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城本朔夜
著者:城本朔夜(しろもとさくや)
自称「心のカメラマン」。被写体は、見えなくて、水のようにいつも動いているもの。究極に目指すのは、世にも美しい芸術作品。でも好きなのは、なんの変哲もない「スナップ写真」。撮ったあと、ちょっと変わっているのが撮れていたりすると、嬉しくなって、誰かとシェアしてみたくなります。
小説/SF

生態刑(3)

[連載 | 完結済 | 全5話] 目次へ
牛顔たちに連れてこられたのはウンコの山――堆肥熟成所だった。ウンコをスコップでかき混ぜ、畑にすきこみ、作物の手入れをする。初めは刑罰のように感じられた重労働も、生き生きと輝く若い葉っぱを見ると充実するのだった。これなら宿題も自然に見えてくるだろうと気持ちが軽くなってきた矢先、同室の柴田がとんでもないことを言い始めた。
 ぼくが牛顔たちに連れてこられたのは、とんでもない場所だった。一言で言って、ウンコをひとところに集めた場所だったのだ。牛顔たちはこの場所を「堆肥熟成所」と呼んだ。
 ぼくの他にも十数人の囚人たちがこの場所に来て、さっそく作業をし始めた。ぼくは新入りなので、牛顔に仕事の概要の説明を受けた。
 要するに、このウンコの山を、スコップなどを使ってかき混ぜればいいのだ。牛顔は口先で簡単に言ってくれるが、ぼくは早くも拒否反応をおこしていた。
 ウンコだ、ウンコ。これがすべて、食べ物を買うためのお金の山だっていうのか。けれど、こうしてだれのものとも知れない、大量のウンコを目の前にして、
「いやー、すてきなウンコですねー。将来が楽しみですね。宝の山に見えてきましたよ」
 などとは、どう転んだって言えるものではない。思わず逃げ出したくなるのを、ぐっとこらえ、ぼくはウンコの山へ足を踏み入れた。
 何でぼくがこんな目にあわなくちゃならないんだ。牛たちの一揆だか何だか知らないが、だいたい、ウンコがお金になるってことがそもそもの間違いだ。新聞には「人間は自らの排泄物を土に返さない」なんて書いてあったけど、その代わりに、化学肥料なんかを考え出して、ちゃーんと、土にお返ししているじゃないか。それで何が不服だっていうんだ。これはただ、牛たちがぼくたち人間をこらしめるためにやらせている刑罰なのではないか? ぼくはそんなことを考えた。
 どう頑張っても、一時間とたえきれないだろうと、はじめは思った。けれど、人間やればそれなりに適応できるものだ。においはそれほど気にならなくなってきたし、よく見ると、わらやおがくず、土なども混じっているようで、下の方はかなりウンコっぽくない感じがした。これが熟成するということなのか。
 ウンコと思うとたまらなくなってくるので、ぼくはなるべくただの土だと考えるようにしながら、作業を続けた。 
 十二時を過ぎたところで、三十分の休憩が与えられた。ここを実際に管理しているのは牛顔ではなく、年配のおじさんだということがわかった。四角いめがね、それにもみあげからつながった豊かなひげが、顔の半分をおおっている。やせて顔は小さいので、ほとんどめがねとひげしか印象に残らない。
「よお、新入り! 初仕事はどうだい?」
 おじさんはニコニコしながらぼくに話しかけてきた。だけど、ぼくとしてはどうもこうもない。苦い顔をしてペコリとあいさつをするだけだ。
「くさくて、うんざりか?」
 どっちつかずの表情で答えると、
「ハハハ、まあここでは、とにかくアレは重要な仕事だ。心してがんばってくれ」と、豪快に笑った。
 雇われてここで働いている人なのだろうか? おじさんはここの事情にやたら詳しくて、きいてもいないのにいろいろと説明し始めた。
 ここに来るウンコは、一般家庭から、そのままコンテナにつめられた状態で運ばれ、一度、内容物の検査を受けること。この時点で、お金としての価値が試算されること。肥料の素材として優れたものであれば、高くつくのだそうだ。それからランクごとに、各熟成所に振り分けられるということ……。
「法律ができる前までは、ヒトのウンコって、どうなってたと思う?」
「海に流したり、燃やしてしまったり?」
 ぼくは、パン屋の牛おばさんにもらった新聞から得た知識をただ口に出した。
「そう、下水道のおかげで川に流れる水もだいぶきれいになった。つまり、海に流れる有 機物は少なくなった。だけど、ヒトのウンコはひとつとして、もどるべき場所に還っていなかったんだ」
 おじさんは続ける。
「下水を処理した結果、出てくる汚泥。これがつまりはウンコのかたまりに相当するわけだが、今まではこれを堆肥として土に還さないで燃やしていた」
「何で燃やしちゃってたの?」
「坊主は、ごみの分別ってことくらいは知ってるか?」
 ぼくはうなずいた。空き缶はリサイクルへ。いくらぼくだって、それくらいの良識はある。
「下水もそれをすべきだった。そして今ここでやっていることが、まさに下水の分別たることなんだ。坊主、オレの後について来い」
 ぼくは、おじさんにつれられて、大きな部屋にやってきた。そこには池が二つあり、池には泥のような汚いものが入っている。そして、池と池との間には、何やら大掛かりな機械が置いてあった。ウンコのにおいにはすっかり慣れたはずなのに、ここに入ると、においが強烈で、思わず鼻をつまんでしまった。
「これは、法律違反を犯した家庭から出る排水の汚泥だ。やっぱりコンテナごとに検査を受けた後、ここに集められている。法律制定後、下水道は廃止された。それは、家庭ごとの査定ができないと困るからだ。そのときに、政府は、各家庭に生活排水用の浄化槽と、排泄物をためるコンテナとの両方の設置を義務付けたが、いまだそれをしない家庭は多く存在する。問題は、何もかもをすべて混ぜてしまうことにある」
 おじさんは、機械の方へ歩いていった。
「たとえば、食器を洗う洗剤、お風呂で使うシャンプー、おまえは、それらに何が入っているか、考えたことはあるか?」
 考えたこともない。ぼくは頭を横にふる。
「一言で言えば有害物質だ。あらゆる生命体のね。それが、植物を育てる肥料に入っては困るんだ」
 おじさんは、機械に触りながら続けた。
「この機械で、有害物質は取り除く。過酸化水素を含むリン酸水溶液を加えることで処理している」
「そんなことができるんだ」
 ぼくは鼻をつまんだままの変な声で、感心したようにあいづちを打った。それなら、問題はないじゃないか。
「坊主、おまえ今、問題ない、と思ったな?」
 顔に出てしまってお見通しだ。
「確かに今はな。けれど、これができる以前は、有害物質を含んだ汚泥をそのまま堆肥にすることはできなかった。だから燃やしていたんだ。だけどな、坊主、あらかじめ分別してくれれば、こんなたいそうな機械も手間もいらないんだぞ。それにな、どうしてもウンコを堆肥にしなくちゃならないわけがあるんだ」
 そうしてあごをしゃくるようにすると、
「坊主、オレの後について来い、新入りのおまえに、もうひとつ見せたいものがある」
 先に立ってまた、歩き始めた。
 おじさんについてしばらく行くと、ぼくの目の前に黄土色の広大な畑が広がった。これから何かを植えるのだろうか? 草一本生えていないそこは、まるで砂漠のように荒涼としている。
「ここはかつて、畑だった場所だ」
 おじさんは、その場にしゃがみこみ、土を右手につかんだ。すぐにその手を広げたので、土はぱらぱらと指の間からこぼれ落ちていく。
「草一本生えなくなっちまった」
 その声は、何だか切なげに聞こえる。
「でも、ここまでひどくなるなんてだれも予想しなかった。二、三年前からこんな畑は急速に増えていった。どうしてこんなことになったか、坊主にはわかるか?」
 ぼくにわかるはずもない。黙ってかぶりをふる。
「法律ができるまでの農業は、ひどいものだった。土の持つ本来の力なんてお構いなしだった。人間は、それこそ馬車馬のように土を酷使したんだ。よりたくさんの作物をとるために、そして、より人間が作業を楽にできるように、農薬や化学肥料をこれでもかとぶちこんだ」
 おじさんは言葉を切り、座りこんだまま、ぼくの顔を見た。
「ここで問題だ。土は生き物か、生き物ではないか?」
「え? 生きてはいないでしょう?」
「残念、不正解だ。少なくともオレの中では、生き物だ。元気な畑の土、小さじ一杯には一億以上の生き物が住んでいるんだ。それはもう、生き物の塊みたいなものだ。けれど、かつて微生物たちの楽園だったはずのこの畑にはもう、虫ひとつ住めなくなってしまったらしい。草一本生えなくなってしまったのには、正直驚いているが、とにかく、虫も住まない死の土には、植物も育たない。この畑が何よりの証拠なんだ」
 ふいに、いちじんの風が、ぼくの身体をなぶるように過ぎていった。黄色い砂ぼこりが一面に舞い、ぼくの目に入り、痛くて目を開けていられない。
「残留農薬の濃度も、高いには高いが、びっくりするほどじゃない。そしてこうなった理由は、保水力が足りないこと、土の中に空気を含むことができないこと。いろいろ説はあるが、これと言った決め手はない。手をつくした中で有機物、まあ一言で言えばウンコ堆肥だけが、これを救ってくれた。最近になって、ここと同じような荒れた畑にようやく、ちょろちょろと草が生えるようになってきた。ウンコを集め、坊主たち囚人が大変な思いをする、そのことにはこんなに深い意味があるんだ」
 おじさんは、立ち上がり、もどるぞ、とぼくに声をかけると、もと来た道を歩き始めた。ぼくもあわてておじさんについていく。
「日本中の多くの畑でこのことが問題になっている。一気に作物の生産量が落ちこんでしまったからな。十年前の法律制定の時にはさほど問題ではなかったが、今や、畑の力を回復させることは、最重要課題なんだ」
 ぼくに背中を見せながら、おじさんはそう言った。

 ぼくに与えられた強制労働は、ウンコにまみれることに始まり、出来上がった堆肥を畑にすきこむこと、それに田植えや作物の手入れもさせられた。ここではトラクターなどの機械は一切使わない。すべて手作業で行う。
 ぼくにとってはどれも生まれて初めての体験だった。一日二食では、とても身体がもたないような重労働だった。
 だけど、思ったより、自分がこの仕事を苦痛に思わないことに、ぼくは驚いていた。
 ぼくたちが汗水たらして整えた畑を糧に、日々、緑の命たちが大きくなっていく。毎日畑に立っていると、そのことが手に取るようにわかるのだ。生き生きと輝く若い葉っぱを見るたびに、ぼくの胸はあたたかいもので満たされる気がした。
 日々の労働の中で、ぼくは色々なことを学んだ。これなら、ぼくに与えられた最大の宿題だって、もう何日もすれば自然に見えてくるだろう。それにここで暮らすのも悪くない。父さんや母さんがいない家へ帰るなら、ここで暮らしていた方が何倍もましだとさえ思った。
 じんのすけは毎日ぼくの代わりに、父さんと母さんを捜しに行ってきてくれている。もう二週間以上がたったが、何ら手がかりはつかめていないようだ。
 となりに寝泊りしている男はぼくに気軽に話しかけてきた。だけど「ウンコくせーのも板についたな」などと、いやなことばかり言うので、ぼくは男が嫌いだった。
 男は、時々畑や堆肥熟成所でその姿を見かけた。誰かが男の事を柴田と呼んでいるのを聞いた。それでぼくは男が柴田という名前だということを知った。
 どこにでも真面目なものと、そうでないものとがいるものだが、柴田は後者に属した。その辺に座って呆けたり、仲間らしいのと話しこんでばか笑いしていたり。でもここではそれをとがめる看守は存在しなかった。あの牛顔でさえも、そんな連中は放っておくのだ。
 ぼくは男が気になって仕方がなかった。その存在感はもちろんのこと、特に気になったのは、夜になると奇妙な行動をとることだ。消灯時間が来て、みなが寝静まった頃、決まってぼくの頭の上の窓から外へ出て行く。毎晩、いったい何をしているのだろう?
 その柴田が、夕方、宿泊棟で休んでいると、ぼくに話しかけてきた。彼はなぜだかひどくしょうすいした様子だ。
「おまえ、ここを出るめど、ついたか?」
 今日はいつもの軽い感じがない。
「いや、まだ。でも、何とかなりそうだとは思ってる」
「お前本当に、あの牛顔の言ってること真に受けてるのか?」
 この男、柄にもなく、ぼくのことを心配しているのだろうか?
「え? どういうこと?」
「やつらが言ってた期限まで、あと何日だ?」
「四日だけど?」
「くじ引き生活まで四日ね」
 もって回った言い方だ。こうやってなぶられるのは、もうたくさんだった。
「この間から、くじ引き、くじ引きっていったい何のことなの?」
 ぼくは、ついに怒ったようにこう言った。柴田は、ぼくの言葉に受けて立った。
「知りたいか? なら教えてやる。くじ引きっていうのは、オレ達囚人から、いけにえを選ぶためのくじ引きだ」
「いけにえ?」
 ぼくの身体は硬くなる。
「毎日が、ヘビの生殺し状態だよ」
 柴田は、疲れたように深く息を吐いた。
「やつらは、自分がなぜここに入れられたか答えを持ってくるようにオレたちに言い渡す。それがわかればここから出してやると。だけど、そんなのはうそだ。どんな答えを持っていっても、決して当たっているとは言わない」
「う、うそだ!」
「お前は万引きをしたって言ってたな?」
 ぼくは無言でうなずいた。 
「なら理由は明らかだろう?」
 そういえば。あいつらはぼくの答えをことごとく打ち消した。わけのわからない理屈で丸めこんで……。ぼくは不安になってきた。
「くじ引きって言ったのは言葉のたとえだ」
 そうして、柴田はぼくに、大人がここへ入ってきてから毎日さらされている死の恐怖のことを話し始めた。
「ここには、別の宿泊棟を含めて、ざっと見て三百人が収容されている。おまえが、五百何番だかなのは、通し番号だからだ。つまりもうここにはいない、欠番があるってことだ。その三百人が十五のグループに分けられている。おまえはまだ、どのグループにも入っていないから、単独で仕事をさせられてるが、オレらはそのグループ単位で仕事をしている。オレらには毎日監視がつき、グループごとに仕事の出来、不出来を審査されている。そして、審査で最下位になったグループからひとり、いけにえを出さなければならないことになってるんだ。牛顔から直接そのグループみんなに言い渡される。毎日一人、必ずだ。しかも、だれにするかは、グループのメンバーが投票で決めるんだ」
 柴田はここまで一気に吐き出した。いつもの横柄な態度は、影をひそめていた。肩を落とし、うつむいている。ぼくにはこの男が一まわり小さく見えていた。きっと今日グループの中で、その恐ろしいことがあったに違いない。
「今日、何かあったんですか?」
 柴田は、ハッとしてぼくを見た。そしてまたうつむいた。
「そうだ、さっき、グループの中から一人、選んできた。……あいつが選ばれちまった……」
 柴田は泣いているようだ。ぼくは言葉を失ったまま、ただ彼を見つめていた。しばらく間があって、それから彼は続けた。
「やつらは、自然保護団体をまんまと丸めこんで、国に法律を作らせた。この革命はまだ始まったばかりなんだ。やつらは、そのうちにすべての人間を狩り、人間との立場の逆転を狙っている。人間を家畜にしようとしているんだ」
 柴田の言葉には、鬼気迫るものがあった。そして、これこそが真相だとでも言うような説得力を感じた。
「子供のおまえに、とんでもないこと言っちまったのかもな。知らぬが仏。まさにそういうことだ。悪いが今日は疲れた。ここのカーテン閉めさせてもらうわ」
 柴田は、そう言うと、カーテンの向こうに隠れてしまった。ぼくの頭は混乱していた。
 柴田の言うように、ぼくはバカ正直なんだろうか。今日、ほんのついさっきまで、牛顔に言われたことを信じて、ここへ来てしまった理由を素直に探し続けていた。牛顔のことは確かに無愛想で横柄で、いけ好かないと思っていたが、ぼくらにいろいろなことを教えてくれる人たちには、決して悪意は感じられなかった。それどころか、こんな所に来てしまった囚人のぼくらに、ここでの仕事はすばらしいと思わせるほど、ただならぬ熱意を感じる。
 柴田の言うことが本当だとすれば、人間であるあの人たちも一緒にだまされているのかもしれない。ぼくはそう考えるのが妥当な気がして、ひとまずの結論を得た。先のないことを現実として受け止めなくてはならない、悲しい結論だった。


 悲観的な考えが、尾を引いてしまったためか、ぼくはその日になっても、ここへ来てしまった本当の理由というものを見つけることができなかった。それとも柴田が言うように、はじめからそんな答えなど、ないのかもしれない。
 ぼくは、面接を受けるまでもなく、柴田から聞かされていたように、グループに編入された。そして本当に「いけにえのくじ引き」が存在することを知った。
 ぼくが編入されたのは、ぼくの悪い予感どおり、柴田のいるグループだった。そして、ここへ来た時にぼくの作業着を選んでくれた女の人も一緒だった。女の人はさゆりさんと呼ばれていた。
 もっとまじめに仕事に取り組むようなグループに入りたかった。そんなことは口がさけてもいえるものではなかったが、ぼくは心底不安だった。
 柴田は、口ではえらそうなことを言うけれど、やっていることがちぐはぐだった。そんなにいけにえがいやならば、グループ全体の査定結果を良くするように努力すればいいのに、「他のやつが足を引っ張るから、オレばっかりやったって損をする」とか、「そもそも何が基準で、査定されているのかわからない。がんばったときもこのグループからいけにえを出すように言われたときもあって、やつらは、たいして見もしないで適当に決めているんだ」などと言って、仕事をサボってばかりいた。
 ぼくの気持ちは、ここへ来たばかりのときのようにまた、騒ぎはじめた。ほんのひと時も生きた心地がしない。そして、毎日のように夢に悩まされていた。ここに来てすぐのときにも見た、あの悪夢だ。ぼくが父さんのことを心配しながら校庭を走っている夢。最後には必ず、何者かに殺されそうになる。
 父さんや母さんのことも、じんのすけが走り回ってくれているのに、いぜん手がかりなしのままだったから、夢の中から抜け出してくるときの滅入った気持ちは、父さん母さんたちはもうすでに、この世にいないのではないかという、最悪のことさえ連想させた。


 何日かがたったが、ぼくの命は、かろうじてまだつながっていた。グループのみんなに嫌われないように、せいぜい気を使うことだけが、ぼくのできることだった。
 そんな時、じんのすけが、いい知らせを運んできた。
「サト君、ぼくやっと見つけました。あれはきっと、サト君のお母さんです。姿を見たのはほんのチラッとだったんだけど、ぼくの鼻が……」
 じんのすけはここで得意げに鼻先を天に向けた。
「絶対にアレはお母さんのにおいだと確かめました!」
「ホント? それどこなの?」
 目の前の真っ暗な道に、光が射してくるような思いがした。
「ここから直線距離で、四キロほど離れたところです。ひなびた廃校が建っていて、その中に入っていくのをぼく、確かに見たんです」
「そこには入ってみなかったの?」
「うん、入ってみようとしたんだけど、もう結構遅い時間だったせいか、ぼくが出入り口に行ったときにはすでに、鍵がかかっていて……」
「そうか、じんのすけの身体ではどうしようもできなかったんだな?」
 じんのすけは、申し訳なさそうな顔をした。
「じゃあ、明日、仕事が終わったらすぐに行ってみるか?」
 ぼくが明るい声で言うと、
「そうもいかないですよ。ここから四キロも離れていたら、ほら」
「そうか……」
 ぼくは、自分の首についた、いぼのような発信機を右手でさすった。ここから四キロも離れたら、脱走したとみなされて、すぐさま豚のえさ箱行きだ。ぼくはがっかりしてしまった。
「サト君、ぼくに任せてください。きっと、明日はお母さんに会って、サト君がここにいること、話してきますから」
 じんのすけが、胸を張ってそう言った。
 今すぐ母さんに会いたい。本当は明日まで待っていられない。ぼくの命はもしかして、明日で終わってしまうかもしれないのだ。もう、二度と会えなかったらどうする? ぼくの心はちぢに乱れ、焼け付くような気がした。だけど今は、じんのすけに任せるより他に方法はない。
「そうだね。じゃあ、じんのすけに任せたよ。よろしく頼む」
 果たしてぼくは、そうつぶやいた。
 母さんは、やっぱりここへ来ていた。だけど母さんは、その廃校で何をしているのだろう? 囚人ではなかったのか? 明日になれば、じんのすけがその答えをぼくに運んできてくれるのだろうか? 


 じんのすけと落ち合う場所は、決まっていた。四時になり、今日の仕事から解放されると、矢のようにまっすぐにそこへ向かった。ちょっと小高い丘になった草原で、牛が放牧されている。ぼくらは、見晴らしがいいのが気に入って、夕飯になるまでのひと時をたいていそこで過ごしていた。
 今日は、じんのすけが母さんに会って、そこで待っていてくれるはずだ。もしかしたら、母さんも一緒に来ているかもしれない。
 丘の上に、人影があった。草の上に誰かが座っている。母さん? ぼくの鼓動は、早鐘を打つように鳴り始めた。けれど、じんのすけの姿はない。母さんではないかもしれない。体つきが女の人のそれではないことがわかって、ぼくはがっかりした。
 それからは、何となく警戒しながら約束の地点へと歩いていった。ここはめったに人なんか来ないのに、いったいだれだろう? 近づいていくにつれて、その人の輪郭が明らかになっていった。ぼくのよく知っている人だ。
 その人物は「堆肥熟成所」で、ぼくにいろんなことを教えてくれた、めがねとひげのおじさんだった。
 おじさんは、画板に画用紙をはさみ、まるで小学生の写生会のような格好で、絵を描いていた。左手にパレットを持ち、右に持った絵筆がこきざみに動いている。
 ぼくがおじさんのちょうど真後ろに立ったところで、おじさんはぼくに気がついた。
「おや、坊主か。珍しいところで、また会ったな」
「ここの絵を描いているの?」
 おじさんの絵は、ほぼ完成しているようだ。それは、実際に見るのより幻想的で、美しかった。
「絵を描くのが好きなんだ、ひまを見ていろんな絵を描いてる」
「おじさんは、この地元の人なの?」
 囚人でなければ、ほとんどが地元の農家だということが多い。
「いや、そうじゃない。まあ、ある意味、坊主と同じ囚人だ」
 どういうことなのかよくわからなかった。だけど、つっこんできいてみる気もしなくて、ぼくは聞き流した。
「ここからの景色は好きか?」
 おじさんが、続けてぼくにたずねる。好きだ、とぼくは小さく答えた。おじさんはかすかにうなずいた。
 しばらく、ぼくとおじさんは、ここからの景色を見ていた。
 目の前には、緩やかにカーブを描きながら降りていく、緑の斜面が広がっている。遠くには山。そして、その間に挟まれたように、緑と茶色の布を縫い合わせたパッチワークのような畑が広がり、所々に民家や木が立っている。そして、それら全体に西に傾いた陽光が、暖かそうな色をそえている。
 じんのすけはまだ現れない。ぼくが、もう少し他の所も様子を見てこようと思って、おじさんのもとを離れようとしたときだ。おじさんは、ぼくにここへ座るよう、目で合図した。一瞬戸惑ったが、ぼくは呪文にでもかけられたかのように、おじさんのとなりに、ひざをかかえるようにして座りこんだ。
「ここから出られるめどはついたのか?」
「いいえ、まだ」
 もう二度と出られないんです。という言葉が出かかったが、ぼくはその言葉を飲みこんだ。おじさんももちろん、ここでの「くじ引き」のことは知っている。
「生きた心地がしないな?」
 おじさんの言葉が胸に突き刺さる。涙が出そうになった。
「自分がここへ来た、理由が見つからないのか?」
 無言でうなずいた。それもある、けど、見つける気も今はしないのだ。見つけたところで全てがむなしい。
 おじさんは、何を思ったのか、自分の左側に置いてあったかばんの中を探ると、あるものを取り出した。ボールのような球体。直径、十数センチはあるだろうか、それはガラスでできている。中に、何かが入っている。 おじさんは、ぼくの目の前の高い位置に、それをかざした。西に傾いた太陽の光を受けてそれは、オレンジ色に光った気がした。
「何なの? これ」
 ぼくは、おじさんの手からそのガラス球を受けとった。密閉されたガラスの中には、水が半分、水草と小さなエビが数匹入っている。
「エコスフィア」
「エコスフィア?」
「太陽が当たるところに置いておけば、中にいるエビは、その中で何年も生き続けることができる」
「何も……えさもあげないで?」
 おじさんはうなずいた。ぼくは、その中のからくりを解き明かそうとするように、エコスフィアをいろいろな方向からながめた。
「エビは水草を食べる。エビが水草を食べれば当然水草は減る、そうだな?」
 ぼくはうなずく。
「だけどこの中の水草はなくならない。それは、エビが食べる量と、水草が生長する量が同じだからだ」
 おじさんは続けた。
「じゃあ、水草は何で成長できると思う?」
「エビのウンコを養分にするから?」
「そうだ。微生物がいてウンコを分解し、それが水草の養分になる。坊主、ウンコについてはすっかり詳しくなったな」
 おじさんは、愉快そうに笑った。
「次に空気だが、エビの出す二酸化炭素と、水草が吸収する二酸化炭素の量が同じだし、エビの吸う酸素と、水草が光合成で作る酸素が、これまた同じときてる。絶妙なバランスの中で、この中のすべてが生きているんだ。もし、この中のエビが水草を多く食べ過ぎたとしたら……」
「エビは死ぬ?」
「いや、全てが滅びる」
 ぼくとおじさんとの間に、沈黙があった。
「ここには、牛がいるだろう?」
 そう、三百メートル四方はあるだろうか? この広い牧場にたった三頭。牛は遠くで、のんびりと草をはんでいる。
「この牛と草の関係と、エビと水草の関係は似ている。つまりここの草は、この牛たちにとってちょうど必要な量の草ということだ」
「ここの草全部がたった三頭の牛を養うのに必要だっていうの?」
「牛一頭当たり、だいたい一日、六十キロの草を食べる。世界では、牛に食べさせる牧草地を作るために、毎日ここの面積の百五十倍もの広さの森が失われている。まるで森が肉に加工されているみたいに、だ」
 え? そんなに? それじゃあ、ぼくが食べた牛肉が育つのに、いったいどのくらいの草が牛の胃の中に入っていったのだろう? 
 そのときだ。ぼくは、のど元で絶対に受け付けなかった三百杯分のご飯の映像が、自分の胃の中にすんなりと入っていくのを感じた。ぼくは、確かにご飯三百杯分の草を、牛を通して食べてしまったらしい。ぼくみたいなペースで、世界中のみんなが牛肉を食べ続けたとしたら、いったいどのくらいの草が必要になるのだろう? 想像もつかない。ぼくみたいな食べ方が許されないわけが、今、やっと理解できた。
 うれしかった。だけど、この答えを牛顔の所へ持っていったところで、果たして正解と言ってもらえるのか。柴田の言葉が重く、この胸にのしかかっていて、ぼくの心は晴れないままだった。
 暗い表情のまま、ぼくはエコスフィアを夕日に照らして、いつまでも見入っていた。水は澄み、エビがスイッ、スイッと元気に泳いでいる。ガラスの中に閉じ込められたちっぽけな世界。だけどこの中には、平和と幸せが満ちているような、そんな気がした。
「それ、坊主にやるよ」
 おじさんは、遠い所を見つめている。
「おじさんは何でぼくに、ぼくが捕まってしまった理由を教えてくれたの?」
「人間の業というのを考えたことがあるか?」
「ゴウ?」
 ぼくは言葉すら知らなかった。
「つまり、悪いとわかっていてもやめられないようなこととでも言うか」
 そんなこと、頭のかたすみにだって、のぼったことはない。おじさんはぼくの思うことなど知ったことではないのか、まるで自分に言い聞かせるかのように言葉を続けた。
「人間の作り出した仕事っていうのは、みんな、地球の中にある素材を混ぜ合わせることだとオレは思うんだ。たとえば、飛行機を作ったり、洗剤を作ったり。はたまた、石油からできたガソリンを車に積んで、空気中に排気ガスをばらまいたり。それはみんなの暮らしを快適にしてくれる。だけど、ほら」
 おじさんは、さっき自分で描いた絵に、水をつけた絵筆を、ぐちゃぐちゃに走らせた。絵はあっという間に、灰色に似た、汚い色の固まりになってしまった。
「こんな風に、混ぜちゃったら、簡単にはもう、もとのきれいな色にはもどせないだろ?この汚い色から、さっきの草の緑色、取り出せるか? 人間は、仕事という名のもとに地球の素材をこんな風にごちゃ混ぜにしてしまっているんだと、オレは思う。
 あるべき場所にあるべき姿で返す。それが本当のお片づけだっていうのに、だいの大人は、子供よりもひどい。ひとつももとの場所にもどすことなく、手近な所にそのまま放っておくだけだ」
 ぼくは黙ってうなずいた。
「オレは、ある仕事をしていて、この絵のように取り返しのつかないことをしてしまった。オレは少しでもそれをつぐないたいと思ってここに来ている。
 オレに限らず、人間ならみんなここに入れられてしかるべき理由を、いくつかは必ず持って生きている。昔あった徴兵制みたく、みんながここで働いてもおかしくないくらいだ。お前は、たまたまここへ来てしまったけれど、懸命に前向きに努力しているのをオレは知ってた。そしてお前はまだ子供だ。未来を変える力を持っている。くじ引きにかかって、なくさなくていい命をなくして欲しくない、そう思っただけだ」
 ここまで話しておじさんは、さてと、と言ってまたかばんの中を探り、筒状の箱を取り出した。おじさんはその箱を逆さにふると、細長いはしのようなものを一本取り出した。まるでおみくじみたいだ。
「今日も、はずれか」
 何がはずれなのか? 気になってぼくがたずねようとすると、おじさんは不意に腕時計に目を落とし、
「おっと、もう六時になるな。坊主はここに何しに来たんだ? オレはそろそろ引き上げることにするよ」
 立ち上がってしまったので、ぼくは機会を失った。
 もう六時になるのか。まだ姿を現さないじんのすけのことを思った。いったいどうしたっていうんだろう? ぼくは、もうこれ以上ここで待っていても現れない気がして、夕飯を食べにもどることにした。


 じんのすけは、依然、行方知れずのままだった。ぼくは、夕飯が終わってもそのまま宿泊棟に入る気がしなくて、廃校があると聞いていた方へ、首の後ろの発信機が許してくれる限り、迎えに行ったりしてみた。けれど、じんのすけは見つからなかった。
 母さんを見つけたという廃校で、じんのすけの身に何かあったのだろうか? ぼくは、心配になってきた。それでも、もしかしたら行き違いになっているのかもしれない、そう思い直して、宿泊棟に帰ってきた。
「聡くん!」
 向こうから走ってくる人影があった。同じグループにいるさゆりさんだ。
「君の飼ってる犬が、犬が大変なのよ!」


 見ると、じんのすけが、草むらに横たわっていた。暗くてよく見えなかったが、ぼくがびっくりして思わず抱きしめると、何かべとべととしたものが手に触れた。
 血だ。おびただしい量の血が、じんのすけの身体から流れ出ている。ぼくは、それに気づくと、もうどうしていいのかわからなくて、パニックに陥ってしまった。
「じんのすけ! じんのすけ!」
 じんのすけは虫の息だ。呼びかけてもピクリとも反応しない。ぼくは泣きながら、じんのすけの名前を呼び続けるだけだった。
「牧場のそばに、獣医さんがいるのを私知ってるから、そこに運ぼう」
 さゆりさんが、ぼくを後ろから支えてくれた。
 ぼくは、じんのすけを両腕に抱き、さゆりさんの後をついていった。
 さゆりさんの話によると、じんのすけは、さゆりさんが見つけたときにはもう、さっきいた場所で、横たわっていたのだという。どこかで傷ついて、ぼくに会うために、やっとここまでたどり着いてきたのだろう。一体じんのすけに何があったのだろう? あの廃校で何かがあったのだろうか?
 獣医さんが住む家に着くと、さゆりさんは、ぼくの代わりにてきぱきと話をつけてくれた。獣医さんは、快く引き受けてくれた。本当は、ぼくもここでじんのすけに付き添っていたかったけれど、さゆりさんに釘を刺されてしまった。ここは獣医さんの自宅だし、夜も遅くて、仮にもぼくは囚人だ。ここに留まるわけには、いくはずがなかった。
「大丈夫、先生に任せて、今日は帰ろう」
 さゆりさんにうながされてぼくは、仕方なくうなずいた。

 ぼくは、さゆりさんと並んで、夜道を宿泊棟へ向かって歩いていた。
 さゆりさんは、さばさばとしていて、物事をはっきりというタイプだったが、柴田とは違って、仕事はまじめにこなすし、みんなの面倒見もよくて、ぼくは好感を持っていた。そんなさゆりさんが、ずっとここにいることに、ぼくはずっと違和感があった。答えを見つけても、出られないということの生き証人なのだろうか? そう思っていたのだ。ぼくは、このチャンスを得て、確かめてみたくなった。
「さゆりさんは、ここから出るための答えは、見つかったんですか?」
「答えねぇ……。見つかったといえば見つかったかな。ここでやってる仕事自体は、地球にとって見たら、すばらしいことだと思えるようになったから」
「牛顔に言ってみた?」
 さゆりさんは、ううん、と首を横にふり
「柴田くんから、何か聞いてない?」
 逆にぼくに質問をした。
「牛顔が、本当は、ぼくらをここから出す気がないって話?」
「そう」
 そうなんだ。ぼくは賢明なさゆりさんの口からそのことを聞いて、風前の灯だった希望さえも吹き消されてしまうのを感じた。そんなぼくの心を読み取ったのか、さゆりさんは続けた。
「でも、私たちはこのままであきらめたわけじゃないのよ。やつらに悟られないように、 こっそりと、やつらの事情について調べているの」
「柴田……さんも一緒に?」
「そう。私たちは有志をつのって、牛顔たちの革命に対する革命を実行する組織を作ってるのよ。毎晩、ミーティングをやってるの」
ぼくは、柴田の毎晩の奇妙な行動に合点がいった。
「私は、出られないってことよりも、彼らのやり方が気に入らないの。毎日いけにえを差し出させられるなんて許せない。柴田君が、人間を家畜にしようとしているって息巻くのもわかる気がする。もしここを出られることになっても、今は出ないわ。やつらがここにいる人たちを殺さなくなるまではね」
 ここまで、大きな声でまくし立てると、さゆりさんは急に声をひそめ、ささやいた。
「ついこの間、黒幕をつきとめたのよ」
「黒幕?」
 ぼくもつられて、ささやいた。
「ここから四キロほど離れたところに、廃校があるのよ。そこに、やつらのボスがいるらしいの」
 廃校? ぼくの心臓が、外へ飛び出しそうになった。さゆりさんの話が本当ならば、母さんは、その黒幕の所にいるということになる。そしてそれを調べに行ったじんのすけが今日、瀕死の重症を負ってきた。
 心臓はなおも、高鳴り続けている。握ったこぶしに汗がじっとりとうかんでくる。そのとき、今までの弱気なぼくの背中を、ぼくの中の何かがグイと押すのを確かに感じた。
「ぼくも仲間に入れてください」
 気づいたときには、さゆりさんの行く手に立ちふさがり、そう頼んでいた。
(つづく)
(初出:2011年06月)
登録日:2011年06月23日 14時18分

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