掛ければいい。時間、タイトル、コメントの文字列、それらでフィルターを掛ければ、探す手間がグッと減る。ただし、掛けるフィルターをミスれば、全く意味はないがな」
「そうだな。文面などを見て、志保女史のものだと分かればいいのだが」
「……。とりあえずさ、志保の自殺前後一週間に書き込まれた結社を出してよ。春休み中だったから、意外に少ないと思うんだ」
「じゃな」
 アサギはタブレットを叩く。指定された日時に何かしらの書き込み、若しくは更新された結社は、約五〇〇ほどだった。
「それだけ絞れれば、十分かな」
 真理が身を乗り出すと、アサギがテーブルの中央にタブレットを差し出した。
 白い壁紙を背景に、S−NETの文字がデカデカと記されている。その下には、検索された結社がリストになっていた。左側に結社の名称と、中央に結社の代表者の名前、右側に最新のコメントが一文だけ記されている。
 真理は画面に押しつけた指を下から上に弾くように動かす。表示されているリストがもの凄い早さでスクロールしていく。
「真理、早すぎないか? 何が書いてあるか全く読めないぞ」
 杏子が画面をピタリと止めた。
「何だよ、読めなかったのか? 俺は結社の名前から最新のコメントまで全て読めたけどね」
「結社の名前を見ただけで、中を見なくて分かるのか?」
 アサギが訝しむ視線を真理に向ける。真理は頷くと再び指を動かした。
「志保が立ち上げた結社だ。恐らく、結社の名前かハンドルネームに、美術に関係する名前が使われていると思うんだ」
「結社の内容が、部活動や趣味の内容だとは限らないぞ」
 杏子の言うことはもっともだったが、真理はある種の確信があった。
「確かにそうかも知れない。だけど、志保の事を調べると、彼女の為人(ひととなり)が分かってくる。志保には、美術しかなかった。みんな、彼女の話を聞いて、美術以外のことを耳にしたか?」
 真理の問いに、三人は目を合わせると首を横に振った。
「美術しかなかった、と言うのは言い過ぎだけど、志保の人生の大半を、大切な部分を占めていたのは間違いない。本人が意識していなくても、美術、いや、芸術に関係する名前を付けるはずなんだ」
 真理の指先が止まった。リストの中にある一つの文字を見つめ、真理は勝ち誇った笑みを浮かべた。真理の人差し指が示した先にあるS−NETの名前は、『ミューズ』だった。
「ギリシャ神話に出てくる、芸術と学問の女神の名前だ。それに、代表の名前が」
「RIS?」
「ああ、これだ。間違いない」
 杏子とアサギがRISの説明を聞きたそうな顔をしていたが、真理は答えずにミューズのコメントを読み始める。
 メンバーはRISの他に三名。それぞれが、マルセイユ、ニース、オルレアンを名乗っている。
「何が書かれているんだ?」
「まて、読み上げる」
 アサギはタブレットを自分に引き寄せると、コーヒーで喉を湿らせてコメントを読み始めた。

3/20 16:04 ニース: また私は一人。こんな生活はヤダ

3/20 16:30 オルレアン: 大丈夫だ。ニースは一人じゃない。私達は皆一緒だ。

3/21 8:23 ニース: ありがとう。そう言ってもらえるだけで救われる。RISさんは平気かな?

3/21 11:58 RIS: 今お昼休み。あと少しで終わる。

3/21 15:11 マルセイユ: お疲れ様、RISさん。完成したら作品を見に行きます。

3/22 18:22 マルセイユ: 信じられない。RISさんどうしよう?

3/22 20:05 RIS: あまり気にしちゃダメ。あの子は、ああいう子なの。辛いかも知れないけど。

3/22 20:10 ニース: どうかしたの? 落ち着いてマルセイユ

3/22 20:12 マルセイユ: あの人には失望した。俺は、あの人の特別になれなかった。絶対に許せない。

3/23 9:15 オルレアン: 落ちつけって。確か、あのS−NETだろう? 噂だと思っていたけど、本当にあったのか。ムマがあのS−NETに繋がるなんてな。

3/23 11:15 RIS: 絵が終わりました。だけど、心は晴れない。やっぱり、私は特別じゃない。姉さんは特別だって言うけど、私は違う。それに、私は彼女とは違う。

3/23 16:54 マルセイユ: あの人の顔を見られない。もうダメかも知れない。

3/23 17:00 ニース: みんな変よ。少し落ち着かなきゃ。

3/23 22:59 RIS: 私のメッセージは全て残せたわ。私は、特別になりたかった。みんなはきっと誰かの特別になれる。元気でね。

 この後は、RISを心配する書き込みが二日ほど続き、それから更新されることはなかった。
「RISは真壁女史で決まりだな」
「じゃな。そして、一連の事件を演出しているのは、この中の三名の内の誰かじゃろうな」
 杏子とアサギに真理は頷く。真理も二人と同じ意見だったからだ。
「気になるな。ここでムマか」
「あのサークルとは、真理が言っていた、フリーセックスのサークルのことか? 私は、橘女史が殴られた日、偶然ムマを見た。あれは、偶然なのか? やはり、ムマが今回の事件に関係してるのか?」
「……そう結びつけたくなるけど、まだ分からないな。必要な情報が足りなすぎる。どちらにしろ、まだまだ調査は必要だな」
 真理は腕時計を見た。時刻は五時半を指そうとしている。
「そろそろ来ると思うんだけど、あっ、来た。朝輝!」
 真理は、食堂の入口でキョロキョロ頭を巡らせる朝輝を呼んだ。
「ゴメン、遅くなった」
 隣の席から空いてるイスを引っ張ってきた朝輝は、イスに座るとテーブルに突っ伏した。
「随分と疲れているようだな」
「ええ、だいっっっぶ、疲れたわ」
 東光の指摘通り、朝輝の顔にはいつもの軽快な笑顔は浮かんでいなかった。
「で、どうだった? 田島は承諾してくれた?」
 真理の言葉に、朝輝は暗く沈んだ眼差しを向け、「何とか説得した」と呟くように言った。
「真理、どういう事だ? 何かするのか?」
 朝輝と視線を合わせた真理は、コクリと頷く。
「田島麗華に、この間の事を聞きたいんだ。だから、朝輝に場所をセッティングして貰った。本当なら俺が行きたい所だけど、男の俺がいると話し難いこともあるだろう。アサギ、朝輝と一緒に田島さんに話を聞いて来て貰えないかな?」
「儂がか? 構わん」
 アサギは快く了承する。真理は満足そうに頷くと、胸ポケットから一枚のメモを取り出し、アサギに手渡した。
「それが質問の内容。出来るだけ、正確に答えてもらって欲しい」
「うむ。了解した。泣こうが叫こうが、口を割らせてやる」
 恐ろしい事をサラリと言ったアサギは、尖った八重歯を見せて笑った。
「じゃあ、アサギ、麗華ちゃんを待たせてるから、早く行きましょう」
 立ち上がった朝輝とアサギ、しかし、意外な所から待ったの声が掛かった。
「ちょっと待て! 何故アサギが行って私が行かないのだ!」
「え?」
 真理は露骨に嫌な顔をする。その顔を見て、更に杏子は不機嫌になる。顔を真っ赤にして、ふぐのようにほっぺを膨らませる様は、まるで子供だ。
「何故だ! 簡潔に理由を説明しろ!」
「お前が行くと場が乱れる。感情的になりやすいんだ」
「感情的に振る舞うことが悪い事か!」
「悪くはないけど。状況によるだろう」
「私は行くぞ。生徒が助けを求めているのだ、私が行かないでどうする」
 こうなってしまっては、テコでも動かないのが杏子だろう。東光も、仕方ないというように頷いている。
 真理は鉄扇を取り出すと、苛立たしそうに左手に打ち据えた。深呼吸をして、こちらを憮然と見下ろす杏子を見返す。透き通った、強い意志を秘めた瞳に真理が映り込んでいる。
「最初に聞いておけば良かったな。杏子、お前には覚悟があるか? 事件を解決すると言う事は、時に人の傷口を抉り、人生を壊す事だってある。特に、お前の目指す正義というのは、犠牲の上に成り立つ正義だ。杏子自身だって傷つく事がある。その覚悟はあるか?」
「決まっている。私は正義を執行する。どんな犠牲を払ってもだ」
 杏子の強い意志は感じ取れる。しかし、その強い意志は諸刃の剣だと言う事を真理は良く知っていた。その刃は鋭く、如何なる悪をも断ち切るかも知れないが、一歩間違えれば杏子を切り裂くだろう。真理は、自分の正義に打ちのめされる杏子を見たくなかった。
 暫し考えた真理だったが、すぐに考えを改める。杏子が行くというのなら、田島麗華の口を軽くする秘策が使える。
「……条件がある」
「良かろう、呑んでやる!」
 テーブルに置かれていたナプキンを一枚抜き取ると、ペンで何かしらを書き綴った。
「いいか、余計な事は絶対に何もしゃべるな。約束しろ」
「何もしゃべっちゃダメなのか? 返事もダメなのか?」
「ダメだ、頷け。もし何かを聞かれたら、こう繰り返せ『大丈夫、絶対に解決するから』とな。それ以外は一切口にするな。アサギに朝輝、杏子がそれ以外のことを口にしたら、つまみ出せ」
「任せといて。遠慮無く叩き出すから」
「ケツを蹴飛ばして、生き血を啜って身ぐるみ剥いで廊下に放り出す」
 目を細めて真理を見たアサギは、意味深に頷く。
「酷い言われようだな。でも大丈夫、約束する」
「んじゃ、最初にこれを田島に渡せ。きっと、田島は事件の事を話してくれる」
「何が書かれているんだ?」
 開けようとする杏子の手を、真理は慌てて掴んだ。
「絶対に見るな! 分かったな?」
 真理の剣幕に押され、杏子は頷いた。
「じゃ、行ってくるね、真理」
「ああ、頼んだぜ三人とも。俺達は少し気になることがあるから、もう一度関係者を当たってみるよ」
 女子軍団が食堂から出て行ったのを見送った真理は、「ハァ」と深い溜息をついた。
「あの三人で大丈夫なのか?」
「う〜ん……。朝輝も杏子も、当てにならないけどな。アサギがいるんだ。アイツは、俺の考えていることを察しているはずだ。上手くやってくれるはずだよ」
「切れる女のようだからな」
「ああ、そうだな。色々とキレてるけど、頼りにはなる」
 チラリと真理は東光を見る。すっかり冷め、苦みと酸味が増したコーヒーをグイッと飲み干す。
「ま、お前ほどじゃないけどな」
 東光の肩を叩いた真理は、イスを鳴らして立ち上がる。
「まず何処から当たる?」
「昨日の事件の被害者、伊藤先輩から行こうか。学校には来ているはずだからね」
 鉄扇を手の中で回した真理は、東光を伴って食堂を後にした。


 田島麗華は、保健室の長椅子に腰を下ろしていた。
 扉が開いた瞬間、びくっと体を震わせた田島は、朝輝を見てホッと胸を撫で下ろしたようだった。
 杏子は田島を見て息を飲んだ。
 田島麗華。話したことはないが、気さくでざっくばらんな性格。その美貌を鼻に掛けず、誰とも親しくする為、男子生徒のみならず女子生徒からの評判も良かった。確か、去年のミスコンでは、他薦されて予選会には参加していた。自分にはこんな場は相応しくないと、予選会の自己紹介で辞退していた。
 予選会で田島を間近に見ていた杏子は、別の誰かかと思ってしまうほど変貌していた容姿に驚いた。
 活発で元気のいい女の子という印象が強かった田島だったが、今は僅かな物音にも過敏に反応している。頬は痩せこけ、目の下にはファンデーションでは隠せないほどのクマができていた。体を丸め、オドオドしているくせに、瞳だけは異様な輝きを放っている。
「彼女が、田島麗華ちゃん」
 朝輝に紹介され、田島はヨロヨロと立ち上がり、小さく頭を下げた。無言のまま、田島はイスに腰を掛けた。
「時雨アサギじゃ。今はヴァンパイアをやっており、生き血をもらえるという条件で探偵倶楽部に参加しておる」
 いつもと同じ調子で自己紹介を終えたアサギは、サッサと田島の向かいに腰を下ろした。
 田島がこちらを見つめてくる。いや、こちらを見ているようで、田島の瞳は杏子を見ていない。杏子だけではない、田島の濁った瞳には何も映っていない。彼女の心は破綻し、今にも途切れそうな細い理性の糸でこうして此処にいるだけなのだ。
 自己紹介をしようと思った杏子は、開き掛けた口をそのままに静止した。爪先を隣の朝輝が踵で思い切り踏みつけたのだ。
 文句を言おうとした杏子だったが、その前に朝輝が自己紹介をした。
「彼女は御厨杏子。正義部改め、御陵高校探偵倶楽部の部長をやっているの。真理が来られないから、私達で話を聞くわ」
 ギロリと睨み付けてくる朝輝。彼女の目には、「一言でも話したら殺す」と強い意志、いや、殺意が込められていた。
 開始早々、真理との約束を破ってしまう所だった。杏子は咳払いを一つすると、アサギの隣に腰を下ろした。朝輝はテーブルを回り、田島の横に腰を下ろした。
「珠洲君は、来られないの?」
 か細い声で田島は尋ねた。
「大丈夫。アサギも杏子も、真理と同じくらいに役立つから」
 田島の手を取った朝輝は、こちらに向かって頷いた。事情聴取スタートの合図だった。
「田島麗華、お前に二三聞きたいことがある。心して答えよ」
 田島への心遣いもなく、アサギは話の口火を切った。彼女の手には、真理から渡されたメモが握られていた。
「お前はムマにレイプされたようだな。ムマの特徴を出来るだけ詳細に答えよ」
 田島はアサギから視線を逸らし、自分の手を見つめた。不自然に体が上下し、極寒の大地に裸で放り出されたように細かく震えだした。朝輝は田島の肩を抱いた。
 「ちょっと待て、アサギ!」という言葉を飲み込んだ杏子は、胸ポケットの違和感を思い出した。杏子は胸ポケットから紙ナプキンを取り出すと、それを田島へと手渡した。
 真理は言っていた。まず、田島にこのナプキンを渡せと。これを見れば田島は話すと言っていたが、果たして本当にそうなのだろうか。
 田島は紙ナプキンを手に取ると、不思議そうに見つめた。
「それを開いて、メッセージを見てみろ」
 アサギだ。彼女は機械のような冷たい眼差しで田島を見つめている。
 昔のアサギは違った。頭が良いのは昔から変わっていないが、人を見る目はガラリと変わった。杏子が自分の殻に籠もっている時、アサギに何かあったに違いない、昔は良く笑い、良く泣いた。本当に笑顔の可愛い少女だったのだ。こんな八重歯を生やし、赤い髪にするような子じゃなかった。
 杏子と目を合わせたアサギは、僅かに眼を細めると、クイッと細い顎で田島を示した。田島はナプキンを開き、そこに書かれた文字を見て肩を振るわせて泣いていた。
「貴方も、御厨さんも?」
 涙声で上手く聞き取れなかったが、田島は杏子に質問しているようだ。答えは予め決まっている。何を聞かれても、杏子が答えることはたった一つの文章のみ。
「大丈夫、絶対に解決するから」
 とりあえず、杏子は力強く頷く。それを見て、田島も頷いた。良く分からないが、それで田島は何かを感じてくれたらしい。ナプキンを綺麗に折りたたむと、杏子に返してくれた。
 その顔は、先ほどと少し違っていた。毒気が抜けたというか、完全ではないが、本来の田島が戻ってきたみたいだ。
「……余り話したくはないけど。私がこんなじゃいけないわよね。もう、私達と同じような目に会うような人を出したくないもの」
 田島は胸に手を当て、目を閉じた。あの時の事を思い出しているのだろう。目からは一筋の涙が流れ落ちた。保健室の照明に反射する涙は、ダイアモンドのように輝いている。
「ムマは、もちろん、男性だったわ。身長は、たぶん、私よりも低いと思う」
 アサギは立ち上がった。
「儂の身長は一五六センチじゃ。アン子、猪、立て」
 杏子は立ち上がる。杏子は一六四センチだった。猪という言葉に顔を顰めた朝輝だったが、仕方なく立ち上がる。朝輝は杏子よりも背が引く、恐らく、一六〇センチくらいか。
「どうじゃ、儂たち三人、どちらがムマの身長に近い?」
 涙をふきながら、田島は三名を見上げる。杏子を一瞥した田島は、小首を傾げ、アサギと朝輝の間で視線を彷徨わせる。
「たぶん、時雨さんと同じくらいだと思う」
「フム、なるほど。男子生徒としては、身長は低い方か」
「体も細かったけど、だけど、とても力強くて。廊下を歩いていたら、いきなりドアが開いて、進路指導室に連れ込まれたの。ナイフをほっぺたに当てられて、私、怖くて何も出来なくて」
 杏子は頷く。
 女性は弱い。単純な力でもまず勝てない。それなのに、男性は力だけではなく、武器を用いる。武器を用い、恐怖で女性を縛ろうとする。
 あの時もそうだった。
 杏子は怖くてまともに動けなかった。殴られ、蹴られる母親を見ていることしかできなかった。
「匂いはしたか?」
「え?」
「匂いがあったろう。どんな匂いがした? 覚えているはずだ」
 再び田島は顔を伏せた。細かく肩を振るわせる。朝輝が何かを言いたそうにアサギを睨むが、アサギは朝輝を無視し、急かすように田島を見つめた。
「無理しなくて良いのよ」
 朝輝が声を掛けると、田島は頷く。僅かに顔を上げ、涙で濡れた顔をこちらに向けてくる。田島は目を伏せた。大丈夫、何も言わなくても良い。田島の辛さは分かる。だからこそ、言えないことがある。怖くて、口に出来無い事がある。
「大丈夫、絶対に解決するから」
 絶対に犯人は捕まえてみせる。この言葉に嘘偽りは無い。犯人を捕まえれば、恐怖は消えないだろうが、呪縛からは解放できる。前と同じようには行かないだろうが、普通の生活に戻れる。
「臭かった……」
 驚くことに、田島は震える声で話し始めた。
 横に居るアサギは、赤いルージュの差してある唇を愉快そうに釣り上げた。
「アルコールと……タバコの臭いがした。無理矢理キスをされて……」
 銀色の雫が、田島の頬を伝った。
「それで? 他には?」
 田島の涙が見えていないかのように、アサギは機械的に質問を浴びせかける。アサギが言葉を放つ度、田島の体がビクリと震える。
 もう良い、やめてくれ。杏子は席を立ち、アサギに向かって叫びたかった。叫びたかったが、ここから退場することはできなかった。杏子は、自らの意志で此処に来たのだ。途中退場をしたら、真理に頼み込んでまで此処に来た意味が無い。
「一年生……だった気がする。制服に、緑のラインが入っていたから」
「相手は、一年生って事? 生意気!」
 朝輝が憮然とした表情で応える。
「フム、緑色のライン」
 長い睫を伏せながら、アサギはタブレットに打ち込んだ。アサギは何かしら思っているようだったが、歌舞伎役者のように化粧された顔から感情は読み取れない。
「アサギ、他に質問はある?」
 アサギは手にしたメモを見つめる。
「最後に一つだけ、心して応えろ」
 アサギは言葉を切り、間を置いた。涙を拭いた田島が、姿勢を正してアサギに向き直った。不思議なことに、最初見た時よりも田島の表情は良くなっていた。
「お前は、何の結社に入っている?」
 また結社だ。真理はどうしてそこまで結社にこだわっているのだろうか。確かに、ムマの話はS−NETで話題になっていたが、田島がどこに所属しているか、それが重要だとは思えない。
「私は、『ブルースター』って名前で、『ピンクリボン』って結社に入っているわ」
「ピンクリボン?」
 アサギが眉根を寄せる。朝輝が田島の話を補足した。
「お洒落大好きな女子が集まる社交場よ。ちなみに私は、『ラビット』ってハンドルネームで登録してるの。アサギ、知らないの? ピンクリボンは、学園でも一二を荒らそう大きな結社よ。今時の女の子が女子力を高める為に入って、毎日お洒落を研究して、切磋琢磨しているの」
 朝輝は鞄をテーブルの上に上げた。朝輝の鞄の持ち手部分に、可愛らしいピンクリボンが結ばれていた。
「これは、ピンクリボンに入ってる証なの。メンバーは、学校にいる間、見える所に着けるってルールがあるの」
 朝輝の言うリボンは、言われてみれば良く学園でも目にしていた。ピンクのリボンで髪を結んでいる生徒もいれば、制服にワンポイントとして付けている生徒も居る。何かの宗教的儀式か、流行りのアクセサリーかと思ったが、結社のメンバーを示すものだったのだ。正義部で言う所の、腕章のようなものだ。
「そうか。他には入っていないのだな?」
 アサギは目を細める。鋭い眼差しは、見つめるものを切り刻むかのようだ。
「ええ」
 田島は大きく頷く。
「そうか。もう良いぞ。後は儂たちに任せろ」
 アサギがこちらを見てくる。杏子も力強く頷き返した。
「絶対に解決するから」
 約束通り、杏子はこの言葉しか口にしなかった。
(つづく)
(初出:2012年12月19日)
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登録日:2012年12月19日 19時48分

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