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天生諷
著者:天生諷(あもうふう)
極々平凡な会社員。毎日楽しい出来事はないかと、心の中で模索しながら生活をしている。旅行と昼寝をこよなく愛し、読書とゲームが生きる原動力となっている。群馬県在住。
小説/SF
【電子書籍】ALI-CE ワンダーランドの帰還者
ニニ世紀初頭。テロや犯罪が頻発する人工島IEでは、人々は武装し、ナノマシンで身体能力を強化していた。そんな中、アメリカの特殊機関ワンダーランドで戦闘技術を学び、殺しのライセンス、スイーパーの所持者であるアスカは、三〇〇億という常識外れの借金返済のため学園に舞い戻る。想像の斜め右上をぶち抜く変わり者“天災”ミルティに翻弄されつつ、ナノマシンでもインプラントでも強化人間でもない不思議な力「ALI-CE」と燐光を放つ剣サディーヤを駆使して彼女を護衛するアスカ。彼らを襲う強化人間ソウルレスと哀しい事情を抱えた雄太、妖艶な魅力で誘惑するエルフィネル。テロリストたちの目的とは何なのか? 圧倒的な格闘シーンに酔え!

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立ち読み

ALI-CE ワンダーランドの帰還者


プロローグ 借金三〇〇億の高校生


 ギィイイイイイ……!

 金属の軋みが、冷えた空気を振るわせる。
 船底に空いた穴から、空気と引き替えに大量の海水が機関室に進入してくる。ドウドウと唸りを上げる海水は、渦を巻きながら船底を覆い尽くした。孕んだ海水の重みに耐えきれなくなった船体が、再び悲鳴のような軋みを上げる。鳴り響くその音は、船を沈めると言われる海の魔物、セイレーンの歌声のようにも聞こえる。
「この船はもうすぐ沈む。やってくれたな」
 キャットウォークで向かい合う男は、灰色に濁った目をこちらに向けた。およそ感情のない瞳。身も凍る冷たい眼差しを全身に受けた青年だったが、彼は口元に涼しい笑みを浮かべた。
「こうでもしなけりゃ、お前達は大勢の人を殺すだろう」
 痩せすぎの男と向かい合う青年、東雲アスカは、腰に差してある二振りの剣の一振りを引き抜いた。細身でわずかに湾曲した刀身。剣よりも刀に近い形状の『風雅』は、明滅する照明に照らされ危険な輝きを放つ。
「私と心中するつもりか?」
「まさか。俺は逃げるよ、お前を殺してな」
「私がお前に殺されると思っているのか?」
「思っているから、こうしてお前の前に立ちはだかっているんだよ」
 右手に持った風雅をクルリと回転させる。切っ先がキャットウォークを削り、鮮やかな火花が飛び散った。目の前の男が、一瞬だけ視線をアスカから風雅へと移した。
 ほんのわずか、一秒にも満たない隙をアスカは見いだした。左手が腰のホルスターに納められているハンドガンのグリップを握り締めた。

 ドンッ!

 閃光のごとき早さで、ホルスターからハンドガンを引き抜いたアスカは、躊躇うことなく男に向けて発砲した。しかし、男は信じられない動きで弾丸をかわした。
「チッ!」
 舌打ち一つ。アスカは立て続けにハンドガンの引き金を引くが、全ての弾丸を男はかわして見せた。目にも止まらぬ素早い動きは、アスカの目には分身しているかのように映った。
「弾丸など、私には効かんよ」
 男は残酷な笑みを浮かべる。
「そうかよ……!」
 銃をホルダーに戻したアスカは、グッと腰を下ろす。
 大量の海水が機関室の大半を満たした。様々な場所で電気がショートし、緊急事態を知らせるかのように照明が明滅を繰り返す。一際大きな悲鳴を上げ、グラリと船が大きく傾いだ。
 総工費二〇〇〇億円の巨大豪華客船、エンドレス。出港してわずか数時間で海底に沈もうとしているその船は、『終わりのない』という名を裏切る短命だった。バランスを崩した船、立っているのもやっとの船内。もはや、一刻の猶予もないのは誰の目にも明らかだった。
「いっくぜ!」
 身を低くしたままアスカは駆け出す。
「この船と共に沈むのは、お前だ!」
 男は吠えた。腰から抜いた剣を、駆け寄るアスカに叩きつけてくる。
 アスカは男の攻撃を体を捻ってかわすと、鋭い一撃を放つ。が、男はヒラリと後方に飛んだ。信じられないバランス感覚で、男は傾く手摺りに片足で立った。
「……人並み外れた身体能力。お前、強化人間か」
「私の名前はソウルレス。解放戦線『黒い霧』の特殊部隊、ゴッドペインのリーダーだ」
「各国の軍事技術の粋を集めて作られた強化人間。それが今はテロリストの傭兵とはな! 落ちるところまで落ちたな!」
「生きていくためなら何でもするさ。それよりも、お前の持っているその剣、軍にいたときに資料で見た事がある。確か、AAAの極秘扱いだったな」
 ソウルレスは、アスカの腰に差してあるもう一振りの剣を見て目を細めた。
 ゾッとするほどの冷たい目。戦場で幾度も見てきた、戦いを楽しむ人殺しの目だ。
「ガイアメタルにマシンセルを組み込んだ剣。お前、あのワンダーランドの生き残りか?」
 ソウルレスは、古い友人に会ったかのように楽しそうに笑う。
「だったら? 同じ米軍の出だからって、今の俺とお前は敵同士。見逃す気はないぜ?」
「好都合だ。私がワンダーランドの生き残りを殺せば、私の名は世界に轟く」
「ワンダーランドの生き残りね、そんな大層なもんじゃないぜ? こうして、勉学の合間に警備のアルバイトをしているくらいだからな」
「それでもだ。あの正体不明の力は、どの国も企業にも魅力的さ」
 ソウルレスが飛んだ。病的なまでに痩せた体を回転させ、落下と回転の威力を剣に乗せてくる。アスカは風雅で受け止めるが、一撃の威力は大きく、膝が折れてキャットウォークに倒れ込む。突き出される剣を回転してかわすが、ソウルレスは体勢を整えさせてくれるほど甘くはなかった。
 枯れ木のように細い外見に騙されてはいけない。銃弾さえかわせる強化人間の動きは、素早く力強い。ソウルレスの膂力はアスカを遙かに上回り、残像を残すほどの素早い動きには、目で追いつくのが精一杯だった。刃が闇の中をきらめく度、アスカの腕や足に傷を付けていく。
(クッ、やっぱり、このままじゃムリか……!)
 ソウルレスの剣が後方に引かれた一瞬、アスカは腰のハンドガンを抜き放った。相手との距離は二メートルも離れていない。それなのに、ソウルレスは弾丸の軌道を見てから反応した。
「銃なぞ、強化人間には効かない!」
「そんな事は、百も承知!」
 銃を使って欲しかったのは、ソウルレスの命でもなければダメージでもない。アスカが欲しかったのは、ほんの一瞬の間だった。
 アスカの両の瞳が、黒から深紅に変化した。赤い瞳は、薄暗い機関室の中で力強く光り輝いた。
「死ね!」
 横から振り抜かれる剣。これまでは目にも止まらぬ早さだったものが、今ではスローモーションの様にゆっくりと遅く感じられた。アスカは片膝を付いたまま、振り払われた剣に風雅を叩きつける。ルナメタルで作られた風雅はソウルレスの剣を砕いた。体の硬直と漂ってくる乱れた気配が、ソウルレスの動揺を表現していた。

 キンッ

 砕いた剣先がキャットウォークに跳ね返って戻ってくる。アスカは後方に体を投げ出すと、宙を舞う剣先を蹴り上げた。剣先は、無防備なソウルレスの胸元に導かれるようにして吸い込まれる。
「ガッ……、まさか……!」
 ソウルレスはよろめいた。踏鞴を踏み、ヨロヨロと後退する。
「流石は強化人間。しぶといね、と言うか、心臓を貫いたんだから、生物の法則に則って死んでもらわないと困るんだけどな」
 胸に突き刺さった剣先を見下ろしながら、ソウルレスはキャットウォークの手摺りにもたれ掛かった。
「じゃあな!」
 アスカは風雅を一閃した。闇を切り裂く閃光が、ソウルレスの首を斬り払った。確かな手応え、肉を切り裂き、脊髄も確実に斬り払った。ソウルレスは断末魔の叫びを上げることなく、血飛沫を上げながら水嵩の増す機関部へ落ちていった。
「強化人間の相手は、ナノマシン持ちよりも手間が掛かるな」
 血糊を飛ばした風雅を鞘に収めた。赤い瞳が徐々に薄れ、黒い瞳に戻る。ほんの数秒の発動。にも関わらず、ドッと疲労が全身を包み込む。よろめいたアスカは、手摺りをつかんで呼吸を整えた。
「クッ、やっぱりキツイな……」
 そのとき、耳元のイヤホンから雑音が流れた。緊迫した声が聞こえてくる。

『アスカくん! まだ船内に残っているのか? 早く脱出を!』

「他の強化人間は? 乗客はみんな無事ですか?」

『強化人間達は逃げ出した。船内に残っているのは君だけだ』

「了解。すぐに戻ります」
 アスカはバランスを崩しながらも、大きく傾いだ機関部から逃げ出した。その際、この機関部に大穴を開けたレールガンを肩に掛けた。重量は二十キロほど、大きさは一メートル弱、携帯に便利なサイズとは言えなかったが、威力は折り紙付きだ。たった三発でエンドレスを海の藻屑へと変えたのだから。
 乗客と乗組員の命を守るためとはいえ、アスカは自らの手で総工費二〇〇〇億のエンドレスを沈めてしまった。その行為が、後の人生に大きな問題を残すとは、このときは想像もしていなかった。

  *

 二二世紀初頭。太平洋のほぼ中央に建造された世界最大の人工島IE。Imitation EDEN、模倣されたエデンの園の名を持つ人工島は、南北三〇〇キロ、東西二〇〇キロという世界最大の人工物だった。
 人類の新天地。宗教も人種も、古いしがらみを全て捨て去った人達が目指した、人の手によって生み出された楽園。二一世紀後半に建造されたIEは、完成して数年後、完全な独立国家として独り立ちした。産物のないIEの目玉は、カジノなどの観光と、あらゆる分野での最先端技術、そして、世界各地で起こっている紛争を増長する兵器の開発だった。IEは、自ら生み出した技術を各国家に売り払い、世界に類を見ないほど急速に発展した。
 栄華を極める反面、軍需産業が主産業となっているIEを快く思っていない勢力がいるのも確かで、他の国家と同じように、IEでも様々なテロや犯罪が頻発していた。
 人々は武装し、さらに学生は一般カリキュラムに自衛の武技が組み込まれるなど、生活水準はどの国家より高くても、荒んだ内情は同じだった。
 高い理念と理想を掲げて創り出された人造の楽園は、独立してほんの数年で世界の毒に染まり、この世界でもっとも罪深い死の商人へと墜ちた。

  *

「コラ! いい加減に起きろ! 今何時だと思っている!」
 桜の咲く頃。
 東雲アスカは聞きたくもない声に起こされた。ゆっくりと目を開けると、そこには何もない部屋が広がっている。カーテンの隙間から差し込む光は強烈で、朝と呼ぶにはあまりにも遅い時間であることを示していた。
 むっくりとベットから体を起こしたアスカは、正面の壁に備え付けられているインターフォンのディスプレイを見た。
「コンニチワ!」
 金髪碧眼の美しい女性が、小さなディスプレイに浮かび上がっていた。
「悪夢の続きか……魔女が見える」
 深い溜息をつき、目元を押さえるアスカ。ディプレイの麗人は気分を害した風もなく、口元に取って付けたような笑みを浮かべた。
「そうだよ、鬼よりも怖い借金取りのお姉さんがきたんだ。もうちょっとシャンとしな!」
 ベットから立ち上がったアスカは、トロンと落ちてきそうな眼を擦りながらディスプレイの前に立った。
「何の用ですか、ベニオさん」
「私に取っちゃあまり好ましくないが、いい話さ、お前にとってはな」
 インターフォンのディスプレイは、呼び鈴を押した人物が写るのが普通だ。もちろん、以前まではここも普通だった。しかし、この回線をどのように繋げているのか分からないが、ベニオは遠く離れた場所から一方的に連絡をよこし、無理難題を押しつけてくる。
「いい話? もしかして、肩代わりしてくれている借金、チャラにしてくれるとか?」
「可愛い顔して目を輝かせてもダメだよ。何処の世に借金三〇〇億をチャラにしてくれる仏のような人物がいるかい。利息もなしに借金を立て替えて、住むところも用意してやった私に感謝しな」
「元はと言えば、ベニオさんも一枚噛んでるんですよ」
 半眼になって目の前の女性を睨み付ける。
 十代の少年が背負うにはあまりにも大きな借金三〇〇億。半年前、豪華客船の船底に穴を開けた映像が、運悪く監視カメラで撮影されていた。
 その手法から過激派と言われている『黒い霧』。彼らは乗客と乗組員を人質に取り、人質一人に対して一億円の身代金をIE政府に対して要求した。要求を飲んだとしても、人質が助かる確率がゼロに近いことは明白だった。彼らは、これまでに同様の事件を起こしては、難癖を付けて人質を虐殺してきたのだ。
 豪華客船エンドレスの警護のバイトとして雇われていたアスカは、それらの状況を全て踏まえた上でエンドレスを沈めたのだ。エンドレスが沈んでしまえば、人質どころではない。案の定、黒い霧のメンバーは早々に退散し、乗客、乗組員共に無事だった。
 結果的に人的被害はなく、エンドレスと乗客の私物が深海に沈んだことを除けば、上々の結果と言えた。当然のことながら、エンドレスと乗客の荷物の補償が発生した。もちろん、それはアスカを雇ったセブンラインが大半を支払ったが、それでも支払えない一部を、何故かアスカ個人が支払うことになった。
 補償金額三〇〇億。そんな大金を払えるわけもなく、途方に暮れるアスカ。そんなアスカを助けたのが、ベニオだった。彼女は、補償金を利息なしで立て替えてくれたのだ。もっとも、エンドレスを沈めた携帯型レールガンをアスカに渡したのが、他でもない、ベニオだったのだが。
 常に不遜な笑みをたたえている美女、ベニオ。IEでトップの軍需産業、セブンラインの技術開発本部長と言う肩書きを持つ彼女は、兵器の開発に関しては天才的な才能を秘めていた。そして何より、ベニオはセブンラインの会長の娘であり、ゆくゆくはセブンラインの重役を務める立場にあった。生まれも育ちもセレブのベニオは、アスカの借金を立て替えるだけの金を持っているのだ。
「人聞きの悪いことを言わないでおくれよ。まるで私が片棒を担いでいるようじゃないか」
「担いでいたでしょう! 『君、面白い経歴をしているね。これ、新型なんだけど、テストついでに使ってみて?』なんてレールガンを渡して! あの威力だ、船の何処で撃っても大損失でしょうよ!」
「私だって、まさかワザと沈めるとは思わないさね。でも、シミュレーション通りの威力だった。そのおかげで、あの銃が各国に飛ぶように売れてね。エンドレスの保証を支払ってもお釣りがくる。おかげでこっちはウハウハだよ」
「……ウハウハね。それで、どうして俺だけが莫大な借金を背負っているんだか」
「状況を鑑みて、罪に問われなかっただけマシだと思いな。これでも、私が色々動いたんだからさ。それに、借金が嫌なら、破産申請でもすればいいじゃないか」
「……借りた金は返しますよ。ベニオさんにも感謝はしている。レールガンは兎も角として、借金を立て替えてくれたんだからね」
「いいね、お姉さんは好きだよ、君のそう言う真っ直ぐなところ」
「ベニオさんに言われても額面通りに受け取れないのは、どうしてでしょうね」
「それは、金持ちと貧乏人の器の大きさだろうね。君は金持ちに対して疑り深くなっているのさ」
 口では何を言ってもベニオには敵わないだろう。無駄な抵抗は諦め、アスカはわざわざ連絡を寄越したベニオに用件を問う。
「……で、何のようですか?」
「ああ、そうそう。仕事を頼みたいんだよ。昨日、段ボールが届いていただろう? 開けてみたかい?」
「ああ、あれですか」
 アスカは足元を見やる。小さな段ボールが一つ、部屋の片隅にちょこんと置かれている。差出人がベニオになっていたので、アスカは恐ろしくて開けることが出来なかった。ヘタに開封して難癖を付けられたら、何をやらされるか分かったものではない。
「そこにはね、ニニフィール学園の制服が入っている。今からそれを着て学校にいきな」
「学校に? でも、俺はあの事件の後、自主退学をしましたけど?」
「学校を辞めて借金返済のためにバイトに精を出すとは、本当に頭が下がるよ。だけど、これはそのバイトよりももっと割のいい仕事だと思ってくれ。古巣のニニフィール学園に行って、妹を護衛してもらいたい」
「妹? 護衛?」
「そうさ。ちょっと変わり者だけど、私にとってたった一人の可愛い妹さ。さっきから言ってるけど、謝礼も弾むよ」
「変わり者? ベニオさんからみて変わり者って言ったら、逆に真っ当な人間か、若しくは俺の想像の右斜め上をぶっ飛んでる奴かな」
「失礼な奴だね、君は」
 アスカは足下に置かれた段ボールの宛名を見た。差出人は『七条・L・ベニオ』。七条という名字には、心当たりがある。あの、七条だろうか。
「………」
 沈黙するアスカに、ベニオが「見当は付いたかい?」と尋ねる。
「……妹さんの名前は、七条・T・ミルティですか? あの、『天災』ミルティ?」
「そうそう、その『天才』ミルティだよ」
「たぶん、俺とベニオさんの『てんさい』の字面はちょっと違うでしょうけど」
 ベニオの言う変わり者は、アスカの想像の右遙か上空、成層圏辺りをぶち抜いている変わり者だ。
「日当十万。もし、敵を撃退したら、その都度特別ボーナスを支給。賞金首だったら、その賞金額も上乗せするよ。どうだい? 悪い依頼じゃないだろう?」
「そりゃ、そうですけどね」
「何を言ってるんだ。アスカはスイーパーの資格だって持っているんだ。それを有効活用すれば、借金返済だってあっという間だよ」
「……分かりました。どのみち、俺にベニオさんの依頼を断る権利なんてありませんしね」
「そうだよ。じゃ、頑張ってきな! あ、一つ言っておくけど、可愛いからってミルティにちょっかい出したら、承知しないからね」
「それはないです、間違いなく。で、いつからですか?」
「ん? 今日から。今日から丁度新学期じゃないか。編入手続きは済ませてある。さ、早く行かないと、初日から大遅刻になっちゃうよ。借金返済のために頑張りな!」
 アスカは時計を見る。すでに、時刻は十一時を指そうとしている。
「クソッ! だったら、もう少し早く起こしてよ!」
 アスカは服を脱ぎ捨てながら文句を言った。しかし、すでにベニオからの通信は切れていた。アスカは悪態を付きながらも、段ボールを開け、久しぶりに見るニニフィール学園の制服を取り出した。それは、要所に赤いラインの入った純白の制服だった。
(続きは電子書籍で!)
登録日:2012年03月12日 20時00分
タグ : SF 格闘

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